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【Pauper】ファミリア調整録&神決レポ(2023/8/27)

神決に向けたファミリアの調整録と大会レポです。
クソ長いし本当にファミリアのことしか書いてません。


はじめに

統率者マスターズ発売後のメタは、ファミリアにとって辛いものでした。

《ロリアンの発見》はパウパーのメタゲームに合致する強力なものでしたが、まさかテラーがこれほど強化されるとは思っていませんでした。

《ロリアンの発見》が登場する前、個人戦績としては紙大会でテラーにほとんど負けたことがなく、テラーやアンコウが複数体早期着地するという負け筋以外は、20~30点のライフを殴りきられるまでに盤面を整え、ブリンクで手札の枯れた相手の攻めをいなしながら無限ループに持っていくor空中戦力で殴り切るというプランで勝つことができました。
テラー自体を対処することは難しいですが、少ない数であればいなすことができます。もう一つの攻め駒であるアンコウも、勝手に相手の墓地を綺麗にしてくれますし、断絶でテンポを取りながら対応することができるため、助かる存在です。

しかし、《ロリアンの発見》と《謎めいた海蛇》が登場し相性差は大きく変わりました。
海蛇は護法はないものの、バウンスでの対処はこちらの損になりやすく、また攻め駒の増加によって負け筋である早期でのクロック複数体展開の頻度が増えています。
そして何よりもロリアンでクリーチャーの展開速度、中盤~終盤のアドバンテージの回復力が大幅に上がっており、結果としてこちらの盤面を整える時間はなく、盤面をある程度作れた後も相手の手札が枯れないため、打ち消しや除去を打たれマウントを取り切れないというゲーム展開で、負け越すことが多くなりました。

ファミリアのメタ上位に存在する他のデッキとの相性を見ると、親和には《塵は塵に》、赤単には《王神の信者》と《水流破》、カウゲートにはブリンクによる高クロックの否定等明確な回答がある一方で、流行しているテラーに対しては回答を持っていませんでした。

ということで、ファミリアでテラーに有効な構築を探して試す日々が始まります。

青白ファミリアの調整

(調整前)

まず青白ファミリアでテラーに有効なカードを探すことにしました。
以下が友人との調整やMOリーグで試したカードです。
除去
・《未達への旅》
・《邪悪を打ち砕く》
・《鴉変化》
・《ウーナの門の管理人》
打ち消し
・《霊魂放逐》
・《対抗呪文》
クロック否定
・《青の防御円》
・《つぶやく神秘家》
選択理由と結果を記します。

対策-除去

・《未達への旅》
・《邪悪を打ち砕く》
・《鴉変化》
・《ウーナの門の管理人》

【選択理由】
クロック1体に対してはチャンプやブリンクで時間を稼ぎながら有利状況を作れるため、シンプルに横並びした攻め駒を減らすアプローチです。
《未達への旅》は着地時に護法が誘発するため、対抗呪文で打ち消された時にテンポを失いにくいという利点があります。一方でエンチャントであるため《古術師》で使い回せず、最大値でも単純な1:1交換にしかなりません。
《邪悪を打ち砕く》は古術師で使い回すことができ、また呪禁オーラやヒロイック、壁コンボも見れるためサイドカードとして優秀です。
《鴉変化》もまた古術師で使い回すことができ、アーティファクト追放なので一応親和も見ることができます。青の呪文なのでファミリアと噛み合っていますし、予顕で貴重な序盤のアクションを埋めることができるのも良い点です。
《ウーナの門の管理人》はクロックを3/3にすることでテラーに対してほとんど仕事をしない《王神の信者》に役割を与えることができ、また青黒混色クリーチャーなので殺しに当たらない、クリーチャーなのでピアスに当たらない、序盤から展開しやすいという利点があります。

