弱さ芸でやってきた。

明日は就職先の研修場所まで一人で車を運転して行く。働く場所が決まってから、大急ぎで中古車を買って、少しづつ運転の練習をしてきたけれど、不安で気持ちが今もざわついている。ペーパードライバー歴4年かつ、複数の情報を同時に処理するのが苦手な僕は、運転の常識もスキルも欠けている。平坦な道路も全て、怒りのデスロードに見える。今日も信号がない十字路で直進するタイミングがつかめず、判断が遅れ、左からくる車に乗った若いお兄さんが顔をしかめた。ユニクロの駐車場で簡単に停められそうな場所がなく、狭い通路でオロオロしてたら、向かいから来た大きい黒い車のお兄さんにガンつけられた。順路みたいなものを無視していた。

とはいえ、道ゆくドライバーのみなさんは僕のミスをだいぶ酌量してくださる。とんでもない運転を数回やらかしているけれど、まだクラクションだって一回も鳴らされてない。初心者マークをばっちり付けているからだ。

僕はこの「初心者マーク」が、好きだ。純粋に自分の安全を守るため、というより、マークひとつで、自分の拙いドライビング・テクニックが周りから許される状況が生まれる。そこに、いやらしい話、うまみを感じている。正統なかたちで弱さが許される環境は、なんてぬるくて、なんて気が楽なのだろう。

いつまで僕はこんなことをしているのだろう。なんでも。

環境の変化に適応するのが遅いので、明日から始まる生活が不安だ。初めて会う人たちと交流しなきゃいけないのが嫌だなあ、って思ってる自分が嫌だなあ。

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