森家ファイト__ver1

幕間2 シンジローの見たもの

風景 (28)


キャラ (13)

 南区で西鉄電車が暴走し、福岡市動物園で脱走騒ぎがあった夜。

 兄貴とナミさんはすげえ疲れた顔をして帰ってきた。そしてなぜか、ヤノくんとコミネくんも一緒だった。

 四人の間には、なんか妙な一体感があって、何やら今後の方針的なことで盛り上がっていた。

 おれは、ヤノくんコミネくんとも友達付き合いをしているのに、兄貴の部屋にすら入れてもらえなかった。


「な、なんでだよ! おれだけノケモノかよ!」


「コイツはな、大人の問題なんだ。高校生が出る幕はねえ」


 白熱する会議はいつのまにか賑やかな飲み会になったらしく、みんなの楽しそうな騒ぎ声が聞こえてきた。


キャラ (6)

「ゆ、ユリアーーーーー」


キャラ (9)

「ホキョエアアアアアアアア」


pハヤト (2)

「おまえら、俺の部屋で暴れんじゃねえええ! ところでナミはどこ行ったっ?」


 ヤノくんもコミネくんもすっかり出来上がってる。

 酒を飲まない兄貴はクールだったけど、「飲み物が切れた。マウンテンデュー買ってこいや」と理不尽に命じられた。


キャラ (8)

「お、おれは混ぜてくれないくせに、パシリかよお……」


pハヤト

「だまれ」バキッ!「いいからはやく買ってこい。ぬるくなってたら、必殺パンチの刑だぜ?」


 くそ! なにが必殺パンチだよ。

    ただのパワハラダサい名前付けやがって!


 マウンテンデューは、家から北に少し離れた『上水公園』の近くの自販でしか売ってない。

 そこまでは夜道を少し歩く。

 パシリに使われるだけってのもシャクだったから、炭酸の缶を思いきり振ってやることにした。

 ひと目につかないよう、上水公園の中に入る……。


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 夜の木の匂いがする階段を上っていると、暗い公園の中から女のひとの声が聞こえてきた。


pナミ

「………………………………」


 あれは……ナミさん……?

 家から離れたこんな場所でなにを?

 思わず茂みに隠れた。



メインキャラ (12)

「……ハイ。素体『H』との接触に成功しました。多少のイレギュラーがありましたが、計画はおおむね順調です。それから、『H』の友人である『Y』『K』がアリバに目覚めました。絶望の因子は集まってきています」


 それは、俺がそれまでに聞いたナミさんとは、全然別人の口調だった。

「……え? イレギュラーの内容ですか? 隕石が着地したとき、『H』が巻き込まれ、心肺停止の状態に陥りました。
 仕方なく、私が蘇生の処置を施しましたが、肉体の修復期間中は、私のアリバがまったく使えない状態になっています。
 ただ、副産物として『H』が無属性のアリバに目覚めましたハイ。非常に珍しい属性です。……あ、いいえ、チカラそのものは、それほどでもありません。むしろ、弟のほうに強力なアリバの可能性を感じます」

 隕石? 心肺停止? 蘇生?

 ちんぷんかんぷんだけど、『弟』という単語には、思わずピクッと反応した。


pナミ

「……【狂気】の種子はいまだ発芽の気配がありません。このままもう少しストーリーを進めるべきかと。被検体『M』については……」


 ナミさんの声はそこでかすかに戸惑いを見せた。

「……結局、『M』は最強の悪意の幼生体ではなかったようです。悪意として覚醒もしませんでした。『H』と軽い接触はありましたが、二、三言葉をかわしただけで、【狂気】の種子に対する影響はほぼゼロでした。以降は、監視の必要もありません」

 ナミさんの声は続く。

「多少の誤差はあるものの、問題はないと判断します。計画の続行をお願いします」


 その後もよくわからないナミさんの会話は続いた。

 誰と話してるんだろう? なぜか人間の気配はひとり分しか感じない。

 心臓がバクバク痛いくらい鳴って、息もできなくて……

    すっかり身体も委縮して、ナミさんが話している相手が誰なのか、確かめることもできなかった。


メインキャラ (12)

「……わかりました。次は東和高校ですね。弟のアリバは非常に不安定ですが、きっと……」


 東和高校、とおれが通う高校の名前をナミさんが出した瞬間、もうそれ以上は聞いてられず無意識にその場から逃げ出した。

    たまらなく怖かった。

 背後で鳥の羽ばたくような音がしたけれど、おれは振り返れなかった。


pシンジロー

 なんなんだよ、これ……。

 ナミさんの正体って、いったい何者なんだ!

