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私の音楽遍歴(Cornelius沼にはまる前)

 いつものことで、うまいタイトルが思いつかない。誰も興味ないテーマだろうが、無駄は人生の潤いとなり得るのだ。音楽マニアでなく良い耳もセンスもない、でも少し偏った私の音楽の聴き方に、良ければお付き合いください。

 子どもの頃は、平凡に家族の好きな曲から聴き始めた。両親は古い歌謡曲やフォークにシャンソン、映画音楽にクラシック、姉達はニューミュージックやアイドルが好きだった。小学生の頃、母の鼻歌で歌う中から気に入った曲の歌詞を聞き書きしたりした。覚えているのは「ペチカ」「浜辺の歌」「とんがり帽子」平井康三郎の子守歌「ゆりかご」など。中学に入り夜眠れなくなってからラジオにはまり、そこから音楽の世界は広がっていった。

 ジョン・レノン没後10周年に、ラジオで長時間ぶっ通しでのビートルズ&ジョン・レノン特集があったのをきっかけに、エアチェック(放送をカセットテープに録音すること)を始めた。ラジオ英語講座で聴いたビートルズに興味があった。その時のテープは母のカラオケ用になり残っていないけれど、なぜか掛かった曲で思い出すのはジョージ・ハリソン「Its’s Jonny's Birthday」やエルトン・ジョン「Empty Garden」など、歌詞にジョニーと出てくる曲だ。普通にランキングなどを放送していたと思うが。その後、小遣いを前借りして、青盤赤盤をテープで買い繰り返し聞いた。初めて自分で買った音楽だ。

 その後普通の歌謡曲も聴いていたが、L⇔RとSpiral Lifeに出会って以後は、彼らの曲とともに、彼らがラジオで紹介する古い洋楽も聴くようになった。母の影響で口ずさめる古風な歌が好きというのもあり、しっくりきた。ブルースなどからシューゲイザーやマンチェなど幅広く紹介しており、どれもそれなりに面白いと思ったけれど、当時買って今も持ってるのは、the BandやSmall Facesのベスト盤の他は主にオールディーズ、トニー・バロウズがヴォーカルの曲のコンピ盤などだ。そしてはっぴぃえんどと。(あと、最近Corneliusを聴いてるうちに、なぜか聴きたくなってマクドナルド&ジャイルズを買い直した。)

 やがて歌詞に共感しやすい邦楽に興味が移り、小沢健二、くるり、キセル、GRAPEVINE、スガシカオ、スーパーカー、Cocco、キリンジ、ハナレグミ、ホフディランなどなど、ラジオやCDを聴いたりライブに行ったり(音楽雑誌も買ったり)しながら聴いてきた。おそらく、関西のラジオが中心だった為、全体では関西出身のミュージシャンをより多く聴いていると思う。解散直前頃に知ったフリッパーズはゆっくりとアルバムを集め、Corneliusのファーストとファンタズマは発売と同時に買っていたが、彼のリリース間隔が長くなると同時に、私自身、仕事が忙しかったり写真にはまったりして、新しい音楽から遠ざかっていった。(本格的にスナップ写真に傾倒するに従い、読書や音楽への感じ方、全てが変わったようだ。歌詞にとらわれず音は音として聴くようになってきた。その件については、また今度。)

 時期は覚えていないが、小山田さん佐野さんのラジオにハガキを出して読まれたことがある。番組のディープさにほぼついていけてなかったけれど、洋楽知識収集の為に聴いていて、「今年買ったCD」というテーマの回で、何となくハガキを送ってみたのだ。私が書いたリストの中では、及川みっちーに反応していた気がする。彼は、リスナーが普段何を聴いているのか、ひどく気にしていた。渋谷系と呼ばれるのにうんざりし、皮肉のつもりで取材で「渋谷系のプリンス」と名乗ったら、それが広まって本当にそう呼ばれるようになってしまった、という話も確かしており、私は気の毒にと思いながら聴いていた。カジくんがゲストの際など、彼の人間観察癖なども感じられ、ああ、だからこういうコラージュのような曲を作るのかなと、興味深く聴いていたように思う。彼がかけたスライ&ザ・ファミリーストーンの「ケ・セラ・セラ」やペイル・ファウンテンズ「Thank you」などを録音し、気に入って時々聴いていた。

