私が刀ミュの源氏兄弟に会うまで②~厄年女の受難~

前略

仕事に謀殺されていた私は刀ミュ全配信の策略に嵌り、髭切、膝丸2振りの沼に落とされ、各所の神社に願掛けしますった結果…

見事、1公演当選!

2ヶ月後の公演までウッキウキで準備を進めていた。

だがここでもヤツが行く手を阻む

そう KO・RO・NA!!

ここにきてもコロナが影響してくる。

これは私が初めて双騎出陣観劇するまでの軌跡を記録したものである。

始まりは双騎観劇1週間前から

毎朝ニュースを見ながら朝食を摂るが、その時に必ず交通情報が流れてきた。
飛行機の運行状況も例外ではなく、利用客現象の為減便が毎日放送していた。

寝ぼけながらパンを齧ってると、ふと脳裏によぎった。

『あれ?私の取った飛行機…飛ぶんだよね?』

北海道在住の為、遠征には飛行機が必須。
直前で飛ばなかったら、洒落にならない。

ご飯を食べ終えてメールをチェックをしてみると…

行きも帰りも欠航ぅぅぅ!!!

まじかぁぁぁ!!気付いてよかったぁぁぁ!!

丁度私が乗ろうとしていた飛行機が両方減便対象だったので、ほんとに気付いて良かった。
幸いキャンセル料なしに出来たので、キャンセルして別の航空会社へ予約して事なきを得ました。

これで安心…

心置き無く双騎に行ける

だが、かつてブームを巻き起こした綾小路きみまろさんは漫談のネタで言っていた。

『悪いことは重なるものです』と

その時の私はこの後に待っている悪夢に気づくことはなく双騎までの日々を過ごしていったのです。

そして双騎観劇当日。

仕事でも早起きしない早起きをして、早々に着替えてメイクする。
この日のために買ったボビーブラウンのアイシャドウにローラメルシエのチークとエスティローダーのファンデ、例えマスクで隠れようともフルメイクをしていざ出陣。

晴れやかな気持ちで空港へ向かった。

少し早めに着いた私は、お土産屋さんに寄ることにした。

しかしこれは役者さんへのプレゼントではなく、私が以前上京した際にお世話になった先生方へのお土産を買って挨拶をしたかったからだ。

ただ、今回蜜を防がないといけないので直接対面するのは迷惑かと思い、手紙を書いてお土産と一緒に職場前の郵便受けに入れようと思ったのだ。

北海道銘菓のロイズの詰め合わせを買って、飛行機へ乗り込む。
その日は少し曇っていたが、徐々に晴れ間が見えてきてなんて清々しいんだろうと心が弾んでいた。

飛行機に乗り込んだ私は、離陸してすぐにチケットケースから便箋と封筒を取り出し、お世話になった先生へ手紙を書き始めた。

近況や手紙での挨拶の謝罪、お土産食べてくださいという旨を誤字脱字なくノーミスで書けて満足した私は、手紙をお土産の中に入れ、チケットケースを座席の下に置いたカバンの上に置いた。

思えば、この行動がこの後の悲劇に繋がっていたのだった…

無事に飛行機が羽田空港に到着して、すぐに電車に乗り込む。
7年半上京していたので、電車の路線図もほぼ把握しておりほとんど迷うことなく目的地の先生の治療院へ到着。

11時からの診療で到着したのは10:30前くらい。
私は音を立てないようにお土産を郵便受けに入れ、無事ミッションコンプリート。

ふふふ、気付いてくれるかなぁと思いながら、私は早めの昼食を摂るために、事前に調べていた日本橋の高島屋にあるパンケーキ屋に行くことにした。

その道中でお土産に気づいた先生から電話が掛かってきて「びっくりしたよー!顔くらい見せなさい!」とどうやらサプライズは成功したようだ。

今回、私は双騎観劇にあたって

・極力人混みを通らない
・昼食や晩御飯を時間帯をずらす
・手すりやドアに触ったら、持参した消毒液やハンカチで拭く

など、できる限りの予防対策を心掛けた。

特に会場のある舞浜は夢の国があることもあり、混雑は必須。
イベントなどの遠征で会場の周辺地理を知ってる私は、あえて昼食を別のところでとってから余裕を持って会場入りしようと考えていたのだ。

