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「演劇情動療法」の前田有作さんと初めて会いました。

以前に触れた「演劇情動療法」を提唱する前田有作さんから、栃木県にある自治医科大学の「アートセラピー講座」で前田さんがゲストで講義をするので東京で会えないか、というメールをいただきました。

◆note過去記事◆加藤昌史、グループホームで介護職に挑戦中です。
https://note.com/katohmasafumiv3/n/n9d18ff399e8b

■演劇情動療法とは
https://www.jadet.jp/演劇情動療法-とは/

その日は16時から荻窪高校演劇部のコーチがあるので微妙かな、と思ったのですが、僕が始発の電車に乗って自治医科大学まで行けば、講座そのものにも間に合うので前田さんに東京にいらしていただくより効率的かつ実利的、と思い、僕が自治医大に行くことにいたしました。

前田さんに会える、ということに加えて、実はもう一つのドラマがありました。

二男・真一が脳腫瘍で呼吸と鼓動を止めたことがきっかけで、小児脳腫瘍の先生方が行う講演会の司会を依頼されたことがありました。

その時に初めてお目にかかってお話しさせていただいた小児脳腫瘍の専門家のG先生が、自治医科大学の方だったのです。

前田さんからメールをいただいた直後、G先生にご連絡すると、お返事をいただくことができました。

そんなこんなで当日。

自治医科大学附属病院の正面玄関でG先生がお迎えくださり、広大な敷地の大学内を案内してくださいました。なかでも、こども病棟のすごさに目をみはりました。

なんと、こども病棟の周りに広がるたくさんの綺麗なお花が咲いた植え込みは、ボランティアの方々が毎月植え直ししていつでもお花が咲いている状態にしている、とのこと。凄すぎる・・・。

そしてG先生が顧問をしていらっしゃる自治医科大学演劇部の部室へ。
入ってみると、部室どころではなく池袋のシアターグリーンクラスの小劇場でした。なんという恵まれた環境で演劇活動をされているのでしょうか‼️
しかも、医学部の学生さんが演劇活動をされている、という有意義さ。
今僕がやっている介護の現場でもそうですが、医学の現場でも「本物の演技力」は必須だと思います。「本当のことを言わない」のではなく「本当のことを相手を不安にさせずに伝える」というのは、まさに演技力。この演劇部で活動したお医者さんたちは、私の息子が7年間もお世話になった埼玉医大国際医療センターのみなさまに並ぶお医者さんになってくれるだろうな、と感じました。

そして講義が行われる棟へ。
それまで「演劇情動療法」の前田さんとはメールでのやりとりのみで、お目にかかったことはありませんでしたが、私とG先生が1階のロビーで「そろそろ教室に行ってみましょうか」と話をしていたその時ロビーに入ってきた男性が、YouTubeで見ていた前田さんにそっくり。呼び止めると、やはりご本人。

そして教室に入って、講義の準備をされている前田さんと、たまりにたまっていたことをお話ししました。

認知症の方への芸術やエンターテインメントのあり方、勘違いしている人の多さ、言葉や記憶を失っても感情は届く、という体験、など。

その後、実際に目の前で演劇情動療法の実演を拝見し、僕も涙しました。

かつて、チケット代をいただいて「未来を夢見る人たち」に向けて演劇を上演する、という仕事をしてきました。

その後は演劇という表現の素晴らしさを若い人たちに伝えていく、という生活をしてきたわけですが、さらに認知症という「どう人生を閉じるかさえも自分で決められない人たち」の心を揺さぶって「残りの人生」を豊かに生きていただくためのお手伝いをする、という演劇情動療法のお仕事をお手伝いさせていただけるかもしれない、と思うと、胸が締め付けられる思いでした。

自分の息子が自分の腕の中で呼吸と鼓動を止めた経験を持つ僕にしかできないことが、きっとあるはずだ、と勝手ながら思いました。

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