【結果】
微調整を繰り返しながら友人と7マッチ行い、全敗しました。それもほとんどが0-2です。心が折れそうになりました。
枚数の少ないサイドカードで必死に1体どかしたところであまり意味はありませんでした。テラー側の後続展開が止まりません。
古術師で使い回せるカードはあれど、必死にビッグアクションを取っている最中に相手は大量にアクションを行い、強い手札、盤面を作ることができます。
ウーナの門の管理人はゴミでした。そんなカードも試すくらい、コモンの海の底まで必死に有効牌を探していました。

対策-打ち消し

・《霊魂放逐》
・《対抗呪文》

【選択理由】
《霊魂放逐》は苦手な《ギルドパクトの守護者》やイニシアチブクリーチャーも見ることができますし、ファミリア定着時なら1マナで唱えられます。
《対抗呪文》は言わずもがな。バウンスランドを採用している都合上青2マナが構えにくいという欠点はありますが、それでも強力です。

【結果】
《霊魂放逐》は悪くはありませんが、他のカウンター用のスロットをこれに割く必要があり、《禁制》等と比較すると汎用性は下がります。
《対抗呪文》も強力でしたが、どちらの打ち消しも3ターン目辺りから構え続けなければならないのはテンポロスが激しいです。
テラー側に意識されると、十分に準備をした上でバックアップしつつ大量展開を行い、こちらの打ち消しもソフトカウンターで消されるという流れになり、それまでにこちらはカウンターを構えていたテンポロスで盤面を作ることができておらず、押し切られてしまうということが多かったです。

対策-クロック否定

・《青の防御円》

【選択理由】
限界サイドボードです。サイドボードは対応範囲の広さが重要ですが、これに関してはテラーしか見ることができません。
青単テラーでも青黒テラーでも、エンチャントを触る手段は非常に限られているため、一度通せばほぼ触られないといって良いです。
テラーや海蛇は1マナで対処することができ、ダメージを軽減できないアンコウもバウンスで対処可能なため、かなり信頼できそうです。

【結果】
用途が狭い分、テラー用サイドボードとしては一番効果があったと思います。
一度見せた後の相手のプレイの鈍り方はかなり評価できるものでした。他のカードがスイスイ通ります。
一方で、一度出せば簡単に勝てるだろうという予想に反して、相手の盤面に並んだテラーや海蛇が実質的な土地破壊として機能し、こちらが扱える少ないマナのアクションは綺麗に整えられたハンドで全部対応されるという展開がそこそこ発生しました。最終的に物量で押し切られたり、アンコウに殴りきられたりということもあります。決してイージーウィンできるほどのカードではありませんでした。

・《つぶやく神秘家》

【選択理由】
統率者マスターズでダウンシフトしたカードで、その強力な盤面制圧力に可能性を感じていました。
対テラーに対しても、定着すれば無限のチャンプ要員を生み出し、ゲームを続けるだけで容易に勝利できることは間違いないと思います。

【結果】
定着しません。
テラー側が神秘家を定着させている状況を思い返すと、こちらの神秘家着地までの道筋が優れていることに起因しているのではなく、テラー側がさほど良くない回りをしているだけだということが多い印象です。
また、定着しても意外と押し負けることがありました。全リソースを割いて定着させても、トップから有効牌を引き続けて毎ターン2~3体の鳥を生成するのは難易度が高すぎます。
ただ、このカードによって勝利することもありますし、このカードを用いた勝利のイメージが付きやすいことで、当時は過大評価していたと思います。

デッキの構造的な課題

何マッチも対戦を行ったことで、課題点もよく見えるようになりました。

序盤にテラー側が脅威と感じるアクションが少なすぎる

特に顕著なのは《王神の信者》の弱さです。今まで同様の青いクロックパーミッションであった青黒フェアリーや青単フェアリーに対しては、忍者のブロックやライフゲインによる遅延など、無視できないような影響力がありました。ですがテラーに対しては違います。信者のライフゲインは5/5のクロックの前にはほぼ無力で、タフネス4も意味がありません。

《陽景学院の使い魔》はテラー側のマナカーブに対して足並みを揃えるために必須のカードですが、1体だけなら除去しておく、複数並んだら後続のアドバンテージを得るクリーチャーをすべて打ち消す、といったように立ち回られると、最終的にただのチャンプブロッカーとなり下がります。

