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【第二部】3つのポイントで押さえるマイニングの損益計算『\プロと一緒に/これで怖くない!仮想通貨税制シミュレーション講座』レポート

2022年分の確定申告期間が、2月16日(木)から始まります。昨年仮想通貨取引をした方の中には、疑問や不安を感じている方もいるのではないでしょうか?
そんな方に向け、仮想通貨の損益計算サービス『cryptact』を提供する株式会社pafinの斎藤氏に登壇いただいた『\プロと一緒に/これで怖くない!仮想通貨税制シミュレーション講座』のレポートを複数回に分けてお送りします!

今回は、大好評のセミナーの書き起こし記事、第二部です。
マイニングの損益計算について、3つのポイントでわかりやすくお話してくださいました!

第一部の記事はこちらをご覧ください。


第二部 3つのポイントで押さえるマイニングの損益計算

マイニングの損益発生イベントは3つ

前置きが長くなってしまいましたが、いよいよマイニングに関して説明させていただければと思います。

マイニングに関する損益の発生のイベントは、大きく分けると3種類です。

・1つ目がまさにマイニング報酬の受け取りになります。

・2つ目がその報酬で受け取ったコインの売却です。正確に言うと、コインの売却なので、売却に関する損益になりますが、マイニングで受け取ったものを売却するという意味で2つ目として挙げさせていただきます。

・3つ目がマイニングをやっていると必ず何かしらの費用が発生していると思います。自分で機材を購入してマイニングをするのであれば、その機材の購入費はどういう形で費用計上するのか、あとはFUELHASHさんのハッシュレンタルのプランですと、レンタル費用がありますが、そういったものを費用として計上できるのかどうかといったところが一つの論点になっています。

マイニング報酬は受け取った時点で所得になります

まずマイニング報酬の受け取りですが、考え方は非常にシンプルです。マイニング報酬を受け取った時点で何らかの所得が発生することになります。

何らかの所得とはなんぞやと申し上げると、受け取ったコインの時価ですね。受け取った時点での時価と、その数量を掛け合わせた分です。要するに受け取ったコインの時価の総額をその時点で所得として認識します。

注意点としてよく質問でも受けるのですが、受け取ったコインを円転していなくても、受け取った時点で税務上も所得認識されます。円転してない限り所得認識しなくていいですよね?みたいな質問をたまに受けるのですが、それは間違いなので気をつけてください。

具体例で見ていきます

例えば、ファイルコインというものをマイニング報酬として2枚受け取りましたと、この受け取った時点でファイルコインは1枚あたり1000円でした。

この場合、2枚の報酬を受け取った瞬間に2000円の所得が発生します。これが税務上の所得になってきますので、最終的に年間の損益を計算する際に、この2000円の所得というのが加算されることになってきます。

マイニング報酬をいつ受け取ったと見なすの?

これだけなので考え方は非常にシンプルですが、一方で論点となるのが、そのマイニング報酬を受け取ったという定義ですね。要するに、いつの時点の時価を参照するのですか、あるいはその受け取るとは何をもって受け取ったとなるのか、といった点がたまに論点になります。 

FUELHASHさんのハッシュレンタルのプログラムであれば、例えば180日間のレンタルであれば、そのレンタルが終わったタイミングで、180日後にそれまで掘ったマイニング報酬が皆さんの口座に入ってくると思います。

その場合は、もうシンプルに入ってきたタイミングでの時価で入ってきた数量分を所得として認識します、ということでいいだろうなと思います。

明確なルールはないので専門家に相談を

サービスによっては、例えばマイニング報酬が口座に入るけど、出金ができないとか、毎日掘っていて、毎日掘ったというレポートが来るけど、実際に口座に反映されるのはちょっと時間差がある、というようなタイミングが一致していなくて、時間差があるといったケースがあります。こういった場合、その口座に反映されたタイミングを受け取ったとするのか、実際に自分が掘ったタイミングを受け取ったとするのかどっちなんだ、といった議論はよくあります。

ちょっと歯がゆい答えになってしまって恐縮ですが、残念ながら明確なルールはないです。結局のところ個別判断になります。そういったケースというのは税務署ないし税理士さんに聞くっていうのが一番で、暗号資産税制に関してはそれが基本になってきます。

大事なポイントは一貫性

ただ一つ言えるのは、大事なポイントは一貫性です。受け取った日時にするのか実際に掘った日時にするのか、どっちにすればいいんだろうって悩んだときに、どっちかに決めるしかないですが、逆にどっちかに決めたらずっとそのルールに従って継続していくのは一つ重要なのかなと思っています。

例えば、このマイニングに関しては、所得は発生したくないのでレートが悪い方にしました、あるいは、2回目の方はこっちに変えました、というのは、おそらくNGになる可能性が高いです。