 オザケン・スチャダラのオールナイトニッポンも録音して、ライブ音源を流したのを繰り返し聴いた。「地上の夜」のイントロを「A列車で行こう」から始めていたのが気に入り、「地上の夜」自体がとても好きな曲となった。彼の情景描写が多い曲が好きだ。ホフディランのデモテープもここで聴いた。コーラスの真城さんは、後にキリンジのライブで声を聴いた。タケイグッドマン(よっちん)さんの存在もここで知ったので、先日DOMMUNEでDJプレイを拝見した時は感慨深かった。オールナイトニッポンと言えば、さくらももこさんと宮永さんのも聴いていたが、フリッパーズ解散を告げた回のことは全く記憶に残っていない。

 30代頃になると、好きなバンドがどんどん売れチケットが値段も含め取りづらくなり、自分も都合がつかなかったりでライブから足が遠のいた。ここ数年は、地元ミュージシャンのライブにふらっと行ったり、飽きないくらい好きな曲を、半年以上かけて毎日聴くような感じで暮らしていた。年のせいもあるだろうが、昔から私は、本や漫画も同じ物をしつこく読む傾向がある。

 ところで、皆さんには、好きかどうかに関わらず、気が付けば口ずさんでいる曲はあるだろうか?私は、ぼーっとしてる時はジャクソンファイブ・バージョンの「I'll Be There」(そう好きでもない)のサビ、憂鬱な時はゴメス・ザ・ヒットマン「雨の夜と月の光」(わりと好き)の「何もかもが汚れて見える」という歌詞の部分や、古い歌謡曲「アカシアの雨に打たれて」(そう好きでもない)の一番が勝手に頭で流れ出して、気づいたらたまに歌っている。歌うと可笑しくなるので、少し気が晴れる。いつインプットされたのか、不思議だ。

 色々聴こうとするが、一番身体に合うのは、鼻歌で唄えて聴きながら眠れる、ゆったりとした曲が多いようだ。家系的にあまり心臓が強くないせいもあるのかもしれない。若い頃は歌詞の意味も含め好きになった曲も多い。コロナ禍で、歌詞が予言していたように感じ、聴き始めたものもある。歌詞の預言性については、『海辺のカフカ』を読んで以来気になっている。

 iTunesに入れて繰り返し聴き続けている曲を並べてみる。たいへん長くて申し訳ないが、これだけ書けばあなたの好きな曲も一つはあるかもしれない。冒険が少なくオーソドックスなようで、マイナーなカバーもあり、ややでたらめなラインナップだ。多くの人が実はそういう風に偏った聴き方をしているのかもしれない。Witsレーベル他、若い頃頭が擦り切れるくらいに聴いた曲は、今は聴き休んでいるけれど、もう少し年取ったらまた聴き始めるかもしれない。最近聴き始めたBlack Country,New Road(仲さんのnoteをタダ読みしていて知ったもの)も、このリストの仲間入りしそうだ。