《当世》は貴重な2マナアクションですが、結局墓地利用できるカードを落としたりバウンスランドと組み合わせないとアドバンテージに繋がらず、3章の2/3飛行もテラー相手にはチャンプ要員にしかなりません。

総じて序盤はほとんどドローゴーをしているだけであり、テラー側は悠々と手札を整え、クロックを複数展開できるような状況を作るだけです。

通したいプランの要求値が高い

テラーの猛攻を凌ぐ手段として、ブロック+ブリンクでアドバンテージを取りつつ有利な状況を作っていくのが主なプランとなりますが、それは様々なハードルを乗り越えなければ遂行できません。

テラー側がCIP能力を持つ生物を積極的に打ち消すような立ち回りをした場合、手札にある《断絶》や《儚い存在》はほぼ機能しなくなってしまいます。
また、ブロックしてそれらの呪文を唱えたとしても、ソフトカウンターに当たることも多いですし、フルタップの状態であっても《殺し》で対処されてしまいます。
昔はテラー側が息切れしやすかったので、中盤以降にそれらの強い動きが通るようになっていきましたが、今は《ロリアンの発見》でいつまでも上手く通すことができません。

また、ファミリアの構築は2ドロー呪文を2~4枚取ることが多いです。
ファミリアはカードとカードのペアが多く要求されるデッキなので、これらのアドバンテージを得る手段を一定枚数は確保する必要があります。
主な選択肢は《精神の交差》と《綿密な分析》で、どちらもテラーに対して悪くないカードではありますが、《精神の交差》は強く使うための要求値が高く、デッキ全体で召集がしやすいように軽いクリーチャーを多く採用しなければなりませんし、サイドボードでテラー相手に弱い《王神の信者》を抜くとバランスが崩れやすく、扱いが難しいです。

《綿密な分析》は計4枚分のアドバンテージを得ることができて強力ですが、アグロデッキなども考慮するとどうしても2枚までしか採用することができず、またフラッシュバックを活かすために、テラーに対して弱い《当世》と一緒に採用しなければならない点が難しいところです。
どちらを採用するとしても、他のシナジーと組み合わせてまとまった構築をしなければいけませんが、シナジーがある他のカードがテラーに対してあまり有効ではありません。

様々なサイドカードを試し構築の課題も見えた結果、青白ファミリアに限界を感じつつあったため、一旦青白カラーでの調整を止め、他のアプローチを考えることにしました。

エスパーファミリアの調整

ゆーきさん作

エスパーファミリアは最近では《当世》が登場した後、ファミリア使いの一部で流行したアーキタイプです。
当時は当世+綿密な分析のパッケージが強力で、黒主体のアーキタイプに対しても《殺し》をルーティングできることが革新的でした。
エスパーファミリアに調整を踏み切ったのは、《殺し》や《喪心》といった黒い除去、バウンスランドと併用して使い回せる《ボジューカの沼》がテラーに対して有効であると考えたからです。
当時と比較し、《ロリアンの発見》が登場したことで、沼を探しやすく、マナベースも改善しています。

調整グループの中で、同じくファミリアに知見のあるゆーきさんと調整を重ね、紙大会やMOリーグではそこそこ良い戦績を残すことができました。
可能性のあるアーキタイプだと感じましたが、ロリアンで改善されているとしても色拘束が常に付きまとう点や、バウンスランドとタップインランドの噛み合いの悪さ、各クリーチャーの採用枚数等、デッキ全体としてのぎこちなさをどうにも改善することができませんでした。
《つぶやく神秘家》定着時の成功体験に引きずられ、神秘家に全振りするような構成を目指しましたが、結果として《幽霊のゆらめき》や《熟考漂い》、《断絶》といった、ファミリアと組み合わせると強力なカードが抜けてしまい、ファミリアである理由が減っているのが原因だと思います。

