なかったことにはできなくて

実は私は遊郭の話を読むのが好きです。
文化の最先端だった遊郭の華やかな部分と、「苦界」と呼ばれるほどの人としての尊厳を奪われる地獄であるという闇、
昔からその両極端な部分が気になってしまい、つい目にしてしまいます。
理由はわかりません。
とにかく気になってしまう。

で。

XのTLで流れてきたこちらの展示。
絶賛、吉原炎上状態らしいです。

パッと見て面白そう!と瞬間思ったと同時に「江戸アメイヂング」という言葉とピンク色のロゴをみてちょっと違和感も感じまして。
で、中身を読んでみたら・・・・

完全にエンタメテーマパークひゃほ~~い☆彡みたいな紹介になっていました・・・・。

「今や失われた吉原遊郭における江戸の文化と芸術について」
「歴史的に検証し、その全貌に迫ります」
とあるので、文化的芸術的価値な部分にフォーカスしているというのはわかります。
全貌というなら、展示内容としては
その煌びやかな文化が尊厳を奪われ苦しんだ人の上にできあがったものであることをしっかりと踏まえてあると思うし
きっと歴史的価値もある素晴らしい美術品の展示もあるのでしょうし
適当なことをされているわけではないのもわかります。
ポップな感じは集客を狙っているためというのもわかります(最初に書きましたが私も瞬間的には面白そうって思いましたし)

でも私は吉原という場所はその「光と闇」は完全にセットにしないといけないと強く思っているのです。
何故ならその光と闇は、
性的搾取や性差の問題はもちろん、社会の構造や人間の性質そのものも孕んだ、現在でもあらゆる場所で起こっている人権の問題と地続きだと思うからです。
地続きだから、「その時代はそうだったから仕方ない」で済ませる問題じゃないと思うのです。

非難したいのではなく(この言葉は・・・)
大きすぎる見方になっちゃうかもしれないけれど、
無自覚でいちゃいけないよね、他人事じゃない自分の問題でもあるよねと思うのです。

だから、そこに全く触れないというのは不誠実だと思うのです。

そして、そこに自覚的であれば、少なくともこういう広告の打ち方・表現の仕方はできないよなぁと思ったりしますが。
頭がかたいのかな、私は(;^ω^)

あとピンクを基調にしたロゴとか・・・・もごもご。
あとあと、これを書いている途中で知ったのですが
「お大尽ナイト」なるイベントがあるそうですね・・・・。
お大尽・・・か・・・・(藝大さん、大丈夫ですか?)
そういうのもちょっと、なんとなく引っかかります。

先にも書きましたが
展示自体は観たい!と思うものもあるのですが、ね。



最後にこちらのリンクを貼らせていただきます。
カストリ書房の店主・渡辺豪さんの言葉を引用いたします。

客を取らされた遊女、堕胎させられた遊女、性暴力に遭った開拓団女性に想いを馳せ、我が事として考えようと努める(叶わなくてもやり続ける)のと同じように、私は『吉原花魁日記』を楽しむ男性読者、堕胎を笑う当事者男性、「ソ連兵好き」と揶揄う地元男性、慰安所通いを懐かしむ高齢男性、彼らも我が事としたい。これまで「社会の歪み」に無自覚で生きてきた以上、今の自分を構成している一つが、その歪みに他ならない。

渡辺豪


追記
ちなみに、
私はいまだに芦原妃名子先生の事を考えております。
へ?それとこんかいの内容とどういう関係があるの?って思われますでしょうが
私の中ではちょっとだけつながっていたりするのでさらに色々考えちゃいます。
うまく言葉にできませんが。。。

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赤裸々な告白とかではありません。

齢50を過ぎた女が自分の愚かさと間違いとまあいっかをつぶやく日記

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