ハッシュレンタルはとてもシンプル

少しややこしい話をしましたが、おそらくFUELHASHさんのハッシュレンタルに関してはレンタル期間が終わった後に一括で受け取ることになると思うので、そのタイミングで所得認識をするということで問題はないのかなと思います。ただ、繰り返しですが最終的には担当の税務署に必ずご確認ください。

売却時の計算方法を見ていきます

次にそのマイニング報酬で受け取ったコインの売却になってくるのですが、コインを売却すると当然何らかの損益は発生してきます。マイニング報酬の売却は、売却価格から簿価を引いて、それに対し数量を掛けたものを所得として認識します

具体例があった方がいいと思うので、先ほどのファイルコインを2枚取得した例で説明します。

時価1000円のときに2枚受け取り、2000円の所得認識をしているものですね。これを1200円で2枚売却しました。という時に、その売却したときの所得認識はどうなりますか?と言ったときの式がこうなってくるのですが、売却した値段は1200円なので売却価格はそのまま1200円なのですが、そこから「引く簿価」というのは1000円になってきます。

 この1000円って何だ?というと、先ほど取得したときの価格です。マイニング報酬として受け取ったときの時価が1000円だったので、それをもって簿価が1000円となってきます。そして、1200円で売ったということは、1枚あたり200円の利益が認識されるので、2枚売ったというと400円の所得認識になります。

先ほど受け取った時点では2000円の所得を認識していますよね。売却したときに追加で400円の所得認識となるので、このマイニングに関する一連の取引をトータルで見ると、2400円の所得になってきます。

ただこれって別に当たり前のことで、1200円で2枚売ったってことは2400円の収入があるわけなので、結局それを言っているに過ぎません。

簿価を計算する際の注意点

先ほど、ファイルコインを1000円のときに2枚掘って、それを売却したので簿価1000円だと申し上げたのですが、これが本当に簿価1000円になるときっていうのは、今までファイルコインを全く持っていなくて、初めてファイルコインを取得した状態で、1枚1200円で売ったというケースにおいてのみ、この式が成り立ちます。

そうではなく、例えばファイルコインを別の取引所とかで購入してすでに持っていたとか、あるいは、マイニングしかやっていなかったとしても、前にマイニングで掘ったものがあったりして、それがまだ引き続き残っていますとなってくると、ファイルコインの簿価というのは、そういった既に取得しているものも含めて合算して、その簿価を加重平均して計算したものが、ファイルコインの簿価になってきます。

どんな経緯で持っていても簿価は1つです

わかりやすく言うと、お金に色はないみたいな感じですが、その財布の中にいろんな経緯でファイルコインが入ってきたとしても、それらの区別はないので常にそのファイルコインの簿価は一つです。

何が言いたいかというと、取得した価格=税務上の簿価になるとは限らなくて、過去に取得したものがあればそれもあわせて簿価は計算されて、それに対して売却価格との差額が所得認識されていくことになります。

例として2枚受け取ったこの取引自体はファイルコインの取得価格は1000円になるのですが、他に例えばファイルコインを1枚1円で取得した過去の歴史があって、それを引き続き持っていたとするとそれも含めた簿価に洗い替えされてしまうので、自分が思っている以上に簿価が下がって、思っていた以上に利益が出ているなんてこともあります。

ただ実際には別にそれは過剰に出ているわけではなくて、1円で取得したファイルコインと1000円で取得したファイルコインを混ぜた上で、1200円で売っているという計算になっていて、要するに常に一つの簿価だということです。 

ちょっとややこしいことを言って申し訳なかったのですが、コインの売却においては、基本的に簿価っていうものを計算する必要があって、この簿価の数字によって所得が変わってきますということを今申し上げました。

年度またぎは要注意

注意点が多くて申し訳ないのですが、マイニング報酬を受け取った後、売却のタイミングが年度をまたぐ場合はかなり要注意になってきます。

例えば、2021年と2022年のビットコインの価格でいうと、2021年の10月とか11月にマイニング報酬を受け取っていると1枚当たり700万円と非常に高い値段です。そして年をまたいで2022年の5月とか6月に売却したとすると、この頃ビットコインは400万円まで下がっていたんですよね。

700万円で取得したものを400万円で売ることになるので300万円の損が発生します。

なので、トータルで見ると700万円の報酬を受け取って300万円損するから、足し算すると400万円の累計の所得にはなります。

ただ、この700万円の利益と300万の損失って発生のタイミングは年度をまたいでいるので、2021年のあなたの税金に関する総所得で言うと、この300万の損失を計上できません。要するに、この700万円を申告しなければならず、それに対して納税をしなければいけなくなります。