最終的に、意味のわからない謎のデッキができました。

古術師、儚い存在、熟考漂い採用なし―――MOリーグでは4-1を連発しましたが、攻め手がなさすぎるあまりに相手の時間切れやLOで勝利することが多く、紙大会で勝ちきるイメージがまったく湧きません。あまりにも細すぎます。
ゆーきさんに青赤テラーを使ってもらい対戦した最終戦で、お互いにクロックを展開できずに自分の《綿密な分析》で相手をLOさせて勝利した虚無感は忘れられません。どこに向かっているのか。

強力なカードが多くデッキパワーはありますが、どうにもまとめきることができないため、調整を止めました。

神決までの時間があまりない中で多くの時間を割き調整したことが徒労に終わったようで、かなり凹みました。テラーに頭がやられていました。もうテラー使えよ。

SSS搭載型青白ファミリアの調整

自分がエスパーファミリアをこねている裏で、同じ調整グループの束男さんも青白ファミリアを調整していました。
束男さんも自分と同じく「テラーがきつすぎる」という結論に達していましたが、諦めることなく青白カラーでの調整を続けていました。
2人で話し合い、新しい構築を考えました。

・《呪文づまりのスプライト》(SSS)

【選択理由】
序盤のテラーの1マナアクションに対する脅威となります。ピアスに当たらないのも嬉しいところ。
SSSは一般的には各種忍者と組み合わせて使い回しを狙いますが、ファミリアでは《断絶》やブリンク呪文をSSSに変換できるようになるのが強みです。
従来のファミリアに足りなかった、序盤のアクションを埋められる軽量クリーチャー、対テラーでの序盤の脅威、ブリンク呪文をプレイ可能にするためのCIPクリーチャーの定着といった要素が全て詰め込まれています。
《精神の交差》が登場した頃にファミリア使いの中でSSSの採用は検討されていましたが、テラーへの有効牌として挙がったのは束男さんと相談して初めてでした。

【結果】
自分はMOリーグを数回と調整する時間があまりありませんでしたが、感触は良かったです。
実際にはカード単体としての性能よりも、SSSを見せることで相手のプレイングが歪むことが大きな利点でした。
SSSをケアしながらではないと1マナ呪文が打てなくなるのはテラーにとっては大きなストレスです。

同じくSSS採用型のファミリアを使用し、束男さんは紙大会で好成績を収めています。

https://www.hareruyamtg.com/ja/deck/582490/show/

テラーへの問題点を改善するため、採用するCIPクリーチャーとドロー呪文にも調整が行われています。
《海門の神官》は《熟考漂い》と比較するとアドバンテージの面は劣っていますが、早い段階で盤面にCIPクリーチャーを展開することができ、後続のブリンク呪文が活きるという強みがあります。現状のテラーの速度を考えると、1枚分のカードアドバンテージの差はあれど、海門の神官を採用し、早い段階でブリンク呪文をアクティブにすべきという結論に達しました。その結果、熟考漂いの採用枚数は少なめ、海門の神官の採用枚数は多めという状態になっています。
また、《つぶやく神秘家》との相性を考慮し、ドロー呪文として《精神の交差》を採用しています。準備が必要なカードですが、SSSの採用、海門の神官の採用枚数増加と相まって、かなり唱えやすい構築になっています。

アーキタイプの選定

束男さんがSSS採用型を調整している一方で、エスパーファミリアの調整の結果行き詰まってしまった私は、ファミリアプレイヤーが集うディスコードサーバーで海外プレイヤーに構築の相談を行いました。
ファミリアサーバーは何年も前からファミリアを使用し続けている猛者が沢山いて、もっと早く相談すれば良かったと思っています。英語話せるようになりたい。
ここで貰えた様々な意見と、束男さんとの検討結果を以て、最終的にSSS採用型青白ファミリアを使用することに決めました。
以下、相談によって得られたことを記します。

