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『羽衣』を尺八で吹きませう♪

羽衣伝説の歌です。


作詞 林 柳波 
作曲 橋本国彦

昭和16年。





1. 
白い 浜辺の 松原に
波が よせたり かえしたり  

2. 
あまの 羽衣 ひらひらと
天女の 舞いの 美しさ

3. 
いつか かすみに つつまれて
空に ほんのり 富士の山






羽衣伝説は、日本のみならず世界中にあり、ヨーロッパでは白鳥処女説話(Swan maiden)であったり、その他色んな動物であったりするようです。

日本で最古の羽衣伝説とされるものは風土記逸文として残っており、滋賀県長浜市の余呉湖を舞台としたものが『近江国風土記』に、京都府京丹後市峰山町を舞台としたものが『丹後国風土記』に見られる。




歌詞に「松原」「富士山」とあるように、この歌は静岡県の三保の羽衣伝説の歌ですね。

三保の村に伯梁という漁師が住んでおりました。ある日のこと、伯梁が浜に出かけ、浦の景色を眺めておりました。ふと見れば、一本の松の枝に見たこともない美しい衣がかかっています。しかし、あたりに人影はありません。誰かの忘れ物だろうと、伯梁が衣を持ち帰ろうとしたそのとき、どこからともなく天女があらわれてこう言いました。『それは天人の羽衣。どうそお返しください』ところが、それを聞いて伯梁はますます大喜び。『これは国の宝にしよう』とますます返す気配を見せません。
すると天女は『それがないと私は天に帰ることができないのです』とそう言ってしおしおと泣き始めます。さすがに伯梁も天女を哀れに思い、こう言いました。『では、天上の舞いを見せてくださるのならば、この衣はお返ししましょう』天女は喜んで三保の浦の春景色の中、霓裳羽衣の曲を奏し、返してもらった羽衣を身にまとって、月世界の舞いを披露しました。そして、ひとしきりの舞いのあと、天女は空高く、やがて天にのぼっていったといいます。
なお、このときの羽衣の切れ端といわれるものが、近くの御穂神社(みほじんじゃ)に保存されています。

「羽衣の松」と「三保松原」清水海岸ポータルサイト。


国立国会図書館所蔵

『遊覧の清水』清水市保勝会より



ボストン美術館所蔵

こちらは歌川広重の三保の松原の『羽衣伝説』


詳しくはこちら↓



見出し画像の浮世絵は、葛飾北斎筆『羽衣』。
ボストン美術館所蔵。

こちらも三保の松原ですね。


実は行ったことがないので一度訪れてみたいと以前から思っています。





それにしても『羽衣伝説』って、女性の服を盗んだり隠したりして、それと引き換えに男性が結婚を迫ったり、舞を強要したりと、ちょっと怖い。でも世界中に同じような伝説があるって不思議です。
古代から虐げられてきた女性像が浮かび上がるような…涙



ま、伝説ということで。



天女の舞を思い浮かべながら演奏してみましょう🎵😉


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