『アタシはいまから語ろうと思う。

　福岡市を守って人知れず戦った、１１人のフツーの男たちの物語を。

　彼らは、ヒーローというには、ちょっと無理がある、頼りない、でもすごく優しい男たちだった。

『敵』は悪意。ひとの心に棲まう闇。

　アタシたちの武器はアリバ。心の力、アリバ。

　アタシたちは、アタシたちの中にある、勇気を、愛を、信念を、夢を、希望を、優しさを、正義を、努力を、矜持を信じて、大切に育んで、力に変えて、悪意と戦った。

　そしてもちろん、友情を信じて。

「彼」は、友情なんて聞くと、ちょっと顔を赤くして、「そんな上等なモンじゃねーよ」だなんて言うだろうけれど。

　その物語は、「彼」を主人公として、「彼」の視点で語りたいと思う。

「彼」は、厳密な意味では主人公ではなかったのかもしれないけれど、それでも、やっぱりその物語は、「彼」を中心にして紡がれるのが一番自然だとアタシは思うから。

　……さあ。語ろう。

　ご近所を守り、学校を守り、福岡市を守り、ついには地球の命運をかけて戦うことになる、フツーの１１人の男たちと、４人の女たちの、ちょっとフツーじゃない、レトロな冒険の物語を。

　その、「彼」の名は……』

【目次】

第一話　「はじまりの夜」

第二話　「縁は異なもの同級生」

第三話　「東和高校夏の陣」

第四話　「爆弾狂騒曲」

第五話　「焼け木杭に氷の微笑」

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