見出し画像

絵巻『熈代勝覧』の虚無僧に会いに行く

熈代勝覧きだいしょうらん』とは、文化2年(1805年)の頃の、日本橋から竜閑川に架かる神田今川橋までの通りの様子が描かれている絵巻。
当時の問屋街や人々が生き生きと描かれており、この辺りは江戸一の商店街だったそうな。

作者は不明。

1990年代にベルリンで発見され、現在はベルリン国立アジア美術館に所蔵されています。

こちらのサイトで、絵巻が見られます。

ベルリン国立アジア美術館の絵巻が拡大で見ることができ、とても綺麗な色彩のまま残されていることが分かる。


このウェブサイト上でも虚無僧は見られますが、1.4倍の複製が東京メトロ三越前駅地下コンコースに設置されている!


レプリカでも何でも、虚無僧がいるなら会いに行きますよ、そりゃ。



熈代勝覧きだいしょうらん』の意味は、

熈(かがやける)御代(みよ)の勝(すぐれ)れたる大江戸の景観を一覧する」という意味だそうな。(熈代勝覧 日本橋ガイドより)



早速、

虚無僧を探せ!


今川橋から左の方へ。


お、いたいた。
真ん中の下の方。

上部に「本石町二丁目入口」とあり、「通石町」とある四辻に二人連れの虚無僧。

先ほどのウェブサイト「熈代勝覧 日本橋ガイド」の⑩の辺り。


因に現在も「本石町二丁目」はあり、日本銀行本店の住所となっております。


拡大。

黄色い袈裟ですね。

二人とも、手に尺八は持っていますが、吹いてはいないようです。二人で何か話していそうな雰囲気。


そこから少し日本橋側に寄り、「傘・雪駄問屋(伊勢屋)」の店先に虚無僧二人連れがいます。

お、いるいる。
説明付き。
拡大。

足駄(高い歯の下駄)に黒の丸絎け帯。腰には黄色い尺八袋が下げられている。
赤いのが袈裟(絡子)なのか、肩がけじゃないのが微妙…。

一人は店に向かって、一人は通りに向かって、お互い向き合って尺八を吹いているように見える。

絵的に、後ろ向きだけではなく前向きの虚無僧も描きたかったのかな。



その虚無僧二人連れのいたあたりは十軒店じっけんだなと呼ばれた大通りの通称。

人形を売る店が十軒あったところからそう呼ばれたそうな。

雛人形、五月人形、羽子板などを売る店が多かった。

「熈代勝覧サイト」にも⑮で拡大が見られます。


こちらは『江戸名所図会』の十軒店。
ログインして見られます。


歌川国貞の浮世絵に描かれた十軒店。

歌川国貞(三代目豊国)画
ボストン美術館所蔵


十軒店じっけんだな跡の碑があります。

ショウウィンドウの中にお雛様が飾られています。
2020年に建てられたようです。


現在の中央通りはこんな感じ。

すっかり様変わり。


そして、最後の一人は三井越後屋が店をかまえる駿河通りで吹き流しをしています。

https://www.mistore.jp/store/nihombashi/column_list_all/nihombashi_history/list10.html

↑こちらのサイトでも探せます。

先ほどの「日本橋ガイド」のウェブサイトでも拡大で見られますので探してみましょう!


三井越後屋は伊勢松坂出身の三井高利が創業した、江戸随一の呉服店。

この辺りは駿河町と呼ばれ、富士山がよく見える景勝地でその名がついたのだそう。

広重をはじめ多くの錦絵が描かれている。


こちらは葛飾北斎。呉服屋の看板が見えます。

この辺りから富士山が見えたとはなー。


そして日本橋。

ここからも富士山。

こちらは葛飾北斎の日本橋。

葛飾北斎画 
富嶽三十六景 江戸日本橋

橋の上はぎゅうぎゅう。頭しか見えないけど。
北斎の構図、さすがです。笑


現在の日本橋は、上の高速道路で全然目立ちませんが、2040年頃には地下へと移設され、日本橋に青空が戻って来る予定だそうですよ。

早く見れるといいですね〜。

日本橋の碑が建てられている。



辺りをブラブラしていたら、ちょうどニホンバシ桜屋台開催中でした。

ニホンバシ桜屋台🌸

気軽に老舗、名店の味を、楽しませてもらいましたよん🍱



以上、

『熈代勝覧』に描かれた虚無僧さんでした♪


この『熈代勝覧』には、その他江戸の頃の人々がたっくさん描かれて楽しいです。

是非、東京メトロ三越前駅地下コンコースまで出掛けくださいまし〜。


もしかして六人目の虚無僧さんがいるかも?!

いたら、教えて🙏


古典本曲普及の為に、日々尺八史探究と地道な虚無僧活動をしております。サポートしていただけたら嬉しいです🙇