森家ファイト__ver1

3-3 炎の暴発シンジロー

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 三年生と特進クラスが学ぶ新校舎。

 その屋上へと続く薄暗い階段で、シンジローは小さくなって背を丸め、ガタガタ震えていた。

 我が弟ながら情けないぜ……。


キャラ (1)

「悪い。ちょっとふたりだけで話させてくれるか?」


キャラ (4)

「おう。シンジローの相手はアニキのおまえが一番だぞお」


キャラ (5)

「正義が必要になったらすぐに呼べ」


キャラ (17)

「シンジローの扱いはハヤトさんに限りますな」


メインキャラ (12)

「ハヤト」


「ん?」

弟は……アリバだ

「だろうな」

 あんな愚弟でも、今じゃ俺にもハッキリ感じるぜ。シンジローの体内にくすぶっている、熱い何かを。

 ゆっくり階段を上った。


pハヤト

「……ったく。こんなところで何やってんだよ、副生徒会長サマがよぉ」


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キャラ (3)

「ひッ! あ、アニチッ!! た、助けにきてくれたの!?」


「はあ? お前を助けに? 違ぇーよ。俺は悪意を討伐しにきたんだ。そしたら、小動物みてーにガタガタ震えているヤツが居るから、誰かと思えば、俺の弟だったってだけだ」

「あ、アニチいぃぃぃぃ!」

 シンジローは両手を広げてすがりついてくる。
 俺はパッと飛びのいてそれをかわした。

「み、みんな、おかしくなって! し、シモカワが変になって! おれを狙って生徒たちに襲わせて! それで! それでええええ!」

「……それで、ビビッてこんなところでひとり震えていたってのかよ……? 情けねーな」

「お、お、おれ……こわっ怖くてっ」


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「俺はな、お前もとっくにアリバに目覚めて、この東和高校の平和を守るために奮戦してんじゃねーかって、これでも少しは期待してたんだぜ?」

「あ、ありば……? それって……」

「……もう、隠したって仕方ねーよな」

 俺はシンジローにすべてを伝えた。

 鴻巣山の隕石。ナミとの出会い。アピロスの騒ぎ。アリバの目覚め。マユとの戦い。そして、同じように覚醒したヤノやコミネと協力して、動物園や西鉄電車の事件を解決したこと。

 肉親だけに、短時間で、これまでの誰よりもハッキリとすべてを伝えられた実感があった。


キャラ (3)

「そ、そうか……やっぱり兄貴だったのか……お、俺と違って兄貴はやっぱりすげえや……


 こんなときだってのに、まだ卑屈になるシンジロー。
 だが、それも俺に責任がある。俺の存在感が、こいつをこんな情けない男にしたのだ。俺が甘やかすから、こんな兄貴依存になっちまったのだ。

「あ、兄貴がアリバなら、早く東和高校をなんとかしてくれよお。シモカワや、悪意に取りつかれたみんなを助けてくれよおおおおお」

「それで、おまえはどうするんだ?」

「え?」

「また俺に助けられて、それでいいのかって聞いてんだよ」

「け、けど俺にはアリバなんて」

「ある」と俺はキッバリ告げた。「ナミの話じゃ、お前にもアリバはある。ま、俺にもあるんだから、弟のお前にあっても全然不思議じゃねえ」

「おれにも?」


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「だけど、せっかくのアリバもくすぶっちまって、ついたり消えたり、不良品みたいに不安定の不完全燃焼だ」


キャラ (3)

「お、おれは存在自体が、不良品で、不安定で、不完全だからさ……」


 また自分を否定し、内にこもろうとするシンジロー。
 もう時間もない。やっぱり荒療治しかねえか……。

「そう思い込んでるだけだ。仕方ねえ。そんなお前のくすぶったアリバに俺が火をつけてやろう」

「え? ど、どうやって……」


pハヤト

 問答無用の必殺パンチ! ドギャッ!


「オブフアアアァァァァァッッッ!!!」


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 ドゴンッと景気のいい音を立てて、シンジローはぶっ飛ぶ。相変わらず殴り心地のいいヤツだぜ。

「……馬鹿野郎が。いいか、お前には人にはないすげえところが一個だけあるんだ。それが何かわかるか?」

 腫れた顔を押さえながらシンジローがキョトンとする。

「お、おれにある、他のひとにはない、すごいところ……? な、なに?」


pハヤト

「この俺だあー!」


 俺は自分を親指でビシッとさしながら言った。

「おまえのたったひとつのすげえところは、この俺という偉大な兄貴が居るところよ! わかるか? おまえはひとりじゃねーんだ。俺がついてる。だから何も心配するな」

「お、おれには兄貴がついてる……? ひとりじゃない……?」

「ああ。もしものときは、いつだって俺が駆け付けてなんとかしてやる! だから、心配しないで、お前のハートに遠慮なく火をつけて燃やせ!」

「ハートに火を?」

「ナミに聞かなくたってわかるぜ。お前の属性は『火』だ! 熱く燃える紅蓮の炎だよっ」

「う、う、う」

 シンジローの身体からうっすらとオレンジ色の輝きが立ち上る。
 やがてそれはゆらりとした炎の穂を生じさせた。


pシンジロー

「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」


 シンジローの叫びとともに、火炎は階段の低い天井に達するほどまで膨れ上がった。



「うおおおおおおおおおお!!!! おれ、ひとりじゃダメかもしれないけど、ひとりじゃない! 兄貴がついていてくれる! 俺には兄貴が居る! だから、やれる! なんかチカラが湧いてきたぜえええええ」


