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宇多田ヒカル / 初恋 ディスクレビュー 「間違いなくシンガーソングライターのアルバム」

「間違いなくシンガーソングライターのアルバム」

この作品は宇多田ヒカル7作目のオリジナルアルバムである
「大空で抱きしめて」や「Play A Love Song」や
「あなた」などが収録されている作品だ
このアルバムは1.2.3曲目の方向性でコンセプトが伝わってくると思う


まずは1曲目「Play A Love Song」はノリが良く踊れる曲だ
ただただ明るいと言う曲ではないけどもっと気楽に人生を愛せる様にと思える
愛する人にも自分にも素敵に生きて欲しいという気持ちになる
当たり前だけど愛おしいメッセージを感じた
素晴らしい作品のスタートだと思う


そして2曲目は「あなた」である
この曲は真っ直ぐに伝えなきゃいけない事を真っ直ぐに伝えている
特殊な事をせずともこのメロディとエネルギーのあるアレンジで充分に届く
人の歌声を好きになる曲だと思う
これはただの技術的な話ではない
この歌を聞くと世の中には縛られてる歌声が多いことに気付く
やはり自由な歌声が大好きだ
自分の好きなメロディに歌声を置いて行くような表現が素晴らしい


そして3曲目が「初恋」だ
この曲がアルバムのタイトル曲である
先ほども書いたがはじめのこの3曲がこの作品の道筋を作っていると思う
この曲のタイミングでこの作品に沈み込むことができた
初恋は宇多田ヒカルらしい曲だ
人が乗っているし人を想っているし自分を作品に落とし込んでいる
これは好き嫌いというかどう向き合うかという曲である


他の曲も少しあげたいと思う
まずは「Good Night」
始まり方と終わり方が好きな曲だった
作風的にこういう曲があると思っていなかったので驚きは多少あった
少し歌謡曲やフォーキーな香りがしてコードの使い方が気持ちよかった
素敵なカラーの曲である
そして最後にあげるのは「嫉妬されるべき人生」
この人のブルースだと思う
芸術にぶつかり芸術でぶつけてくる曲で
真っ直ぐな瞳を見つめているかのような気分になった
誇りを感じることが出来る最後の曲である

歌が中心にあってガツンとヴォーカルが聞こえる
今まで通りこの軸から広がりを見せるがしっかりと今のアルバムだった
今までの宇多田ヒカルの延長線上ではあるが
イメージされる宇多田ヒカルにとどまっていない
言葉選びも今そのものだった
過去に落ち着かないからこそ
近いようで遠く遠いようで近い不思議な魅力が彼女にはあるんだと思う

間違いなくシンガーソングライターのアルバムである
バンドでは作れないと思えるほど一人の人間を作品に投影している
まずは抗わず彼女の持つグルーヴに導かれるままに聞いて欲しい
それがこのアルバムの一つの完成形だと思う
そこからまた自分独自の楽しみ方を見つければ
一枚で二度楽しめる作品になると思う


昔だけでなく今を聞くことが芸術に触れるという事を
改めて教えてくれたこのアルバムをぜひオススメしたい


変幻自在のクリエーターユニット「KATANAGARI」です。基本ミュージシャンとライターです。Apple musicなどでカバー音楽、オリジナル音楽を配信しています。 https://itunes.apple.com/jp/artist/katanagari/1288449046