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歌詞語彙辞典 #17

『町を見下ろす丘』

●カウント数 1058
●最多出現ワード
★1位 「今」 合計 20カウント
・「今を」4カウント/「今を、」1カウント
・「今、」3カウント/「今」2カウント
・「今の」2カウント/「「今の」1カウント
・「いまは」2カウント/「今は」1カウント
・「今も」2カウント
・「いまから」「今さら」各1カウント

★2位 「行く/ゆく」 合計17カウント
・「行け‼︎」4カウント
・「行かなきゃあ、」「行かなきゃあ」「行かなきゃ」各1カウント
・「行きあたりばったり」「行きたい」「ゆく」「行くの?」「行くよ」「ゆけりゃあ」「行けるさ」「行けよ」「行ったよ」「行ったり」各1カウント

★3位 「俺/おれ」 合計15カウント
・「俺は」7カウント
・「俺は…」「俺は、」各1カウント
・「俺」「俺の」各2カウント
・「俺を」「おれを」各1カウント

★3位 「探し」 合計15カウント
・「探し~」合計6カウント
内訳:
 ・「探し歩いてゐる」3カウント
 ・「探し始めた」「探し歩いてゐた」「探し歩いて来た」各1カウント
・「探してる」5カウント
・「探してた」3カウント
・「探して来た」1カウント

★5位 「何か」 合計14カウント
・「何かを」12カウント
・「なにかと」「“何か”に」各1カウント

★6位 「遠い」 合計12カウント
・「遠い」7カウント
・「遠く」5カウント

★7位 「人生」 合計11カウント
・「人生」6カウント
・「人生の」4カウント
・「人生を」1カウント

★7位 「僕/ぼく/ボク」 合計11カウント
・「僕の」5カウント
・「僕は」3カウント
・「ボクの」「ボクは」「ぼくを」各1カウント

★7位 「見」 合計11カウント
・「見下ろす」3カウント
・「見える」2カウント
・「見た」「見つけたくって」「見つめてた」「見て」「見てゐた」「見る」各1カウント

★10位 「雨」 合計10カウント
・「雨は」3カウント
・「雨が」「雨の」各2カウント
・「雨上がり」「雨に」「雨模様」各1カウント

★10位 「いつ」 合計10カウント
・「いつでも」「いつの間にか」各3カウント
・「いつしか」2カウント
・「いつか」「いつの日か」各1カウント

★10位 「町」 合計10カウント
・「町に」「町の」各3カウント
・「町は」2カウント
・「町」「町を」各1カウント

★10位 「やう」 合計10カウント
・「やうな」4カウント
・「やう」「やうに」各3カウント

その後に
・9カウント 「生きて」「歩いて」「訪ね」
 各内訳
 ・「生きてきた。」2カウント/「生きてきた」1カウント
 ・「生きられりゃあ、」2カウント
 ・「生きて、」1カウント/「生きて」1カウント
 ・「生きてゐる」「生きて来たのか」1カウント

 ・「歩いてゐる」6カウント
 ・「歩いてゐた」「歩いて来た」「歩み」こと」各1カウント

 ・「訪ねてる」6カウント
 ・「訪ね歩いてゐる」3カウント

・8カウント 「 I don't 」「こと」「自分」「道」「もう」「夢」「理想」
 各内訳
 ・「自分を」3カウント
 ・「自分の」「自分」各2カウント
 ・「自分が」1カウント

 ・「道」「道に」各4カウント

 ・「夢か?」3カウント
 ・「夢も」2カウント
 ・「夢」「夢にゃあ」「夢へと」各1カウント

 ・「理想」5カウント
 ・「理想の」3カウント


●一人称:俺/おれ/僕/ぼく/ボク/僕ら
 「ボク」初出、「オレ」は無し
●二人称:あなた/キミ/おまへ
●三人称:無し
●その他の気づきポイント
・縦書き
・句読点あり
・旧仮名遣い
・カタカナは少ない
  クセ、ココロ
・異なる表記が1曲の中にある
  ボク/おれ(“地元のダンナ”)
  キミ/あなた(”シグナル”)
・漢字ひらがな英語問題
  今/いま
  彼方/かなた
  一人の/ひとりの
  ベイビー/baby

前作で「見上げて」いたのが、今作では「見下ろす」に。このアルバムで、歴史の流れの中の《個》としての自分について、しっかりと整理して軌道修正する。

『俺の道』収録の “ラスト・ゲーム” の ‘キリスト偉い孔子も偉い 俺はいったいなんだ?’ という歌詞に、キリスト、孔子と「俺」を並べるとは凄い…と吃驚したけれど、今作の1曲目 “地元のダンナ” では ‘ボクはひとりで連日連夜いろんなものと戦ってゐる。’、この《いろんなもの》の中に「あらゆる偉人」とあり、一人称は初出のカタカナ「ボク」。
歌は、自分の歴史も含めたあらゆるものとの戦いの日記なのだ。

 ああ 歴史上では、なんてちっぽけな生涯生涯。
 ああ でも世界中でたったひとつだけの人生人生。
 自分だけの人生を見つけたくって・・・
 足りない何かを探してた 心の中に今の自分を描く旅

そして、2つの歌に共通するフレーズ。

 いつの間にか随分遠くまで来てしまったみたい
 辿り着けない夜空の向かう いつの間にか随分遠くまで来た

目指してきた場所とは違うところにいると感じているのだろうか。
バスが目的地に向かって行ったり来たりする雨の日、僕は「道に迷ってさまよふ旅人」。「目の前の日々が僕の全てか」と問いながらバスに乗る。そして「目の前の日々が僕の全てだった」ことに気づく。

やがて、雨は上がり、外は晴れた空。
このアルバムで「自分といふものが知りたくて、でも明日へ明日へ先のばし」にしていた悩みは、一気に突き抜ける。

 何と戦ひ、何を求めて生きて来たのかさへ もう忘れてしまった。
 もういいや、いまはもうそんなこと。
 なんてな、いまはいいや、もうそんなこと。

「自分は何者なのか?」「自分はどう生きていくべきか?」
この問いの答えはそう簡単には見つからない。行き先は遠くて見えなくとも、今いる場所を踏みしめてたゆまずに歩いて行くことがすなわち人生である、という歴史から学んだ諦観が浮かび上がる。だから、ただただ歩いて行くしかないのだ。自分との対話を掘り下げていっても行き詰まるような閉塞感に陥らないのは、どこまでも上を目指し無尽蔵に湧き上がる前進力ゆえか。
自問自答だろうか、町を見下ろす丘での月との対話だろうか、

 「どの道キミは、ひとりの男、心の花 咲かせる、人であれよ」と。
 「今の自分を信じてみなよ」

いずれも「鉤括弧」で括られているのが暗示的だ。
どの道俺は、流れ星のような人生を、たゆまずに、歩いて行くしかないのだ。
この諦念に裏付けられた人生観は “シグナル” に凝縮されているが、最も宮本節を感じるのは “I don't know たゆまずに”。

 冬が来て春が来て夏が過ぎて秋が過ぎて
 また明日が来るやうに

また「冬が来る」のではなくて「明日が来る」。
ここがたまらなくいい。
EMI期ラストを明るく力強く締めくくる。



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