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スピッツ / ハヤブサ ディスクレビュー

「決して媚びていないバンドだからこそ大衆に届く」

この作品はスピッツ9作目のオリジナルアルバムである

シングル曲は「ホタル」「メモリーズ/放浪カモメはどこまでも」
と言った3曲が収録されている


「メモリーズ」は「メモリーズ・カスタム」となって色々加えられ
新しいバージョンとしてリアレンジされて収録されている


シングル曲の印象は「ホタル」がキャッチーで伝わりやすかった

他の2曲ももちろん面白い曲ではあるが「ホタル」は
日本のポップスバンドの中軸にある曲だと感じた
ここまで中心を作ると様々なバンドが真似している曲だと思う


ただ真っ向勝負でスピッツに勝つことは出来ないだろうが
この作品の中で印象に残った曲はタイトル曲でもある「8823」である


アレンジが秀逸でAメロから靄がかかっているものがサビで
一気に解放されるのが心地よくこのアルバムの方向が分かる一曲だと思う


あと一番好きな曲は「ジュテーム?」である
草野マサムネの弾き語りと二胡の音だけで構成されている曲なのだが
安心感があって歌詞に救われた一曲であった


シンプルだけどこの強さはなんだろうと不思議になる曲でもある
全体的なアレンジはロックで勢いがある曲が並んでいる


ボーカルの引き出しの多さで聞いていても飽きさせないし
今回の作品はギターが全体を引き締めて繋いでいるなと感じられた


歌詞はスピッツらしく分かりやすい所もあり捻くれている所もあるので
色々想像しながら聞くことができると思う


鬱々しさ・爆発・煙たさ そのような感情の起伏を
バランス感覚とアイデアの質で一枚のアルバムにしているのが
彼らの才能とビジョンの正確性を表していると思う


決して媚びていないバンドだからこそ大衆に届くのだろう
ただ商業的にお客様と向き合うのではなく
一対一で人に向き合いしかもかなりマジで向き合っている


これほど疲れることを何の衒いもなく成し遂げている
この作品は強すぎる部分もあるがそれも一対一にマジだからこそだろう


すべてを聞き終えた時に寂しさや孤独に
前よりも前向きに対峙しているあなたがいると思う
ぜひこの混沌とした時代を生きる人に聞いてもらいたい一枚である


変幻自在のクリエーターユニット「KATANAGARI」です。基本ミュージシャンとライターです。Apple musicなどでカバー音楽、オリジナル音楽を配信しています。 https://itunes.apple.com/jp/artist/katanagari/1288449046