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Fate/Revenge(完結) 17. 聖杯の成る時-②+Epilogue

割引あり

 二次創作で書いた第三次聖杯戦争ものです。イラストは大清水さち。
※執筆したのは2011~12年。FGO配信前です。
※参照しているのは『Fate/Zero』『Fate/Staynight(アニメ版)』のみです。
※原作と共通で登場するのはアルトリア、ギルガメッシュ、言峰璃正、間桐臓硯(ゾォルゲン・マキリ)です。
※FGOに登場するエンキドゥとメフィストフェレスも出ますが、FGOとは法具なども含めて全く違うので御注意下さい。



 
ウォルデグレイヴは時代がかったモーニングで正装し、バッキンガム宮殿の廊下を歩んでいた。その手には異様なものが握られている。魔術教会から借り受けた、切り落とされた自分の腕である。そこには使い残しの令呪れいじゅが宿り、ウォルデグレイヴの腕であることは魔術師であれば誰でも判る状態だった。
 ウィンズローは執事に奥まった部屋に案内された。そこにはまだ幼い少女と犬が一緒に遊んでいた。彼女は豊かな黒髪を揺らして犬を追いかけていた。
「こら、お客様ですよ。整列!」
 元気のいい号令にハウンドドッグが彼女と並んで横に座る。ウォルデグレイヴは笑ってしまいそうになりながら、すらりと一礼した。
「皇太女殿下。英国王室付首席魔術師ウォルデグレイヴ・ダグラス・カー、ただいま戻りましてございます」
「三日も何をしていたの。わたくし、存じておりましてよ」
 小さな王女は嫌味のない笑顔でウォルデグレイヴをにっこり見上げた。賢そうな目は理知的で、笑顔は愛くるしい。彼女が王位に就くのを宮殿では誰もが待っている。女王の時代、大英帝国は栄えると言われているからだ。それは真実なのだとウォルデグレイヴは思う。
「傷ついた後輩を連れ帰りまして、倫敦ロンドンの威信にかけて治療を施した次第。容態も落ち着きましたので御挨拶に上がりました」
「あらまあ。わたくしは御後輩の次というわけね」
「殿下。病人の容態に嫉妬なさってはいけません。わたしは身体が空いて最初に殿下のもとに上がったのですよ」 
 ウォルデグレイヴの言葉に彼女はくすっと笑った。
「聖杯はとれなかったそうですね。御伽話の聖杯なんてありはしないと言ったでしょう。わたくしの勝ちよ、ウォルデグレイヴ」

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