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公務員にもマーケティングは必要ですか?(4) ~4Pを4Cへ~

なんと!ありがたいことに、前回の「公務員にもマーケティングは必要ですか?(3)」が、note編集部のお気に入り記事に選んでいただけました!
いや~、かたじけない。嬉しい限りです!!
今後も、気に入ってもらえるように徒然なるままに書いていきますので、よろしくお願いします。

4.4Pを4Cへ(マーケティングミックス)

さて、前回は3Cから4Pへ、つまり3Cを把握していないと4Pは生まれないということを説明しました。
しかしながら、これでもまだ視点が欠けています。
4Pとは、作り手や売り手側の目線であり、顧客目線ではありません。行政においても耳にタコができるくらい言われている「住民目線で考えろ!」というヤツが足りないのです。
そこで登場するのが4Cという概念です。

Customer Value(顧客にとっての価値)
Cost to Customer(顧客の負担、顧客にかかるコスト)またはConsumer Cost
Convenience(入手の容易性、顧客にとっての利便性)
Communication(コミュニケーション)

これは4Pを顧客目線に置き換えたもので、この4Cと4Pの要素をうまく融合させることで、効果を高めたり弱点をカバーしたりすることをマーケティングミックスと言います。

4Pを4Cへ変換した参考事例として分かりやすかったのがスターバックスです。
ここでは、スタバが日本進出してきた頃のモデルを事例としているので、ターゲットは「高めのコーヒーを好んで飲んでいた層とビジネスマン」という設定になっています。現在の状況とは異なるかもしれませんが、ご容赦ください。

例えば、4Pにおける商品(Product)を見てみると、もちろん直接提供している商品はコーヒーなどの飲食物なのですが、もう一つ特徴的に提供しているものが、家や職場に次ぐ「サードプレイス」です。顧客目線に置き換えれば、「家でも職場でもない、でも日常にある特別感を感じられる場所」ということになります。

確かに、スタバに行くとPC(特にApple社製)を開いて仕事をしている人や、勉強をしている学生が必ずと言っていい程います。彼らにとっては、まさに家でも職場(学校)でもない第3の場所になっています。
かつて私は、「長時間居座っていたら回転率悪いじゃん」とか「カフェで仕事や勉強に集中できるんだろうか?」と思っていたものですが、そもそもスタバ自身がサードプレイスの提供を目的にしているのであれば、これはむしろ理想的な状況なのだろうと思うようになりましたし、何より顧客に気に入られている証拠でもあります。
また、あのオシャレな空間や雰囲気の中で仕事をしたりしていると、なんだか自分がデキル男になった気分になるのは私だけではないハズ。
それこそがまさにあの空間に特別感を感じているということなのでしょう。

顧客目線のコミュニケーションが何よりの販売促進になる

それから、もう一つ私が重要だと思うポイントが、コミュニケーションです。
皆さんは、スタバのチラシやCMって見たことがありますか?
おそらくほとんどの人が見たことないと思います。それもそのはず、スタバは基本的に広告宣伝をしていないんです。
それよりも店舗での体験や顧客との関わりを大切にしているそうで、テイスティングサービスや居心地の良さ、店員と顧客のコミュニケーションなどで顧客の満足度を高めることで、結果的にそれがファンを生み、口コミなどで人気が広まるという戦略をとっています。

たまにカップにメッセージを書いてもらっている人を見かけますが、あれこそがコミュニケーションをとっている証拠です。
私はまだメッセージを書いてもらったことがないのですが、それもそのはずで、私は決まって必ず行く店舗もなければ、店員さんと会話も特にしていません。
あのメッセージは、顔馴染みの常連さんへ「いつもご利用ありがとうございます」と書いたり、会話の中で「このお客さん、今日は記念日なんだ」と店員さんが気づいたりすると「おめでとうございます」と書いてくれたりするのだそうです。
そんなことをされたら、ファンにもなりますし、また来ようとも思いますよね。

こういう一見、非効率でめんどくさそうなコミュニケーションを大切にすることで、結果的に効果的に販売促進できているという好例だと思います。

効率を重視するあまりPRが機械的になり、コミュニケーションではなく一方通行の伝達になってしまった事例

私は以前、高齢者向けの介護予防教室を担当していたことがあるのですが、その中に集客に苦戦する教室がありました。
参加者アンケートの結果では、「参加してよかった」という満足度の高い教室でしたので、内容に魅力がない訳ではなく、きっとPRが足りないのだろうと思い、前任者の頃からずっと同じ内容だったチラシを新たに作り直し、公共施設へ配布したり、他の事業の郵便物に同封したりして、より多くの人に知ってもらえるよう努めました。
しかしながら、参加者の増加にはつながりませんでした。

今にして思えば、この時の私にはターゲットとなる高齢者とコミュニケーションを取ろうという気持ちが欠けていました
実は、他の職員からは「過去に老人クラブや高齢者が参加する体操教室などに出向いてPRした時は、一時的に参加者が増えた」と聞いていたのですが、私は他の業務も忙しい中、わざわざ出向いてターゲットの一部の人たちにだけPRするのは効率が悪いと思っていました
それよりも、より多くのターゲットに効率よくPRできる方法はないか?ということに頭を回していたのです。

悪く言えば、なんとか手間をかけずに済ませられないか?と考えていたのです。
というのも、当時私は介護予防教室だけでなく他にも複数の業務を抱えていたため、外出してしまうと移動時間や待ち時間などでどうしても時間を取られてしまい、他の業務の進行が止まってしまいますので、効率を重視する傾向にあったからです。
これが結果的に、効率を重視するあまりPRが機械的になり、コミュニケーションではなく一方通行の伝達になってしまったため、販売促進(Promotion)に失敗した原因の一つだと思っています。

つづく

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