pナミ

「アリバキターーーーーーー!!」


 階下でナミが叫ぶ声。

「ああ。そのようだな。ったく、手間かけさせやがる」

 ……本当はもっと自立した方向に燃え上がらせるべきだったが、今は時間がねえ。それはおいおいだ。
 階下から待ちかねたように仲間たちが上ってきた。


pヨシユキ

「シンジロー! おまえもアリバに目覚めたようですなっ」


pシンジロー

「ヨシオ! おれ、やるっすよおおおおお!!」


pヤノ

「シンジロー。俺にもわかるぞお。すごい炎だなあ」


pシンジロー

「ヤノくん! おれも仲間に入れてもらうよ!」


pコミネ

「フフ。正義の使徒がまたひとりか」


pシンジロー

「コミネくん! おれ、頑張るよ!」


pナミ

「弟」


キャラ (3)

「な、ナミさん……」


 そこでシンジローは何やら複雑な顔でナミを見た。
 勢いをそがれたように言葉を飲み込む。

「すごいアリバだよ。ボクの見込んだ通りだった。そのチカラがあれば、きっとハヤトを助けられる。……いつか必ずそのときが来るっ。だから……頑張って!」

「……は、ハイ!」


キャラ (1)

「よし。時間もあまりねえ。人数も増えたし、ここからは二手に分かれるぞ。ナミ、状況はどうなってる?」


メインキャラ (12)

「東和高校内のほぼ全域が悪意に汚染されてるけど、まだ何とか粘ってる正気の生徒たちも散在してる! それから、肝心の悪意だけど、強い大物の反応がふたつ。そのうちひとつが体育館で、もうひとつは放送室……」


 そのとき、校内のスピーカーがガガッとノイズを発した。


キャラ (8)

『……ガッ……全校生徒に告ぐ! 副生徒会長のシンジローを探せ! そして、まだ悪意に染まっていない生徒は見つけ次第、指導するのだ! なにも考えず、甘美な悪意に身を任せろ! ……ガガッ……』


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キャラ (1)

「お、おい。この声ってシモカワか!?」


キャラ (3)

「兄貴! おれ、シモカワのところへ行くよ!」


メインキャラ (12)

「うん。そのシモカワってひとがもうひとつの大きな悪意だ。でも、たぶんボスじゃない。体育館に居る本命に操られているんだ! 弟!」


「は、はい!?」

弟の想いをぶつけて! そして正気に戻して! ひょっとしたら、そのシモカワってひとも……アリバかもしれない!

「よし。方針は決まったな」と俺は仲間たちを見まわす。


キャラ (1)

「俺、ナミ、ヤノ、コミネは、体育館へ悪意のボスを叩きに行く! シンジローとヨシオは、校内に残った正気の生徒をできるだけ助けて、放送室のシモカワを正気に戻せ!」


キャラ (4)

「……ったく。面倒なことになってきたぞお」


キャラ (5)

「コミネ神拳、いつでも準備は万端だ!」


キャラ (17)

「おれはシンジローと一緒に行動ですなっ」


キャラ (1)

「ああ。ヨシオの戦闘力ならふたりでも問題ねーだろう。シンジロー。おまえは死ぬ気でヨシオの壁になれ!」


キャラ (3)

「う、うん! おれバカだけど、それくらいなら頭使わなくていいからできるよ!」


pハヤト

「よし。野郎ども、出陣だ! 東和の乱……俺たちで終わらせるぞっ!」


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【シンジロー】 レベル5 EXP182 属性 炎

 HP 78 (B)
 攻撃力 61 (B)
 防御力 35 (B)
 特殊攻撃 69  (A)
 特殊防御 22 (C)
 素早さ 36 (C)
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【東和高校二年生。気合が原動力の熱血少年。極度のブラコン。兄ハヤトに対する強い憧れと劣等感が、強みでもあり弱みでもある。基本的に小心者だが、一度火がつくと調子に乗ってどこまでも突っ走る。

 強大なアリバを内に秘めるも、不安定で今だコントロール不能。ドライなハヤトと違い、友情を大切にするため友達が多い。趣味はパソコンとイラスト】
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【熱血パンチ 20/20 威力10~70 命中率80% 火属性・通常】

《ハヤトの必殺パンチを真似た技。火をまとった荒々しい右ストレートを放つ。本家同様、出が早く使い勝手は悪くないが、威力は不安定で、強弱の落差が激しい

【熱血 5/5 攻撃力アップ 防御力ダウン 三回まで重ねがけ可】

《ハヤトの集中の真似。情熱をたぎらせ攻撃力を上げるが、スキが出来て防御は下がる。三回まで重ねがけ可能だが、なんとかモードとかは特にない

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