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ボタンを押すだけチョチョイのチョイ

リモートセンシングやGISを生業にしていると、やや畑違いの同業から「ボタン押すだけチョチョイのチョイで仕事している」というような扱いを受けることがある。私は大規模な現地調査の総とりまとめもできるし、そこそこ大きな案件の主担当も(大きさによっては管理技術者も)できるタイプのGIS屋だが、現地調査と比べてこの”ソフトのボタンを押している仕事”が随分楽だと思うことはない。そりゃー慣れたソフトウエアのボタンを押して結果を出すのはどうってことないが、そのひと押しで数十万取ったってっておかしくないくらい工数をかけているので、そういう扱いを受けると私の頭の中では私は春麗(もしくはダルシム)になってありとあらゆる技を繰り出し相手をKOしている。頭の中なのでコントローラーの操作もいらず、簡単である。

最近、新たなソフトに毎日取り組んでいて、毎日コードを書いたり、ボタンを押したりしている。でも、ボタンを押すたびコードを走らせる度にエラーが返ってくる。エラーの原因に当たりをつけ、最初からもう一回やってみるけれどうまくいかない。そもそも新しいソフトなのでどこがエラーの原因なのか当たりすらつけられない。データやソフトの特性を知らないとエラーがなんで出てくるのかわからないからだ。そうすると手当り次第に設定を変えたり、データを開いたり閉じたりして手探りで取り組むか、上手な人に教えを請う以外にない。そうやってエラーに取り組むのはものすごく時間がかかる。それが1時間で解けるのか1週間かかるのか、エラーが出た瞬間にはわからない。コードはそこそこ理解しないと1行も書けないが、ソフトウエアはわからなくてもボタンは押せる。でも、その結果が帰ってくる仕組みはブラックボックスなので、ソフトウエアのほうがエラーを修正するのは難しいように感じる。

昨日はあまりにもずっとエラーばっかり食らって解析が全く進まなくなってしまい、ボタンを押すのすら怖くなって、ソフトに触りもせず現実逃避ばかりしていた。開発元に送ったメールや相談フォームも随分放置されているし、開発元のサポートはわりとざっくりggrksとかくだらねえ質問するとbanするぞこら(やや誇張表現があります)、とか書いちゃうオラオラサポートのため、質問一つ書くにも相当いろんなものを読まないといけなくて、読めば読むほどわからなくなり途方に暮れてベランダでもりもり大きくなっているシソとバジルをボーッと眺めて現実逃避している。

こうやってエラーに取り組んでいる時間は研究の成果が一つも出てこない。っていうか、ソフトのエラーなんか研究の本筋じゃない。トライアンドエラーというけれど、こうやって時間をかけて取り組んでやっとこさ出した結果が全く使い物にならないものだったりすることもあるわけで、その道程の遠さにがっくりしたり、呆然としたりする。現地調査は肉体的に疲れるけれど、行けば何らかの情報を集められるし、それを基に結果も出せる分、もちろん不確定要素が沢山あることはわかっているけれど労力をかけた分の結果を得やすいように思う。ソフトウエアを使った解析は、賭けとか運みたいな超不確定なものに左右されているような気持ちになってくる。

この賭けに負けた場合、私は学位が取れなくなってしまうので、流石にへなちょこサポートのこの偏屈なソフトウエア以外にも代替案が必要だが、その代替案だって茨の道なのもよく知っているので、超悩む。いや元はと言えば、この状況で大学の施設を一切使えない上、PC系統のサポートもまったく受けられない状態で日本の自室から、3ヶ月強で修論書けって状況自体そもそも無理ゲーじゃないのか…。

書いてたら更にモチベーションが落ちてきたんだけど、ほんとうに時間がないので、そろそろまじめに”ボタン”と向き合います。

それではまた


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