①《つぶやく神秘家》を評価しすぎない

直近のPauper Challengeで、《つぶやく神秘家》採用枚数0枚のファミリアが好成績を残していました。

Gn42

神秘家は定着するとゲームエンドまで持っていけるほどの強さは勿論ありますが、ただのシステムクリーチャーであることも確かで、ブリンク+CIP、バウンスランド+断絶等々、カードとカードの組み合わせを多く要求されるファミリアにおいては、大量枚数を採用するほどのスロットはないという結論です。
テラーに対しても、打ち消しや除去との1:1交換を行っていく過程で、出た時に何もしない4マナのクリーチャーを多く採用しマッチアップの改善を図ることは間違いでした。
今まで依存しようと思っていた神秘家に対する評価を変えることができたのは大きな収穫でした。

②ファミリアのメタゲーム上での立ち位置を評価する

ではなぜPauper Challengeでファミリアが好成績を収められたのか。それは、テラーに対しては不利だが、他の殆どのデッキに対しては立ち位置が良いためです。
前述した通り、親和にも赤単にもカウゲートにも回答を持っているデッキです。他のデッキに対しても有利に立ち回れるような自力はあります。
過去、自分も大きめの大会で「トップTierにはあまり有利ではないが、他のデッキに対しては有利」という立ち位置のデッキで好成績を残したことがあったことを思い出しました。
対テラーに固執しすぎて忘れていました。
もし大会参加者の3割がテラーを使用していたとしても、他の7割のデッキに有利であれば、使用する理由に足り得ると思い直しました。

③対テラーにおいてSSSは有用である

他のプレイヤーもSSS採用型の青白ファミリアを使用し、MOリーグで結果を出していました。

saidin.raken

《フェアリーの予見者》まで4枚採用されています。束男さんとの検討ではつぶやく神秘家とのシナジーを考慮し、他の呪文にスロットを割きましたが、単純にフェアリーカウントの増加や初動の安定化といった点で採用されていました。
束男さん、そして古参ファミリア使いの海外プレイヤーからのSSSへの評価は非常に信頼のおけるものでした。

SSS搭載型青白ファミリア デッキリスト

既存のSSS採用型のリストも参考にしつつ、出来上がったのが下記のリストです。

https://www.hareruyamtg.com/ja/deck/583123/show/

正直自信はありませんでした。SSS採用型は練習が足りているとは全く言えず、メインを変えサイドを変え、ここまでやったとしてもテラーには普通に負けるため、口が裂けても有利とは言えず。
当日はテラーに2回引かれてすぐドロップだ、記念受験だという意気込みで神決に参加しました。
メタゲームの読みはテラーが約3割程度と一番多く、親和、カウゲートといったテラーに有利なデッキが続き、赤単、エルフ、壁コンボ、ボロス等の自力を持ったデッキが少なめではあるが一定数いるという想定です。

採用理由を以下に記します。

《王神の信者》3

4枚採用のリストが多いですが、役割の一つであるロングゲームへの貢献度が上位帯のデッキやコンボデッキに対しては低く、2枚以上欲しくなるマッチアップが赤単に対してのみだったため、1枚減らしました。

《フェアリーの予見者》2

カード単体での強さを考えると、4枚は採用できないという結論になりました。
王神の信者も減っている分、精神の交差の召集要員がもう数枚必要で、軽量であることとSSSに貢献できることの2つの理由から2枚採用しました。要調整です。

《熟考漂い》4、《海門の神官》1

一番悩みました。今修正できるなら3:2にしたいです。
対テラーや対赤単では海門の神官の方が優れていると感じますが、単体で見るとやはり熟考漂いの方が強力であること、SSSと合わせて飛行クロックでゲームを終わらせる力がある点を評価し、熟考漂い4の採用に踏み切りました。

《つぶやく神秘家》1

前述した通り、強力である一方、過信はできず、複数枚採用も難しいです。
不採用も考えましたが、ファミリアを紙大会で使う場合は、無限ループからゲームエンドまで持っていけるカードを絶対に1枚は採用しなければならないことは今まで同デッキを使い続けてきた中で痛感しており、神秘家の登場前は必ず《賢者街の住人》を1枚採用していました。
賢者街よりも汎用性やカードパワーの面で優れているため、フィニッシャーとしての枠で1枚採用です。

