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ガンダムの世界の農業と食について①

※私は小説版を全部読んでいないので、その点で不確かな記述もあるかもしれません
※異論反論大いに認めます。議論しながら楽しめればと思います。
※ある程度宇宙世紀について知らない人でも読めるように努めていますが、分からない人がいたらごめんなさい
※3回に分けて書く予定です。



ドイツの選挙のニュースで、久しぶりにグレタさんをみた。精力的な活動であるが、私は根本的に彼女やその取り巻く方々の思想は『エゴだよそれは!』といいたくなるものだ。その辺書いていると長くなるのだが、『地球を守るために人間が変わらなければならない』という思想はわかるが、閃光のハサウェイで、タクシーの運転手のような「明日の生活も分からない」人にとっては我が事としてとらえられないだろうし、そういう人たちを変えるためには『叡智を授ける』ことではなく、一つ一つゆっくり考えていくことに寄り添うことだろう。その人がこれからを生きていく課題を解決しつつ、将来を考えていけるか。とても難しいことなのだが。

さて、ガンダムの話は『宇宙世紀』という世界でのストーリーである。地球では人口が増えすぎ、食糧問題や環境問題がひっ迫。やむを得ず「宇宙へ進出」という文句を隠れ蓑に『棄民政策』がとられた。多くの人間が宇宙へ追いやられた(人口は100億人に上るとされている)。宇宙へ生活拠点を持つ人たちはやがて不満をためるようになる。

その理由についてはちょっとwikiから引用する

『宇宙世紀0050年代(宇宙への移民が始まって50年)、宇宙移民者(スペースノイド)たちの間に、被抑圧者階級としての自覚が高まってきていた。新たなフロンティア開拓の美名のもと、人々(=労働者)は宇宙で暮らし始めたが、“地球環境保全のため人類の生活圏を宇宙にシフトさせる”という(当初宇宙移民を始めるという政治家たちが唱えていた)理念は結果的に破られた。第1期移民が完了した時点で、移民はストップしてしまう。地球連邦の利権に群る政治家・官僚や富裕層は、宇宙より生活環境の安定している地球に居残り続けたのである。これは、先行して地球に別れを告げた移民者たち=スペースノイドにとって裏切り行為にほかならなかった。さらに連邦政府は各コロニー・サイドを「植民地」扱いし、コロニー公社などの特殊法人を通じてありとあらゆる重税を課すなどの多くの搾取を行うようになった。』

というわけで、簡単にいえば貧しい人は宇宙へ追いやられてしまった。その結果が宇宙世紀0079年1月3日に始まり、その後断続的にであるが長期間(クロスボーンとかマハの反乱まで考えると100年以上)にわたり、宇宙を舞台に数えきれない戦争が起きた。

さて、ここまでが前おきで、では宇宙世紀における食事情はどういう状況であったのだろうか、というのが私の疑問である。大きく分けると

①100億の人口を養うためにはどのくらい農地が必要だったのだろうか。現実的に可能なのか

②どうやって作物を育てているのか。また主に何を食べていたのだろうか。

③食文化はどのように継承されているのだろうか

④食に関する「格差」がどのようにあっただろうか

⑤では、宇宙に人類が行かない(行けない)とした場合、地球の人口は何人までが許容されるのか

というのが私の考えていきたいことである。

今日は時間の関係もあり、①についての議論と、②を少し述べるにとどめたい。

①100億の人口を養うためにはどのくらい農地が必要だったのだろうか。現実的に可能なのか

file:///C:/Users/ShinnosukeKatagiri/Desktop/ref_data2-2.pdf

農林水産省のデータによると、世界の穀物の生産量は2020年約28億トンに達している。

そして、「世界の穀物収穫面積、単収、人口、1人当たり穀物面積の推移」を見てみると、

■1961~63 平均 
穀物収穫面積 6.5億ha
単収 1.4 トン/ha
人口 31億人(1962年)
1人当たり穀物収穫面積 20.8a/  人(1962年)

だったのに対して、

■2002~04 平均
穀物収穫面積 6.7億ha
単収  3.2 トン/ha
人口 63億人(2003年)
1人当たり穀物収穫面積  10.7a/人(2003年)

