「きっと生きるということが音楽を作るということ」

この作品はフジファブリック初のベストアルバムである
ここまでに発表したシングルのA面曲を集めている
何曲かあげて書いて行こうと思う

まずは「茜色の夕日」を書くが
この曲はこの作品集の中で1番人間らしくて伝わってきた
他の曲より作り手の素肌に近く体温が感じられた
飾りすぎない強みがあってそこにのせる歌詞も絶妙でグッと来る
誰しもが懐かしく切なさを感じて大事な景色を思い出させてくれる曲だと思う

次にあげるのは「Sufer King」
この曲は面白い曲でこういうユーモアがあるのは好きである
ただただふざけているわけではなくしっかりと構築されている
ダサい曲にならないのはサウンドがカッコいいからこそだと思う
こう言った曲をしっかり成立させてこのアルバムを更にカラフルなものにしている

最後に書くのは「若者のすべて」
これは聞けばすぐわかる名曲である
歌も歌詞も伝わってくるしバンドのアレンジも良い
全体のバランスが完璧でこの一曲からフジファブリック知った人も多いと思う
こういう曲は自然体に書けないとイヤらしくなるがそういう要素は一切なく
この真っ直ぐさはストレートに刺さってくる
夏になると何度も聴きたくなる曲でこの感覚は誰しもがあるものだと思う
必然なるエモーショナルで無理が無いのが良い
日記のようだけど絶妙な所をすくいあげている歌詞も素敵な所で
バンドの音も構築はあるが纏めるというよりそれぞれの主張がされている
メロディーと声の抜け方が心地いいので
もう少しシンプルに淡々と進めて欲しい気持ちもあるが
これが彼らの目指していた所なのだろう
もしかしたらこのサウンドは好みが分かれるかもしれない

切実な部分とグチャグチャな部分とどこか苦しさもありながら
あの時見た美しさを絶対忘れないようにとする姿が見える
きっと生きるということが音楽を作るということなんだろうと思う
この作品ならシングル集からフジファブリックを知るというのも悪くない
何となく気になっている人には是非オススメしたい一枚である