KATARAの小説

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ノート

小説【 水の星を旅する男 】

急激な地殻変動と温暖化により地表の大半が水没して久しい未来。浮島で暮らす一家のもとに旅人の男がやってくる。束の間の休息と淡い恋。しかし別れと危機が迫っていた。

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急激な地殻変動と温暖化により地表の大半が水没して久しい未来。

住む土地を失くした人々は争い、人類の人口は激減した。生き残った人々の多くは前時代の遺物で浮島の町を作り暮らしていた。

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ジマーという男は

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小説【 楽園 】

人が足を踏み入れない山奥には今も小人が住んでいる。体長20cm。狩猟採集で暮らし我々人間を「巨人」と呼んで怖れていた。そしてある日、森の中で小人の男女が出会う。

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そのペットショップは売れずに大きくなった犬や猫を山中に捨てた。

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店のある街から車で2時間の山奥、街灯もなければ舗装もされてない山道に今夜連れてこられたのはゴールデンレトリバーのメス。生後7ヶ月。よ

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小説【 逃避行 】

昔々あるところに人目を避けて暮らす男がいた。そのもとに突然現われた口の利けない少女。ふたりは長い冬を温泉の湧く洞窟で過ごす。しかし少女を追う謎の集団がそばまで来ていた。

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昔々ある北の地の海岸沿いに男がひとり住んでいた。断崖絶壁の途中にある洞窟で崖から入ることはできず、海は年中荒れて舟が沖を通ることもなく、男は誰にも見つからず暮らしていた。

しかしある吹雪の夜、洞窟内で気配

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小説【 HERO 】

この雨はいつまで続くのか…朝めざめるたびに疑問がよぎり、寸前に見た夢が現実になる。繰り返される悲劇を防ぐために彼は立ち上がる。

※収録の短編集は4月20日発売(税込400円)↓

雨音のなかでアラームが鳴っている。スマートフォンの振動も。

佐山和樹はベッドから手を伸ばす。床にスマートフォンを置いていた。枕元に置かないのは近いとすぐとめて二度寝するため。携帯電話の電波が「脳に悪い」と聞いたのもあ

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小説【 初恋 】

成績優秀でスポーツ万能の先輩。ファーストキスの相手で意地悪な幼なじみ。ふたりの男子に揺れる女子高生15歳の春。

※収録の短編集は4月20日発売(税込400円)↓

先輩の名前は藤井和成。3年2組。成績優秀でスポーツ万能。そしてイケメン。当然人気があってテニス部のエースだから放課後テニスコートの周りや見おろせる化学室のベランダには女子が集まる。ちなみに私はラケットを持った先輩を見かけてあとをつけて

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小説【 アイドル 】

ふたりが出会ったのは中学時代の修学旅行。忘れられないまま離れて暮らし、大学3年の春、彼は同じ日に同じ場所に立つ…会いたいと願った6年越しの恋。

※収録の短編集は4月20日発売(税込400円)↓

アイドル【idle】偶像。崇拝される人や物。人気者。あこがれの的。熱狂的なファンを持つ人。

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はじめて彼女に会ったのは6年前。俺は中学3年で修学旅行の2日目だった。

午前中に皇居の周り

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小説【 夢で会えたの 】

夫の恭司が死んで半年。琴美の夢にはよく恭司が現われる。成仏できない彼の霊か。再会を願う琴美の空想の産物か。ありありとした存在感に戸惑いながら、琴美は夢に身を委ねようとする…今は亡き人との再会の物語。

※収録の短編集は4月20日発売(税込400円)↓

まどろみのなか物音がして松永琴美が目をあけると夫の恭司が寝室に入ってきた。スーツに鞄を持ったいつもの出勤時の格好で、琴美に気づくと「ただいま」と微

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小説【 隣りの伯爵 】

ある夏、ある山中で出会ったふたりは密会を重ねる。しかし秘かな関係は長く続かなかった。死ねない男と生きられない少女のファンタジー。

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■1日目

かみなり雲が近づいています。木下香奈は山道を急ぎます。もう少し登ると人の住んでない家があって、やっと建っているようなあばら家ですが、雨宿りぐらいはできそうです。住人がいな

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小説【 某日、某先生と。】

3.11(東日本大震災)のあと彼は小説が書けなくなった。フィクションをつくることの意味を自問自答し2年。彼が書きだしたのは沖縄を舞台にしたラブストーリー。同じ時をすごしたふたりの視点でつづる2つの短編小説だった。ある作家の再スタートまでの物語。

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■2012年1月

いろいろ差し障りがあるので名前や詳しいことは伏

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小説【 卒業 】

漫画家をめざす霧島健斗。彼のアルバイト先に現われたのは、幼いころ母と3人で動物園に行ったことがある男だった。14年ぶりの再会で眠っていた恋が動き出す。切なく危なげな物語。

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「いらっしゃいませー」
 
このハンバーガー店に大久保英明が来るのは月に一~二度。得意先まわりを終えた午後です。今日はいつもより遅い3時すぎ

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