《古術師》2

従来の構成通り3枚採用したいですが、つぶやく神秘家や4枚の熟考漂いを採用したマナカーブを考えるとどうしてもこの枠を削る結論になってしまいます。

《通り抜け》1

前述の通り、王神の信者や海門の神官、古術師の採用枚数が減っているため、それぞれが有効なデッキに対して唱えられる展開を増やしたく、1枚採用しました。
1枚刺しの神秘家やSSSもサーチできるため選択肢は通常のファミリアに比べて広くなっています。

《邪悪を打ち砕く》1

メインボードからテラーを見つつ、唯一の呪禁オーラ対策としての採用です。

《アゾリウスの大法官庁》3

2ターン目にSSSを構えたい場面が増えているため、一般的な4採用から3採用に減らしています。

サイド《青の防御円》2

色々と試した結果、一番効果的なテラー対策として採用しました。
前述の通り、防御円を貼ったとしても負けることはあるので過信はできませんが、テラー側から見ても一番貼られたくないカードだと思います。
テラーの対ファミリアのサイド後はSSSと防御円がちらつくことになり、非常に動きにくくなります。
フェアリー採用型であれば特にですが、唱える前からの影響度を考慮しても防御円採用が一番だと思いました。

大会レポ

R1 エルフ(ソウルシスターズ型)2-0

エルフ+ソウルシスターズに《血の研究者》や《天界のユニコーン》を採用したデッキでした。
初っ端からつぶやく神秘家を1枚採用して良かったと思える試合展開でした。
G1 スナップでいなしながら古術師+儚い存在ループを決め、神秘家から1億体の鳥トークンを出して相手のライフ4億点を削れる盤面を作って勝ち
G2 6ターン目くらいに無限鳥トークンが決まって勝ち

R2 オルゾフブリンク 2-0 CEFさん

SSSの瞬速の強さが際立った試合でした。
G1 黒薔薇の返しにSSSを唱え、統治者を奪いつつコントロールして勝ち
G2 つぶやく神秘家が定着して勝ち

R3 白単 2-0

白単相手は相手のライフゲイン+空中戦力でこちら側がゲームを決めきれないことが多い中、つぶやく神秘家が活躍してくれました。
G1 SSSでいなしつつ無限バウンスを決めて勝ち
G2 王神の信者に除去を切られ、ライフ10まで削られるも古術師+儚い存在+神秘家が定着して勝ち
3戦を終えて、デッキの自力の高さを痛感しました。テラーには勝てませんが。

R4 青黒テラー 2-1

正念場です。
G1 後手2tのSSSに《魔力の乱れ》。相手の除去が墓地に落ちまくり、神秘家が定着するも押し切られて負け
G2 4ターン目1マナ構えにサイドの防御円を通すことに成功。負け筋の一つである相手の神秘家が着地するがトップで引いた熟考漂いに打ち消しを切らせ《邪悪を打ち砕く》で破壊。もう一つの負け筋のアンコウは断絶との噛み合いを避けるためサイドで全抜きしていたため、相手のLOまでダメージを軽減し続けて勝ち
G3 SSS+防御円ケアで相手の動きが鈍っている間に盤面を整え、エクストラターンに入るも熟考漂い+SSSで相手のライフを削り切って勝ち。対戦後、相手の手札には《無効》2枚が。

テラーに悩まされ続けた日々が実を結んだ瞬間でした。勝った瞬間に手が震えたのを覚えています。今までの努力は本番で勝つため。
すべてが噛み合いました。狙っていた展開も、引きの良さも。大会はSEまでは残れませんでしたが、この1戦を勝てたのは本当に嬉しかったです。今までファミリアを調整してきて、ファミリアで参加してよかったと思いました。

