見出し画像

【公募】戦略的撤退をした話。

 とある公募に新作と改稿作の2作品で応募しようとしたのですが、結果、改稿作のみ1作品を応募するに至りました。出すと決めた公募に自分の意志で作品を出さなかった、というのは初めてのことなので、ずらずら言い訳を書いていこうと思います(おい)
 要するに「新作書きたかったのに、間に合わなかった」という記事なので、あまり読む価値のない記事です(笑)でも、自分の中では革新的な発想だったので、備忘録として置いておきます。

 まず最初に公募に出す目的をおさらいしておきますが、これはそれぞれ違っていいものであって他人が公募に出す目的を他人が意見するべきではないと私は考えています。(あ、だから口出してくるな、という意味ではなく、私も他人を否定しないよ、という意味です)

 以前の私は公募に対して「力試し」の位置づけが強かった気がします。近所のスポーツ大会と一緒で『参加することに意義がある』というもの。なので「締切前に出すことができればそれでオッケー」でした。
 ただ私は数年前から趣味で小説を書くのではなく"小説家と呼ばれるプロになりたい"と意志を示すようになりました。私の目指すプロは商業作品を出版社から書籍で発表する人のことを指しています。もちろん実力が足りないのは百も承知で、あえて厳しい道を自分で選ぶことにしました。そうと決めたら「公募」に対する考え方を変える必要がありました。
 夢を叶えるための公募は、参加するだけではいけないのです。その公募で一定の水準以上になること、大勢の作品の中から選ばれること、てっぺんを目指すこと、を目的とする作品を書いて挑むことが必然となってきます。
 あと、私が、以前の私ではなくなった点がもうひとつあります。それは自分の作品のクオリティを上げるために、師と呼んで指導を頂いている方の存在です。その師匠には、様々なことを学ばせてもらっています。人間としても心から尊敬できる方で、私はこの方の言うことを素直に聞こうと心に決めています。
 作品が未熟な私は、毎度、師匠から頂く言葉に心がバキバキになるのですが(容赦ないし……)でもそれ以上の作品に書き直してやるんだ、師匠に褒めてもらうんだ、というモチベーションは私に合っているようで(苦笑)切磋琢磨している、という感じです。
 当然ながら師匠はプロになる方法を知っているわけではありません。けれど作品のクオリティを上げるノウハウを沢山お持ちです。師匠と出会って指導を頂いてから、作品がずいぶんと変化してきた実感があります。

 今回の公募の話に戻ります。
 実は今回挑戦した公募はマンガ原作になるための小説の募集であって、小説そのものの公募ではありませんでした。けれど、私にとっては思い入れのある出版社様の主催で、作品を仕上げる勉強のためにも参加を決めました。
 もともと、以前別の公募に出した作品と新作のあわせて2作品を出そうと決めてました。実際、前者の作品は個人的にはとても気に入っていたし、満足のいく仕上がりになっていたので、どうして落選したのかな、と初めて思えた作品でした。なので、このまま諦めきれなかったというのが本音で改稿し、見直しました。

 改稿作の方は投稿終わって、締切30分前に、完成した新作のほうを今一度、見直しました。
 何度か読み返しているうちに「これはてっぺんを獲れない」と自分で判断しました。何より、自分自身で、この作品の言いたいことに迷いがあること、未熟であることに気づいてしまったのです。
 投稿サイトに出す小説、趣味でイベントに出す同人誌であれば、きっとこれでよかったでしょう。作品が未熟であることも個性です。けれど、プロを目指すと公言している人間はそれではいけない。これは公募に出す作品ではない。そのレベルに締切までに仕上げることができなかった。それが、はっきりとわかりました。

 過去、公募の落選作になった作品は、私の中でどうしても「認めてもらえれなかった作品」として記憶に残っています。作品としてどんなに好きでも、それがぬぐえない。また、落選後は「もしこの作品を自分が満足できる状態で完成できていたら」と悔やむ自分がいるのです。過去、締切ぎりぎりに滑り込ませるように提出した作品は、未完成で未熟なものが多く、前述の公募に対する意識が低かったために、自分で自分の作品を殺してしまったようなものでした。

 今回の作品も、このまま勢いで提出して、結果、落選作として自分の中で位置づけてしまうのをよしとするのか。それを締切30分前に考えて、考え抜いた末、今回は新作を応募しないことに決めました。
 冒頭で言ったとおり「間に合わなかった」だけです。締切前に、自分の納得する作品に仕上げられなかった自分のせいです。物理的な執筆時間を取れなかった理由をあげれば、いくらでもあるのですが、それは条件としてみんな同じであって、それこそ言い訳に過ぎません。
 実際、締切後は応援してくれていた戦友たちに「提出しなかった」旨を報告して、ねぎらいの言葉をかけあって、一日を終えました。そもそも締切に間に合わなかったということが初めてで、こんなに精神的に苦しく、つらいものだと知りませんでした。

 そのかわり今の私の手元には、仕上げたら自分にとって最高傑作になるだろう作品が残りました。この作品が活きる方法をじっくりと考えたいと思います。
 
 ちゃんと仕上げて師匠に見てもらおうかな。いや「これどうしたらいいですかね」って聞かれても困るかな(笑)ていうか、この公募の話してないから「ちゃんと小説の公募に集中しろ」と言われてもごもっとも、と言うしか……もだもだ。

 冒頭でも書きましたが、公募に対する考えは人それぞれなので、他人を否定するつもりはありません。それに公募締切ギリギリに原稿を投げ入れることは悪いことではない。人によっては、ちゃちゃっと書いて投げ入れたものが、受賞してたりするんですよね。あくまでその手法をつかっても、クオリティが高ければいいのであって……。提出する作品の過程なんて審査には含まれないんです。どうでもいいんですよね、てっぺん取れれば。 

 でも私はそうではない。何度も直してクオリティを高められるタイプ。めんどくさいけど、初稿はクソなのでそうするしかないのです。自分が自分の作品に一番厳しい人間でありたい。逆に、自分の作品を一番愛している人間でもありたいのです。

 「間に合わなかった」という事実が私の心をいまだに抉っており、傷はぜんぜん癒えていないのですが、イベントを控えている身なので、次の原稿に取り掛かります。
 少し時間が経過してから原稿を読み直して「ひでぇな」と言う自分が予想できて、そっちも震えます……。

 こんな私ですがそれでも書くことは好きなんですよねぇ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?