一方で実際には400万しか手にしていないです。300万の損失というのは2022年の他の利益を圧縮する効果はありますが、2021年の所得に対していざ税金を払うとすると、実際には400万円しか現金はないのに、700万円分の所得に対する税金払わなければいけないということで、本質的には過剰な税金を払うような形になります。ここの年度をまたいでしまうという点は非常に気をつけていただきたいなと思っています。

年度内には一旦円転を

とにかく一つ覚えていただきたいのは、マイニング報酬でコインを受け取ったら同じ年度内にはなるべく円転した方がいいと思います。そうすることで納税する資金も確保できますし、あるいはその受け取ったときに対して実際の売ったときは、価格が下がっていたとしてもちゃんとその下がった分が反映された損益になってきますので、必ず受け取ったものはなるべく同じ年内に売却されるということを覚えといてください。

マイニング費用はノールール

最後にマイニング関連の費用に関するところですが、これはなかなか難しくて、国税庁がはっきりとルールを言ってくれていないです。我々としては、税理士か担当税務署にご確認くださいっていうこと以上のことはなかなか言えないです。

費用計上もハッシュレンタルはとてもシンプル

ただFUELHASHさんのハッシュレンタルの話になってしまいますが、ハッシュレンタル費用とていうのは、費用計上できる可能性は高いとは思います。

我々としては、やっぱり税務署にちゃんと確認してくださいということにはなってきますが、180日プランに10万円で加入されたとした場合に、180日経った後、例えばそれが今年の11月30日で、12万円相当のビットコインをマイニング報酬として受け取ったとします。そうすると、12万円相当のものを受け取ったので、その時点で12万円の所得になり、一方で10万円のレンタル費用は費用控除できて、結局差額の2万円が実際の利益ですとすることができると思います。このレンタル費用というのはおそらく費用として計上できる可能性は高いと思いますので、こういったレンタル費用はマイニング報酬を受け取るタイミングで費用を計上していくということになると思います。

年度またぎはやっぱり要注意

ここでもう少し補足があるとすれば、180日後が年度をまたいでいる場合です。例えば180日プランに加入して、実際マイニング報酬を受け取るのが来年の3月とかになったとします。ただ10万円プランに加入すると、10万円の支払いは今年なので、ではこの10万円は今年の仮想通貨の損益に対して費用として計上するのか、来年になるのか、というと、おそらくこれは来年になると思います。

つまり、来年の3月に受け取ったマイニング報酬に対して10万円の費用というのを認識することができる。逆に今年払った10万円というのは今年の損益として費用計上できない、というのが一般的だとは思っています。

何度も言いますが税理士または税務署に確認を

ここも我々としてはルールがあるものではないので、税理士ないし税務署に確認してくださいということになってきますが、年をまたぐ場合というのは、あくまでもマイニング報酬に対する費用なのでマイニング報酬を実際に受け取ったタイミングで費用を計上していただくと、いうことになるのかなとは思います。

やっぱりややこしい仮想通貨の損益計算

最後に、仮想通貨の損益計算はかなりややこしい、私も話していてもややこしいなと思うのですが、聞いていた皆さんもややこしいなと思っていると思います。

仮想通貨の損益計算は結局ややこしいので誰かにやってほしい、あるいは、何でFUELHASHさんがやってくれないのか、みたいに思うかもしれないのですが、FUELHASHさんは意地悪でやってないとかそういうことでは全くなくて、取引所やFUELHASHさんがそれぞれ独自に皆さんの税金あるいは損益を計算することは仮想通貨の特性上できないです。

一般的に仮想通貨の税制は、ややこしかったりあるいは決まっていないことが明確に明示されてないことが多かったりするので、こちらも説明する上で口頭で説明しにくいところも多くて、なかなか皆さんも理解しづらいと思ったかもしれなくて非常に申し訳なかったのですが、こういった機会を通して、必要であればいつでも説明させていただければと思っておりますので引き続きよろしくお願いいたします。

最後にちょっと宣伝

もしご縁があれば、私達クリプタクトというサービスで、仮想通貨の自動損益計算サービスを運営しておりまして、マイニングも当然取引処理として認識して計算することができますので、もしよろしければ、一度チェックしていただけるとありがたいと思います。

▼クリプタクト


いかがでしたか?
初めてハッシュレンタルを利用したものの、確定申告はどうしたら良いのだろう?と気になっている方や、興味があったけれど損益計算が不安でハッシュレンタルサービスを利用できなかったという方のお役に立てれば幸いです。

■マイニングの損益発生イベントは3つ
・マイニング報酬の受け取り:一貫性が大事
・報酬で受け取ったコインの売却:簿価は一つ
・レンタル費用の計上:ノールール
■注意点
※税理士または税務署に確認を
※年度またぎは要注意


FUELHASHが提供するハッシュレンタルサービスでは、マイニングヒストリーのデータをダウンロードいただけます。損益計算時にご利用ください。

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