R5 赤単 2-1 うどんさん

R4の勝利で少し気が緩んでいる中、バーン巧者の方と当たり完全に負けたと思いました。
王神の信者は減らしています。勝負はSSS頼みでした。
G1 熱錬金を対処できず、インパルスで土地を伸ばして呪文連打で負け
G2 初手今わの際でケッシグをさばき、倒壊でバウンスランドが割られるもSSSが機能しはじめて勝ち
G3 先手2tインパルスを水流破で弾き、後続の1マナアクションをSSSでいなして殴りきり勝ち
G3は倒壊を打たれるとゲームが終わるバウンスランドをおかずに、順当に土地を伸ばして行けたのが勝因だったと思います。
うどんさんに勧められたプレシジョンダイスを買ったことを報告できて良かったです。

R6 親和 1-2 praeさん

同じ調整グループの強者です。
G1 処罰者が止まらず順当に負け
G2 塵塵2発で土地を枯らせて勝ち
G3 白2マナまで伸ばせる土地が見えたためキープ。トップ塵塵。先手4t、命取りの論争で3ドローしたpraeさんから「あ、強迫w」負け
前に調整グループで「親和の塵塵対策は強迫が一番良いのではないか」と言った自分の発言がここで跳ね返ってくるとは思いませんでした。

R7 青単テラー 0-2

R6で勝っていればほぼSE進出で、過去2回神決で同じラインで負けてトップ16止まりだったため、気が変になっていたのを覚えています。
G1 トップに頼った甘いキープをしてしまい、マナフラして負け。
G2 ダブマリ後、後手1tデルバーの返しに防御円を貼ることに成功するが、デルバーのクロックを軽減している間に手札、盤面を整えられ、こちらのアクションはほぼ通らず、最後は神秘家が定着して負け
ティルト気味で甘いキープが目立ちました。特にG1。
試合としては想定していた通りの負け方です。引きの悪さもありましたが、これまでの試合の引きが異様に良すぎたので、揺り戻しが来たんだと思います。
しかしここで勝ちたかった。

R8 壁コンボ 2-0

奇跡の引きが連発した試合でした。
G1 断絶なしのキープから上5枚に断絶が4枚あり、断絶3連打から古術師+儚い存在でループを決めて勝ち
G2 ファミリア1枚、土地、SSS4枚、断絶といくつかのサイドカードしか引かず、相手のカードをSSSで7回ほど打ち消して殴りきり勝ち
積み込みを疑われるかのような神引きしかしない試合でした。

結果

最終6-2の9位で終了。
神決はこれで9位が2回、10位が1回、2-2ドロップが1回です。惜しいところまで行くことが多いので、何かが足りてないんだと思います。いつか突き抜けたい。
当座の目標は練習量の確保になりそうな気はします。
SSS採用型の青白ファミリアを選択したことには非常に満足しています。
前日まで全くデッキが決まらず、メタ的に立ち位置が良さそうな壁コンボや親和やテラーを使うかまで考えましたが、長い期間をファミリアに費やしてしまったせいで他のデッキを使うことに全く自信が持てませんでした。
最終的に使い慣れているファミリアで挑みましたが、当日は運良く快勝できる試合が多く、何よりも4戦目の対青黒テラーで1勝できたことが嬉しかったです。報われました。

おわりに

元々は環境デッキを回したい性分だとは思うのですが、ファミリアに入れ込んでしまいました。勿論好きなデッキではあるのですが、使用し始めた当時はメタ的に強かったからで、ここまで情が移るとは思いませんでした。
このまま使い続けたほうがいいのか、それとも足枷と捉え他のデッキの練習に時間を割いた方が良いのか、悶々としています。
とりあえず言えることは、今の紙のメタで勝ちたいんだったら絶対にファミリアを使うべきではないです。ここまで長々と書いたんですから信用して下さい。
最後に、一緒に調整してくれたゆーきさん、つばささん、束男さん、本当にありがとう。SaidinもGn42も相談に乗ってくれてありがとう。皆のおかげで最高の体験ができました。ファミリアは最高のデッキだよ


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