日本橋の高島屋のパンケーキは…それはもう美味でした。
温度差によって楽しめる食感、程よい甘さが口の中に広がり、お値段も張るものだったが日々の生活に対してのご褒美だと思えば、たまにはの贅沢となった。

お腹が満たされた後、高島屋の綺麗な化粧室でメイク直しをする為カバンを開け

そして、ある違和感に気付いた…

「あれ?チケットケースがない…?」

えっえっ…!
カバンのどのポケットにもチケットケースの影も形も見当たらない…

高級な化粧室で5分間くらい忙しなく探して…

「……ない」

ここでチケットを落としたことを自覚したのだった。

途端に全身から血の気が引いた。

いや、嘘!どこに置いたっけ??さっきのパンケーキ屋さん??お土産のなか?いや、お土産の中ならすぐに連絡くれるはず…

などとグルグル途方もない自問自答をしても、チケット激戦に買ったチケットは影も形もない…

絶望した。

まさかここにきてチケットを無くすって……

リアルに化粧室で OTL の姿勢になった。

だが、その時
何故か来年放送が決定してる『シャーマンキング』の葉の言葉が頭をよぎった。

「なんとかなる」

いや、実際根拠はない。

でもここで動かなければ何もならない。

何よりこの2ヶ月楽しみで楽しみで仕方なかった双騎を諦めたくない!!!

私はその『なんとかなる』を胸に、とりあえず現地の舞浜アンフィシアターへと向かったのだ。

幸い日本橋から舞浜までは乗り換えは2回程度でスムーズに到着することができた。

同じ電車に同じく双騎を観劇するであろう人や、これから行く夢の国に楽しみで仕方ない家族連れもいたが、私はこれから死地へ向かう兵士のように項垂れ両手を組んで目的地までの道のりを過ごしたのだった。

舞浜に到着し、イクスピアリを抜けて真っ直ぐアンフィシアターへ進む。

あぁ、イクスピアリも夢の国みたいで大好きなのに店の雰囲気を楽しめず、ただの道に感じてしまう。

アンフィシアターに近づくにつれ審神者の皆様のはち切れんばかりの笑顔がいっぱい。
かたや、私は死人のような顔つき。

とりあえず、一縷の望みを掛けてイベントスタッフに声を掛けた。

「あの…すみません、実はチケットを道中で落としてしまって…何かしらの対応などはありますでしょうか?」

もう声すら震えていた。
スタッフさんも困惑した表情をしながらも「少々お待ち下さい」とチケット対応の受付で確認を取ってくれた。

もう、私は祈った…
どうか、どうか…!!

だが、待っていたのは申し訳なさそうな顔をしたスタッフさんだった。

「申し訳ありません。いかなる場合でもチケットが無い方は入場することが出来ないそうで…」

そう、それは双騎の公式サイトにも記載していた。
脳内パニックを起こしていた私はその事を失念していたのだった。

凄く申し訳なさそうに話すスタッフさんに、私は頭を下げてその場を後にした。

スタッフさん、あなたは悪くないよ。
悪いのは無くした私だから。

来た道をそれはもうとぼとぼと引き返す。
人間あまりにもショックを受けると涙すら出ないんだなと、嫌に冷静に考えていた。

あぁ、双騎のこの日があったから 目にコンセントが刺さっても、デイサービスの利用者の便失禁対応も、めんどくさい事務作業も残業も全部全部頑張って来たのに…

頑張って来たのに…

この時の私はFateなら桜の闇堕ち
まどマギならソウルジェムの濁りまっしぐら

いまならあなた達の絶望が分かるよ。
今度もう1回ちゃんと見よう…

この際、会場近くのお店に入って配信見ようかな…
見れるだけでもありがたいと思わないとなと、半分諦めていた

その時だった…

私のTwitterに1件の通知が来たのは

それは遡ること、約30分前。

舞浜までの移動時の間、思考が低下しながらも私はチケットがない場合の最悪なパターンを想定していた。

それはチケットがなく入れなかった場合

そのため、私はTwitterで行く予定だった公演を何かしらの理由で行けなくなった人は居ないか検索を掛けてみたのだった。

すると

直近で見つかった。

すぐさま、チケットを紛失したことと譲って欲しい旨を相手に送って返事を待ったまま舞浜へ向かったのだ。

全身の血の気が失せて震える指先を何とか動かして、私は通知をみる

『チケットを無くされたことでお気を落としてしまっていると思います。チケットお譲り可能です』
※一部内容を変更しております。

神は私を見捨ててなかった!!!

