ダメ日記

今日はなにも予定がない休日だったので、なにか文章を書こうと思って過ごしていたけれど、面白い題材がえんえんと浮かばずモンモンとしてきたので、諦めることにした。最近、安っぽい自己啓発みたいな言葉や考えばかりが頭に浮かんでくる。現在の生活からの逃避からだろうか、そもそもがつまらん人間だからだろうか。でも諦めてから数時間経ってやっぱり何か書くことにした。noteのエディタを開くだけで東京のことが思い出せて、こう、胸がきゅう、とするのだ。郷愁に病みついている。気色が悪い。

最近は一人でいるときに、東京のことばかり考えている。情けないけれど、東京で、一人でいることは楽しかったなあとばかり思ってしまう。人里離れた場所に住み、小さいコミュニティのなかで、一人でいること。大都会で、沢山の人が行き交うなかで、一人でいること。このふたつが大きく違うなんて思ってもいなかった。

寒さが厳しいなか、車で山を下り、田舎街に出てきて一人で休日などを過ごしていると、えもいえぬ寂しさを感じる。鬱蒼とした森に挟まれた道路や、だだっ広い平野を突っ切る道路を運転していると、陳腐な言い方だが、自然に比べたら自分はなんてちっぽけなんだろうと心の底から思える。そして自分なんかどうせ何もできやしねえやあと、これまた安直な絶望を抱いたりする。人がいる場所に来たって、東京とは全く違う。最寄りのスーパーマーケットは心なしか静かで、長靴を履いた高齢者が目につく。市街地の国道沿いはバカでかい看板ばかりが主張するニトリ、ネットカフェ、ホームセンター。本屋は売れ筋の話題本と雑誌ばかりを扱っている。都会だろうと、辺鄙な土地だろうと、地上のいたるところで人は暮らしているという当たり前の事実にはときどきクラクラくるほど衝撃を受けるが、基本的には理由もなく空しい気持ちになる。いくら人混みが嫌いっていったって、場所の活気は個人にも活力を与えるんだと思う。

その点、東京にはやっぱり一人の寂しさや無力感をかき消す活気があった気がする。どこに行ったって人がいるし、街は人工物で埋め尽くされているし、楽しいコンテンツで溢れている。上手く言語化できないけど、東京の空気は「自分は何にだってなれるし、一人でもなんだってできる」という勘違いを知らず知らず許してくれていたのだと思う。あと、単純に東京は便利で楽しい。今の時代、ネットがあるから、大好きな本屋や映画館を筆頭にいろんなお店が近くにない場所で暮らしても、大した不満ないやろ、と思っていたけれど、甘かった。見たい映画が見れなかったり、本屋で自分の興味ある本を見つけられなかったり、好みの洋服や雑貨を扱うお店がなかったりして、悔しい思いをしている。お金は貯まりそうだけれども。

人里離れた場所で暮らすようになって、人間関係もだいぶ変わって苦しんでいる。寮で暮らし、基本的に自分が働く会社の人としか関わらない生活をしているから、コミュニティが狭く、濃い。今までも狭いコミュニティのなかで暮らしてきたのだが、ここはなんとなく「逃げ場がない」という感じだ。周りの人たちが「他に人がいないんだから、一緒につるむのが当たり前でしょ?」といった体で接してくるのが当初、苦痛で仕方なかった。(そしてそういう人に限って、気が合わない)例えば仕事終わりに「牛丼、食いに行くでしょ?」と誘われたり(ちなみに牛丼屋まで車で30分かかる)、休日がかぶっていたら「一緒に何かしよう」と前のめりで予定を詰めてくることに耐えられなかった。何度か誘いを断って、一人の時間を好むことをアピールしたので、今は「そういう人」ということになってきて、少しはマシになった。それはそれでコミュニティのなかで居心地の悪さがあるのだが……。

一緒にいる時間を特別とする「一緒」は素晴らしいのに、前提として押しつけられる「一緒」はなんでこんなに苦しいのだろう? と思う。

と書きつつも、結局は、なかなか会社の人と気が合わない、というか気を合わせられないことが人間関係の苦しみの一番の原因な気がする。思ったより特殊な業界なようで、今まで自分が関わってこなかったような人たちが沢山いる。ある意味、自分に優しくしてくれる人ばかりと関わってきた自分にとっては良い社会勉強である。今まで甘ったれすぎていた。

そしてここまで書いてきて、自分でもうんざりしてしまったが、結局、全部こうだ。現在の生活の上手くいかなさの原因を、自分ででっちあげようとしているのだ。東京とか田舎とか、コミュニティがああだこうだとか、言い訳にしてはいけない。仕事がバリバリこなせて、ちゃんと人と打ち解けられて、なにかしらの充実感を得られていたら、こんなこと書いていないだろうに。

クソ奢ってるなあ、自分。

次の金、土、日と東京に遊びに行く予定だが、東京の良い面ばかりが見えてしまい、戻ってきたときに反動を受けるのではないかと、今からおびえている。楽しみなのに、ビクビクしている。


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