森家ファイト__ver1

5-1 シンデレラパークと招待状


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キャラ (1)

 その日の朝、カタギリ家に一通の招待状が届いた。

 ピンポンが鳴って、俺が外に出ると配達人は消えていた。

 よほど足の速いヤツだったらしい。

 タイミングのいいことに、メンバーを招集したところで、カムラとカワハラ以外のみんながその場に居た。

「差出人は……【アイスクイーン】? なんだこりゃ……?」


メインキャラ (12)

「……微量の悪意反応がある」


キャラ (1)

「悪意だと? マジかよ……」


 悪意のほうから直接俺にコンタクトしてきたってのか……?

 さすがに緊張しながら封を切ると、古風で仰々しい書状が入っていた。

 なんだこりゃ。大昔の舞踏会の招待状みてーだな……。


 ―― ハヤト殿。貴君の【大切な女性】を預かっている。無事に返して欲しければ、貴君ひとりで、シンデレラパレスの【仮装舞踏会】へ来られたし ―― ~アイスクイーン~


キャラ (4)

「こ、これって誘拐の脅迫文じゃないかよお……!?」


キャラ (3)

「しかも兄貴を名指しだっ」


キャラ (1)

「……けど、大切な女性って、ナミはちゃんとここに居るじゃねえか」


 つい無意識にそう言った。ふと見ると、ナミが口を開けて固まっていた。


キャラ (21)

「……………………」


「あ、いや」

「……なにそれ」

「そういう意味じゃなくて」


キャラ (21)

「……意味不明」


キャラ (1)

「……だから……そう。アリバの戦士にとって、大切で重要な人物って意味だよ、うん」


「……………………」


 ンッ! ……ンンンッ!

 まわりから、取ってつけたような咳払い。


pヤノ

「……ったくよお」


pカスガ

「あははー」


pクリハラ

「ムホホ」


pヨシユキ

「……ですな」


pシンジロー

「……ハァ。兄貴は女のひとの扱いをもっと学ぶべきだよ」


pシモカワ

「でも、ハヤトさんって、自分に好意を寄せる女のひとの気持ちにはけっこう鈍感だからな……」


キャラ (1)

「と、とにかく、【大切な女性】ってのが、ナミじゃないとしたら誰だ?」


キャラ (11)

「……ハヤト。心当たりはないのか? おまえのただれた女性関係で」


キャラ (6)

「こいつ昔からけっこう女にだらしないからねー」


pハヤト

「おまえらうるせーっ! ……しかし、他に思いつくとしたら、マユスエくらいしか……」


メインキャラ (12)

「ピクッ。……スエ? それだれ?」


「あ、いや……」

 そういやナミはセーブカンパニーに入ったことなかったんだっけ。


キャラ (5)

「ところで、シンデレラパレスとはなんなのだ?」


 コミネがうまい具合に口を挟んだ。空気を読まねえ風の大将、ナイスっ。


キャラ (7)

「ムホホ。西区にある遊園地『シンデレラパーク』のシンボルですよ、コミネさん」


キャラ (8)

「シンデレラパークって、西日本最高速ってジェットコースター『INABIKARI』があるとこやん!」


キャラ (17)

「おれの町・福岡が一望できる巨大観覧車もありますな」


キャラ (11)

「ハヤト。囚われた相手が誰かはともかく、行くしかないぞ。全員でシンデレラパークへ乗り込むことを提案する」


キャラ (1)

「全員? けど、招待状には俺ひとりで来いって……」


「いや。よく読め。シンデレラパレスの仮装舞踏会にひとりで来いと書いてあるが、シンデレラパークとは書いていない。全員でパークに乗り込み、ハヤトひとりでパレスの指定の場所へ行けば、相手の要求は呑んだことになる」

「なるほどな」

 さすが頭のいいやつは揚げ足取りが上手いぜ。


キャラ (4)

「で、おれたちはいつでもサポートに行けるよう、近くで待機しとくわけだなあ」


キャラ (3)

「ヒャッホオオオォォイ! おれたちもシンデレラパーク行けるのか!」


キャラ (8)

「シンジロー! INABIKARI乗っちゃろうぜ!」


キャラ (7)

「ムホホ。『無重力体験MOR』とやらも天才的には気になりますねえ」


キャラ22

「いや……あの……おれは個人的には……遊園地とかどうでもよくて……家に帰りたいっていうか (って、だれも聞いてないにゃあああ……)」


pシモカワ

「あ、でもシンデレラパークって入場料金バカ高いですよ! 僕も女の子と行こうと思ったけど諦めましたからね」


pコミネ

「む、ムウ! このコミネ、自慢ではないが、今日を生き抜く生活費しか持たぬ!」


pハヤト

「……いや、それなら心配いらねえ。今日は『仮装舞踏会』って書いてあるだろ? これがある日は、なんでもいいから仮装すりゃ入場料がタダになるんだ」


pシンジロー

「兄貴、詳しいなー」


「……まあな」

 実は以前、俺は、仮装してシンデレラパークに行ったことがある。

 ……そして。そこで……ケイと出会った


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……ケイ……?


「ハヤト」

「……………………」


ササー

「ハヤト」


キャラ (1)

「……あ、ああ。なんだ?」


「私は今回欠席させてもらおう。限定された空間だけに、悪意に囲まれ乱戦になる可能性が高い。アリバのない私は足手まといになる」

「そうか。わかったぜ」


キャラ (11)

「……ナミ」


メインキャラ (12)

「……なに?」


 珍しくササハラがナミの名を呼んだ。

 が、ナミのほうは相変わらずの無愛想。

「私はまだメンバーに加入して日が浅いが、どうにもキナ臭い話に見える。なにが起こるかまったく予想できない。アイスクイーンとやらの正体も未知数だ。こちらでも色々調べてはみるが、現地でしっかりハヤトをサポートしてくれ」

「……フン。悪意がらみだからね。言われるまでもないよ」


 こうして俺たちアリバの一行は、シンデレラパークに行くことになったのだった……。


 ◆


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風景 (33)


 福岡市西区に位置する『シンデレラパーク』……

 西日本随一の観覧車を擁する巨大テーマパークで、『日本最大級』とか『西日本一』とか『日本最高速』とか、景気のいい言葉を冠したアトラクションが盛りだくさんだ。


pナミ

「ここがシンデレラパーク?」


 入場ゲートの前で、ナミがはずんだ声を出した。

 戦闘時以外は無口・無愛想のナミも、遊園地の楽しげな雰囲気を前に、テンション上がっているらしい。


キャラ (2)

「なんか賑やかなところだね」


 物珍しそうにキョロキョロ。初めて大きな遊園地に来るらしいから仕方ないが、悪意と関係してるってのに、いつもより緊張感がない。

 結局顔を出さなかったカムラ・カワハラと、離脱したササハラをのぞいた総勢10人で、ぞろぞろとゲートへ向かう。

 ここで仮装の手続きをするのだ。ちなみに衣装は無料レンタル。

 衣装には、マンガ・アニメ・ゲームのいわゆる『コスプレ』から、童謡・おとぎ話・レトロ映画といった正統派の『仮装』まで色々揃っている。

 と言っても、ほとんどの入場者がアニメ・ゲームのコスプレを選ぶから、ちょっとしたオタクイベントになっているのが『仮装舞踏会』の現状だ。

 ナミだけが女性用入口。残りは男性用入口へ。

 俺たちは思い思いの扮装をして、真夏の遊園地へと足を踏み入れた……。


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