 この福岡市で、いったいなにが起こってるんだよおおおお!!!


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 第2話 【縁は異なもの同級生】 終わり



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 第二話終了時のステータス
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メインキャラ (1)


【ハヤト】 大学生 レベル5 EXP134 無属性 身長174センチ 体重65キロ

 HP 76 (B)
 攻撃力 73 (A)
 防御力 17 (C)
 特殊攻撃 32 (C)
 特殊防御 10 (D)
 素早さ 43 (B)

《福海大学法学部三年生。21歳。厳冬流格闘術白帯。なんでも器用にこなすバランスのよさを持つ反面、これといった決定打に欠ける器用貧乏。一見ぶっきらぼうだが、実はお人よしで面倒見がいい。小説家志望の夢見がちなロマンチスト。
 腐れ縁であるヤノ・コミネとともに、アリバの戦士として福岡市を護るために立ち上がる……が、相変わらず詳しい事情はなにもわかっていない。ステータスは中の上程度。ナミいわく、世界で唯一の無属性にして、この物語の鍵を握る【イレギュラー】
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メインキャラ (47)

~氷の重爆~【ヤノ】 大学生 レベル5 EXP134 氷属性 身長185センチ 体重100キロ

 HP 150 (S)
 攻撃力 126 (S)
 防御力 15 (D)
 特殊攻撃 20 (C)
 特殊防御 25 (D)
 素早さ 12  (E)

【西難大学三年生。21歳。規格外の体格のせいで怖がられがちだが実は心優しい。ハヤトの同級生。腐れ縁の相棒。実はハヤトより少し成績が良く、大学は違う。基本的に何事にも冷めているが、付き合いがいいことから、色々と巻き込まれている。特技は部活でもあるアーチェリー。顔立ちはまるで白人。
 迷いなく自分の考えを最優先するハヤトと違い、相手の気持ちを慮ってしまうため、貧乏くじを引くことが多い

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メインキャラ (48)

~風の狂騒~【コミネ】 大学生 レベル5 EXP134 風属性 身長180センチ 体重85キロ

 HP 98 (A)
 攻撃力 71 (A)
 防御力 32 (B)
 特殊攻撃 56 (A)
 特殊防御 32 (B)
 素早さ 30 (C)
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【福海大学三年生。21歳。天上天下唯我独尊を地で行く孤高の男。ハヤト、ヤノとは中学から一緒。正義に並々ならぬ思い入れがある。オリジナルの『コミネ神拳』を編み出すほどの北〇の拳マニア。
 平常時ではただの変人だったが、心の力を具現化するアリバによって、その思い込みは強大な戦闘力として見事昇華した。
 彫りの深すぎる顔立ちだが、れっきとした純国産品。ナミいわくバトルマシーン。ハヤトが想いをぶつけるまでもなく、勝手にアリバに目覚めた

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【レベル1 秘孔 30/30 威力65 命中率85% 追加効果・麻痺】

《どこかの世紀末救世主漫画でもおなじみのアレ。人体に存在するツボを突き、敵を内部から破壊する……ワザを模したコミネ神拳の基本技。敵は爆砕できないが、威力は申し分なく、かなりの高確率で麻痺させる》

【レベル2 激怒 6/6 能力変化 攻撃力30%アップ】

《どこかの世紀末救世主漫画の主人公のようなシリアス顔で「お前らに今日を生きる資格はない!」と激怒して攻撃力を格段に上げる。しかも重ねがけ可能。演出上全身の筋肉が隆起し服がビリビリに破れるが、いつのまにか元に戻っている》
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 第3話 【東和高校夏の陣】 に続く



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