である。簡単にいうと、農地は増やせていないが、単収(面積当たりの収穫量)を技術革新や作物の改良などで増加させて、人口増加を実現させてきたわけである。しかし、この単収の伸び率は近年鈍化している(同資料によると  単収の伸びの鈍化 1960年代 3.0%(年率) → 1970年代 2.0% → 1980年代以降 1.5%)国際連合センターの2019年の発表によると、『世界人口の増大が鈍化、2050年に97億人に達した後、 2100年頃に110億人で頭打ちか』とされている。しかし、穀物だけの観点で見ても、現状70億の人口が食べていくには、農地が増えないとするのであれば、単収は3.5トンくらい必要になる。

ちなみに、グレタさんなど環境運動家が言う「畜産をやめよう」という声がある。飼料用の穀物を人間の食料に回せば、、、という話があるが、これは半分正解で半分不正解である。
そもそも飼料用の作物は単収が高い(品種が違う。飼料用のトウモロコシは全体が2.5メートル近くになる。野球の映画フィールドオブドリームスを思い出してほしい)。葉まで牛の栄養となるのだから。もちろん1キロの肉を作るのに穀物何キロ必要か、という視点もあるが。そもそも飼料用の穀物を作っている畑を全部人間用にしても、甘くておいしいコーンがそれなりに生産できるとは限らない。降水量、肥料、そういうものも計算した結果、飼料用を作って牛を育てた方が人類の生命維持においては効果が高いとする計算もある。

小麦はどうだろう。上記の最初のリンクのPDFを見てもらえれば分かるが、先進国の小麦需要は、2003年時点で食用で約1万3千トン、飼料用で8千トンだが、開発途上国では食用で2万9千トン、飼料用では1千トンでしかない。そして開発途上国の小麦需要は1970年から2003年の期間で約3倍になっている(先進国は10%ほどしか増えていない)。2021年の時点でのデータがまだないが、先進国の飼料用小麦を途上国に回したとしてそれでも圧倒的に足りない。そして、肉を食べない食生活に我々現代人が戻れたとしても、その時に今と同じ健康状態が維持できるかという保証はない。下記データだけを信じるかどうかだが、脂質とタンパク質接種料と寿命の伸びは相関関係がある。人工肉がどれだけカバーできるかは未知数だ。


さて、では宇宙世紀ではどうだったのであろうか。そもそもアニメ版ガンダムのなかで、食事をとるシーンが明確に描かれているところは少ない。ホワイトベースの中で、アムロが避難民の子どもに冷たい目線を浴びながら食事をしようとするシーンや、スレッガーさんが一時帰還し、再出撃の前にハンバーガーらしきものをほうばっているシーン(この後指輪をミライさんに託す)などがあるが、それが人工肉によるものなどの描写はない。別のアニメで『ボトムズ』では、主人公キリコが第2回?の放映回の際に歩いていた市場で『今どき貴重な天然の肉だ』という売り子がいることが確認できる。

しかしおそらく、人工肉の技術は確立されているとは思われる。そして、スペースコロニーのいくつかは食糧生産に特化したものがあり、余剰分は地球へと運ばれていたという「記録」がある。

現在、人工肉はまだまだコストの面としては高いが、『環境に配慮した食品』ということで、徐々に富裕層(環境への意識高い高い系の人)から受け入れられそうになっている。しかし、宇宙世紀ではそれが逆転しているのではないかと思われる。要するに貧しい人は人工肉を食べ、富裕層≒地球の人は、現在の地球の富裕層と同じくらいかは定かではないが、「天然の」肉を食べることがある程度できていると思われる。

さて、結局①の話だが、先のオリジンの記述にもあるように宇宙でもスペースコロニー内で穀物などの生産が行われており、農地問題は解決しているように見える。地球の環境破壊の一つである森林の農地化を避けるためには宇宙での生産は避けられない。品種改良も行われ、単収も増加しているのだろう。スペースコロニー内であれば、例えばコメなら3毛作をしている可能性もある。

しかし、現実的には農地が確保できているからといって、宇宙世紀では豊かな「食生活」が確保されていたとは言えないと考えている。そのあたりはまた次回に。

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