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沖縄の空に

こないだ、沖縄の北部にある東村、高江に住んでいらっしゃる石原さんという方のお話を聞いてきました。
 私は2016年に高江にお邪魔させてもらいました。やんばると呼ばれる森に囲まれている地域で、大自然のなかにはたくさんの生き物が生息しています。人口は約140人、住んでいる方々もまたその自然の一部として調和しているような印象を抱きました。森の小道を進んでいくと木々や草木が生き生きと生い茂っていて、海辺に近づいていくとヤドカリたちが横切っていきました。透き通る青い海、パパイアの木、写真や映像で見てきたそのままの沖縄の綺麗な風景。夜の砂浜にはウミガメが産卵するためにあがってくることもあると聞きました。

けれど、轟音と共に黒い影を落としていく存在を目の当たりにします。ニュースでよく聞く、あの、オスプレイ。森のすぐ真上を低空飛行していきました。

真っ先に”怖い”という感情でいっぱいになったのを覚えています。この高江という地域は米軍の訓練場と隣り合わせに位置しています。1957年から使用が始まり、ベトナム戦争での訓練にも使われました。そして90年代後半、日米間で訓練場の一部を返還をする代わりにヘリパッド建設が合意され、これまでに6箇所が完成しています。反対の声やゲート前の座り込みも押し退け、工事は強行されました。住宅や森の上空を飛んでいくので、騒音と低周波に晒されながら生活するのはどれだけ不安だろうか、計り知れません。
 そして石原さんのお話を聞いて、ニュースや新聞で得る情報や外から見えている印象とのギャップに驚かされます。”反対””反対派”という言葉には何故か無意識のうちに過激なイメージがつきまといますが、無防備に座り込みをし続けた人のほとんどはそこで生活し、森での生活を守りたいだけの住民の方々で、活動のための資金やお弁当をどこからか用意されてるわけではありません。そして知れば知るほど、問題が複雑に絡み合っていて、一概に結論付けるのは困難に思えました。平成は戦争がなかった時代と言われるけれど、本当に平和だったかどうかはわかりません。沈静化していただけで、戦いの名残が、戦いの火種が、日本の末端に潜んでいるような気がします。日々、自分が生きていくことだけで精一杯で、知らないことが多すぎるけれど、悲しみを繰り返さないように、美しいと思える自然を残していけるように、時間をかけて見て聞いて知って伝えたいです。そして私にも教えてください。こんな話が誰とでも気軽にできるような世界になればな。


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