 フリッパーズ・ギター「全ての言葉はさよなら」、小沢健二「天使たちのシーン」「地上の夜」「夜と日時計」、GRAPEVINE「望みの彼方」「風待ち」「Paces」、くるり(くるりはやや流動的に聴く)「ランチ」「ピアノガール」「ブレーメン」「愉快なピーナッツ」「つらいことばかり」「サマースナイパー」「soma」、キリンジ「クレイジー・サマー」「今日の歌」、キセル「ビューティフルデイ」「ギンヤンマ」「夕凪」、初恋の嵐「涙の旅路」、MOTORWORKS「The End」、Curve509「Too lonely to see」、細野晴臣「恋は桃色」、サニーデイ・サービス「うぐいすないてる」「シルバースター」、鈴木祥子「Farewell song」「優しい雨」、矢野顕子&忌野清志郎「ひとつだけ」、矢野顕子&細野晴臣「終わりの季節」、矢野顕子&Tinpan「絹街道」、大瀧詠一「お花見メレンゲ」「風立ちぬ」、ハナレグミ「Tシャツに口紅」「さらら」「家族の風景」、真心ブラザーズ「新しい夜明け」「二人のりでいこう」、オセロケッツ「アンサーソン」、ユウヒーズ「FUN」、Bank$「Stereo Night」、Harco「1分の1の地図」「プール」「国境のジェントルマン」、ゴメス・ザ・ヒットマン「別れの歌」「言葉の海に声を沈めて」「情熱スタンダード」「雨の夜と月の光」「愛すべき日々」、行川さをり「さようなら」、コレクターズ「あの娘は電気磁石」「Quiet Happy」「Tough」、TRICERATOPS「Rock Music」「My Skywalker's T-Shirt」「Finally」、スガシカオ「Only You」「Every time you go away」「宇宙」、ピロウズ「ストレンジ・カメレオン」「nowhere」「ONE LIFE」、スーパーカー「Sunday People」、フジファブリック「ECHO」「手紙」「虫の祭り」、怒髪天「労働CALLING」、天才バンド「天王寺ガール」、ポルノグラフィティ「愛が呼ぶ方へ」、松崎ナオ「川べりの家」「hello goodbye」、Lily Chou Chou「共鳴(空虚な石)」「エロティック」、『リリィ・シュシュのすべて』サントラより「エーテルの知恵~翼をください」、YEN TOWN BAND「My Way」、高橋徹也「真夜中のドライブイン」「チャイナカフェ」、七尾旅人「七夕の人」、小向定「星降る島」、ロロロ「テクノ」、寺尾沙穂「ねんねしなされ」、YUKI「歓びの種」、Guilo「旅をするために」、Ett「ワルツ」「雨男」、ズビズバー「ぬか床」「アマドコロ摘んだ春」、星野源「くせのうた」、RCサクセション「Sora Ga Mata Kuraku Naru」スピッツ「楓」「田舎の生活」「猫になりたい」「流れ星」「野生のチューリップ」、原田郁子「やわらかくて気持ちいい風」、Cocco「がじゅまるの樹」「SATIE」「何もなかったように」、大橋トリオ「忘れない」、WINO「Sullen days」「Love is here」、セロファン「最後の冬」、羅針盤「光の手」、トモフスキー「コーキシン」、ハンバートハンバート「虎」、ラリーパパ&カーネギーママ「終わりの季節に」、ロッキー・チャック「Day and night」「Snow」、ザ・タートルズ「さよなら僕のマーマレード」「Today」、odani misako tata「ひこうき雲」「Someday there's a feather」、クレイジーケンバンド「また逢う日まで」、憂歌団「嫌んなった」、古謝美佐子「童神」、下地勇「世待つ雨」「山の上の親子」、高原清「池間口説」、南佳孝「I want you」、井上陽水「crazy love」、アン・ルイス「グッドバイ・マイ・ラブ」、青江三奈「恍惚のブルース」、Polaris「深呼吸」「光と影」「トリオ」、高木正勝「perpetuum mobile」、『そこのみにて光り輝く』サントラより田中拓人「In my dream」、ウーロン茶CM曲集よりLi Hao&Amin「spicks and specs」、ルー・リード「Walk on the wild side」、ボブ・ディラン「Don’t think twice,it's all right」、カーペンターズ「ならずもの」「I need to be in love」「The rainbow connection」、ビリー・ジョエル「If I only had the time」「She’s always a woman」「Don't ask me why」、モンキーズ「Shades of gray」、ビーチボーイズ「Sloop JohnB」「Surf's up」、ブライアン・ウィルソン&ヴァン・ダイク・パークス「Orange Crate Art」「San Francisco」、ボズ・スキャッグス「We're all alone」、ジョージ・ハリスン「All thing must pass」、CSNY「Our House」、ELO「Mr.Bluesky」、トム・ウェイツ「Grapefruit moon」、サム・クック「A change is gonna come」、スティーヴィー・ワンダー「a place in the sun」チャーリー・リッチ「the most beautiful girl in the town」、デヴィッド・ボウイ「Starman」「5years」、『バスキア』サントラよりジョン・ケイル「Hulleluja」、『I am Sam』サントラよりルーファス・ウェインライト「Across the Universe」ニック・ケイヴ「Let it be」、サイモン&ガーファンクル「Late in the evening」、ノラ・ジョーンズ「Don't know why」、Small faces「My mind's eye」、ドアーズ「Touch me」、ビートルズ「I'll follow the sun」、Radiohead「No surprises」、ローリング・ストーンズ「She's a rainbow」、エリック・クラプトン「ベルボトム・ブルース」、フランク・シナトラ「Moon River」「On the sunny side of the street」、ロネッツ「Be My Baby」、ペギー・リー「I don’t want to play in your yard」、キャスリーン・バトル「アヴェ・マリア」、ナット・キング・コール「O Holy Night」、レイ・チャールズ「I can't stop loving you」、『Toilet』サントラよりリスト「ため息」、誰の演奏か知らないコンピ盤よりピアソラの「アヴェ・マリア」、「カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲」、「タイスの瞑想曲」、モニーク・ハースの弾くラヴェル「水の戯れ」。

 今はここにリミックスワークも含めたCornelius、Salyu×Salyu、METAFIVEなどが入って、訳がわからなくなってます。最後まで読んでくださった奇特な方がいらっしゃったら、ありがとうございます。カバー写真は、Music in the airというイメージで選んだ、空が不思議に光っていた時撮ったもの。

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