私はすぐさま相手とのやりとりをし、無事にチケットを譲ってもらう事が出来たのだっっっ!!!

だが、ここで神は私に更なる試練を与えやがることとなる。

譲って頂けるチケットは未発券の為、ローソンで発券しないといけないのだった。

舞浜にはNEWDAYS以外のコンビニはない。
すぐさま私のGoogleマップが火を噴いた。

検索したら少し離れた所に1件、ローソンがある。

その時点で12:33
昼公演は13時開演。

もう、私はタクシー乗り場まで走った。

学生時代の走れメロスの情景が浮かぶ。大事な親友セリヌンティウスのために、足が止まりそうになるのを堪え必死で走るメロスの姿が重なる。

もう、今の私はメロスだ。

ロングスカート履いたアラサー女子のメロスだ。
BGMはきっとjamPROJECTのGONGだったはず。

久しぶりにダッシュしたおかげでタクシー乗り場まですぐに到着し、そしてすかさずタクシーに乗り込んだ。

「あのっ…ゼィ…ここの…ゼィ…ローソンまで、行ってくださいっ…!そして、その後っアンフィシアターまで、お願いしますっっ!!!」

息切れしながら目的地を伝えた私とは裏腹に、タクシーの運転手は当たり前だが冷静に分かりましたとだけ伝えて発車した。

私は迷惑にならないよう必死で呼吸を整え、全身から吹き出た汗をハンカチで拭う。

こんなに走ったのは学生時代と、新宿駅の西口と東口を出るのを間違えた時と飛行機搭乗締切4分前に着いたとき以来だわ…

そんなこんなで、ローソンに到着し無事に発券完了。

急いでまたタクシーに乗り込み、アンフィシアターへ向かったのだ。

手に握りしめていたチケットは、傍から見たらただのチケットだったが、その時の私には金の延べ棒並に貴重で大事な宝物に見えたのだ。

そうこうしているうちに、タクシーはアンフィシアターへ到着。

お金を払い、ありがとうございましたと車から降りようとした時タクシーの運転手さんが

「間に合いましたか?」

とそれまで無表情だったタクシーの運転手さんが優しく笑顔で声を掛けて下さったのだ。

私は負けず嫌いな性格で作品で感動して泣くことがあるけれど、それ以外は涙を堪える事が多い。

でも、必死の私に何とか間に合わせようと対応して下さったタクシーの運転手さんの優しさに触れて、まだ観劇も会場すら入ってないのに涙が溢れてしまった。

「っ!はい!充分間に合いましたっ!!!」

私は涙を拭きながら、会場の入口へ進んだ。

入口の隣には今回の公演のポスターが貼られていて、何回も見ているのに、その時に見たポスターの2振りが

「よく間に合ったね」

と言ってくれる気がして、ここでも泣いた。

こうして無事に会場内へ辿り付き、初めての刀ミュ観劇、そして初めて源氏兄弟に会うことが出来たのです。

現在公演中の為、内容の感想などは控えさせて頂きますが、これだけ言わせてください。

「やっと会えたね」

このたった7文字の一言に、私は全て救われました。

ずっと涙腺が緩みっぱなしで、この一言でいい歳した大人が人目を憚らず号泣することが出来ました。

本当にありがとう。

この大変な状況下で公演してくれて本当にありがとう。

そして心配してくださった方々、手を差し伸べて下さった方、タクシーの運転手さん

感謝しても足りないくらいです。

私は今日という日を絶対に忘れはしません。

そして、なにより刀ミュが、源氏兄弟がより一層好きになりました。

これからも微力ながらも応援していきます。

公演後の帰り道に、航空会社に問い合わせたらチケットケースはどうやら私が座っていた座席に落ちていたらしく、保管されてました。

無事に手元に戻ってきてホッとしました。

とはいえ、これを書いている頃はまだ予断を許さない状況の為、観劇が終わった後もより一層体調管理や予防に徹底して日々の生活を送りたいと思っております。

普段はこんな長文の日記的なものは書かないのですが、今回は文章に残して置こうと思い執筆しました。

どうか一刀ミュファンの雑記だと思って読んでくださると幸いです。

それでは。

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