見出し画像

万引き家族 / 映画レビュー

画像1

「家族って誰?」

今回は映画「万引き家族」について書きたいと思う
普段は音楽作品を書くことが多いがこの作品は書きたくなったので書こうと思う


是枝裕和監督の作品を見たのは多分4作目か5作目ぐらいである

この人の作品は難しいテーマを取り上げているものではあるが
アンダーグランドにはせず光を必ず当てるイメージが強い
今作もそのイメージに近い作品であった

所々ユーモアを散りばめていて自然に起きる
エンターテイメントの色を強く感じるシーンが多かった
分かる人には分かればいいと言う方向を見て作る人ではないのだろう
しかしながらただの迎合はしないし媚びることもしないしご機嫌取りもしない
バランス感覚が優れている作品である
ただバランス感覚が良すぎて
社会派でもなく芸術性が強いわけでもなく何とも言えない作品ではあるが
きっとこれがこの映画なんだと思う

なぜこれが大きな賞を獲ったのだろう
正直海外映画祭の色みたいなものはよく分からないが
この作品が賞を獲ったのは事実である
この映画のストーリーはリアルではないところも多いが
この作品の中で起きている問題は今の日本で生きていれば
実際自分に降りかかる事はなくても身近に降りかかっている所を
目の当たりにする問題ばかりであった
どんな問題かはネタバレしたくないので言わないが(万引きはネタバレしてるが)
こういった当たり前すぎて僕らにとって麻痺してしまっている問題が
海外の人からみると異質に見えて写ったのかもしれない
そして彼らが今抱える当たり前の問題を見つめるきっかけになったのかもしれない
きっとすべてのきっかけは複雑で一言では言えないものだが
それを見てどう生きるかを考えるということは誰しもが行う行為だと思う
人を思うことであったり自分の役割であったり自分の所在だったりを考える
当たり前の行為を呼び起こす作品だったのかもしれない
わざとらしくない表現なので
派手さはないし見る人がみればなんて事ない時間が過ぎるかもしれないけど
そういったものも評価されて届いたのかもしれない

あとこの作品を見て思ったのは役者の力である
誰がというより誰もが意味があって濃い人たちなのだが
押し付けるような表現ではなく自然に深く刺してくる
こちらに委ねられてはいるのだが圧倒的なものであった
こう言うとあれだがそれだけで結構この作品を見る価値はあると思う

絶対見て欲しいとは書かないが見て欲しい作品である
何となく生きてしまえる時代の最後の映画になるかもしれない


変幻自在のクリエーターユニット「KATANAGARI」です。基本ミュージシャンとライターです。Apple musicなどでカバー音楽、オリジナル音楽を配信しています。 https://itunes.apple.com/jp/artist/katanagari/1288449046