片瀬ケイ@ダラス、テキサス

在米のライター、翻訳者。日常のどうでもいいような、どうでもよくないこと。とりあえず書い…

片瀬ケイ@ダラス、テキサス

在米のライター、翻訳者。日常のどうでもいいような、どうでもよくないこと。とりあえず書いておこう。Yahoo!ニュース エキスパートのブログはこちら→https://news.yahoo.co.jp/expert/authors/katasekei

最近の記事

本屋さんで待っています

順天堂大学のおしゃべり病理医こと小倉加奈子さんが、MEditLabに「医学に効くほん!」として、書評を書いて下さった。 このサイトには医学に興味のある中高生、そしてすべての人が、医療や社会の様々なコトを学べるような情報が盛りだくさんです。ここで紹介していただけて、本当に嬉しい。 不幸にもがんという病に関わりあってしまうことを、英語で touched by cancer と表現することがあります。がんを発症した本人だけにかぎらない。家族や友人など愛する人ががんになれば、周囲

    • タイトルは何でしょう?

      どうしても翻訳して、日本の人にも読んでもらいたいと思っていた本。念願かなって、筑摩書房から3月頭に発売になります。で、タイトルは「ファック・キャンサー」。くそったれのがんに対するパンチが文字通り効いていて、これ以上にピッタリな挿画ってある?という感じの松島由林さんのイラストと岩瀬聡さんのブックデザインです。 この本と出合ったのは、私自身がアメリカでの卵巣がんを治療を終えてから、数年たった頃。がん治療の悲喜こもごもにつきあってくれた配偶者、治療を通して出会った人々、職場での出

      • HPVワクチンと子宮頸がん予防のこと

        日本では2年前から積極的推奨が再開されたHPVワクチンの接種。かなり長い間、ほとんど接種を受ける人がいなかったから、案外、HPVワクチンと子宮頸がん予防について、ホントのところを知らない人が多いかも。 子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)って、キスでもうつるの? 何歳で、何回、ワクチン接種を受けなきゃならないの? 検診を受けていれば、子宮頸がんは防げると聞いたけど? 男子だってHPVワクチン受けるべきよね? 子宮頸部異形成なら、たいしたことないんでしょ? 

        • 「選択的夫婦別姓の導入を」経団連が政府に要望 公式会議で初めて https://www.asahi.com/articles/ASS1K3WM5S1KULFA004.html 夫婦で別姓を選ぶ自由、選ばない自由の両方を尊重するだけ。困っている人が減ればいいんじゃないかなあ。海外でもイロイロな事例があって、面白いのよ。よかったら読んでみて。

        本屋さんで待っています

          夏仕様の家に住む人の恐怖

          私が住むテキサス州ダラス市は米国南部なので、最近じゃ春から秋にかけては連日5カ月も気温が40度超えだったりする。冬はだいたい東京と同じ感じで、シーズン中に1回か2回、とても寒い数日が訪れる。ただしこちらも最近じゃ、寒いなんてもんじゃなくて、昼間も氷点下を脱出できない日が続く。 もちろん米国には、もっと寒い地域が沢山あるし、日本だってそう。問題は、私が住んでいる家が100年以上前に冷房のない暑い夏だけを念頭に建てられた家なので、床下のむき出しの水道管がすぐ凍ること。凍結確実の

          夏仕様の家に住む人の恐怖

          母じまい

          アメリカ中部時間午後5時。私はiPadで見守りカメラの・アプリを起動する。日本は朝の8時。カメラが映し出すのは、朝ごはんを食べている母の姿だ。 あ、今日も、もりもり食べてるじゃん。 この一年半、これが私の日課である。いつもと同じ調子で朝食とる母の様子を覗き見しながら、私は一体、何を期待しているのかなと思う。 母は87歳。5月になれば88歳になる。50歳で大腸がんになって以来、手術だ、内視鏡検査だ、腸閉塞だ、抗がん剤だといろいろやりつつ37年あまり生き続けているんだから、人

          新年アメリカ語呂合わせ

          いやー、まる2年以上、ご無沙汰してしまった。いろいろあって、うろうろして、ボーっとしてたら、2024年になってしまった。相変わらず米国テキサス州のダラス市に住んでいますが、もう会社員じゃありません。うふふ。でも毎日が日曜日だと、朝起きるのもどんどん遅くなる。今日は少しまともな時間に起きて、朝のNPR(ナショナル公共ラジオ)ニュースを聞いたら、年初めに喝を入れるのを手助けしてくれるメッセージが流れてきたので、共有しますね。 人生は4000 Weeks 1年は52週間なので、

          新年アメリカ語呂合わせ

          夫婦別姓 ポリタスTVでの議論は?

          海外在住の6人の友人たちと書いた夫婦別姓の各国事情の本。津田大介さんのポリタスTVで、日本における選択制夫婦別姓の導入を粘り強く訴えている井田奈穂さんを交え、数人の著者が参加した番組が配信されました。本のまとめ役も務めたベルギーの栗田さん、フランスのプラドさん、中国から斎藤さんが参加してくれました。かなり中身の濃い番組になったのだけど、海外在住の著者たちが番組で披露した意見や、それに対する津田さんの見解も面白いので、よかったら観てみて。 この本は、各国で夫婦別姓を法的にどう

          夫婦別姓 ポリタスTVでの議論は?

          夫婦は別姓でも愛はあるのだ

          海外在住のライターのお友達と、再び各国事情の本を書きました。今度は、日本で長年議論が続いている「夫婦別姓」について。正確には「選択的夫婦別姓」ね。米国、英国、ドイツ、フランス、ベルギーに加え、韓国、中国と7カ国について、現地に長く暮らした経験と調査をもとに、結婚と姓と家族にかかわるあれやこれやの情報が盛りだくさんの本になりました。 しかも、「で、日本はどうする?」を考える上で、櫻井龍子・元最高裁判事、鈴木馨祐・衆議院議員(自民)、田代桂子・(株)大和証券グループ本社取締役兼

          夫婦は別姓でも愛はあるのだ

          しゃべらないは、わからないじゃない。

           アメリカのサンデー・モーニングというTV番組で、ハーバード大学エクステンションスクールの大学卒業式スピーチを紹介していた。学位をとって卒業したダン・バーグマン君のスピーチだった。ただし、滑らかに流れてくる男性の声は、コンピューターの声。バーグマン君は、ノンバーバル(話さない)の自閉症だ。  バーグマン君によれば、子どもの頃は誰かが読んでくれる子供向けの本も、時間や死など人間を取り巻く環境なども、ほとんど理解できていなかったという。言葉も発しないし、手をひらひらさせたり、意

          しゃべらないは、わからないじゃない。

          オパル・リーというヒーロー

          なんだか日常に流されているうちに、また7月7日がきた(米国時間ね)。一応、結婚記念日でもあり、2年前にnoteをはじめた記念日でもある。コロナでもサラリーマン仕事は続き(はい、ロックダウン中も毎日、会社に行きました)、毎年一つづつ年をとっては頭の回転も動きも鈍くなり、毎日、着実にアラ還に向かって進むしかないのか?と、ため息。 先月、そんな私にカツを入れてくれる人の存在を知った。テキサス州フォートワース市に住むオパル・リーさん(上の写真の人ね)。アメリカ政府は今年から、「JU

          オパル・リーというヒーロー

          オーケストラは観客の前で演奏がしたい

          クラシック音楽好きの人は、ファビオ・ルイージという指揮者の名前にピンとくるかもしれない。かつてはニューヨークのメトロポリタン歌劇(MET Opera)の首席指揮者で、今は私が住むテキサス州でダラス交響楽団の音楽監督を務めている。長いコロナ禍でどこの交響楽団も演奏の機会を失った。 ダラス交響楽団は昨年9月から、ごく少数の観客を前に小規模コンサートを行う機会があったけれど、ニューヨークのMET Operaオーケストラの楽団員は、2020年3月15日の公演を最後に、全員レイオフに

          オーケストラは観客の前で演奏がしたい

          やっぱり、ガラパゴスなんだよなあ。

          先月、日本領事館から、コロナ水際対策で日本入国の際の注意事項のお知らせをもらった。 「日本入国の際に必要な出発前72時間以内の「出国前検査証明」については、日本の空港検疫における記載事項の確認が一層厳格化されています。有効な「出国前検査証明」を印刷して所持していない場合、出発地で航空機への搭乗が拒否されますので、十分ご注意ください(仮に搭乗できた場合でも、日本の空港到着時に日本人を含めて上陸が認められません)」とのことで、日本政府の規定の書式が用意されていた(一部だけど、上

          やっぱり、ガラパゴスなんだよなあ。

          ゴールデン・ウィークはこれを見て。

          日本でも新型コロナワクチンの接種がはじまり、5月下旬にはモデルナ社のワクチンも承認されそうという話。すでに医療従事者向けに接種が始まっているコミナティ(ファイザー製)も、モデルナ製も、mRNAという新しいワクチン。アメリカでも、英国変異株が急速に広がったのだけど、このmRNAワクチンのおかげで、感染がおさまってきた。 アメリカでは4月末現在で、65歳以上の約69%が2回接種を終えて、接種済みの高齢者がコロナに罹って入院する確率は94%減ったと、米疾病対策センター(CDC)が

          ゴールデン・ウィークはこれを見て。

          床下のドクターX

          テキサス州を襲った超寒波のため、うちの水道管も凍結破裂し、断水に。前回は、トイレ水に困った私が、雪集めにシャカリキになったご報告をしました。心配して下さったみなさん、どうもありがとう。で、後日談です。 マイナス16度という最低気温をたたき出した5日後、ダラス市の予想気温は22度。寒いままも困るんだけど、雪が溶けたら、一体、どこから水を調達すればいいのー?という、ジレンマに。 もちろん、破裂した水道管を直してもらうべく、修理屋さんに即刻電話はしたのだけど、同じ目にあっている

          雪は、なかなか溶けない。というはなし

          私はアメリカのテキサス州、ダラス市に住んでいる。春には30度、夏になったら43度もあたりまえというアツーい土地柄。それでも冬には1、2回は雪がふり、夜には氷点下に気温が下がることも。しかし、今回はそんなもんじゃない。 今、アメリカ南部はシャーリー(Shirley)という名の、とんでもない冬の嵐に襲われている。テキサス州もその一つで、36年ぶりの記録的な寒さを経験した。月曜から、日中も氷点下に達することはなく、どれだけ寒かったといえば、北海道の網走よりも、もっとうんと寒かった

          雪は、なかなか溶けない。というはなし