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読書記録 菅原道真ー学者政治家の栄光と没落

菅原道真ー学者政治家の栄光と没落 滝川幸司著 中公新書 2019年9月25日発行

ふと、中公新書の菅原道真を購入しました。なんとなくです。

これまで私が菅原道真について知っていたことは、

①学問の神様として天満宮に祀られている
②政争に敗れて大宰府に左遷された
③東風吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな
④怨霊として怖れられた

でした。

あらすじとして間違っていなかったのですが、この本を読んで多くのことを新たに知ることができました。

学問の神様について

左遷されて寂しく人生を終えた人がなぜ受験の神様なのか、という疑問があったのですが、道真さんが、難しい試験を受験して一発で合格していることを知り、なるほど受験生に頼られるのも当然だと合点しました。

太宰府左遷について

左遷というのは単に地方に飛ばされたと思っていましたが、これは流刑ですね。途中の旅で諸国から食料や駅馬を提供しないように命が出た。太宰権師という位はあるが、俸給も従者も支給されず政務に与ることも禁じられた。ということですから。

東風吹かばについて

この百人一首で歌人だと思っていたのですが、漢詩の方が主なのですね。

怨霊について

怨霊として怖れられたのは、道真が無実だったことを周りの人は知っていたのですね。

鎮魂について

どのように鎮魂されたか、具体的には知りませんでした。何回もやっているんですね。

元の右大臣に戻して従二位から正二位に
次いで、左大臣に昇格
さらに、太政大臣に昇格

ここまでやるのだから醍醐天皇は相当に怖れていたのでしょう。また、ここまでやったということは、やっぱり無実の罪を着せたんだなあと。

さて

左遷の原因は周りの嫉妬。祖父も父も参議まであがっているので、そこまでは問題なかった。大臣というのが行き過ぎだったようです。本人も自覚していて身分違いなので辞職したいと度々申し出ていたが認められませんでした。

今も昔も嫉妬は怖い。いわゆる、ねたみ/そねみ/ひがみですね。出る杭は打たれる。大臣とはいえ所詮は宮仕え、後ろ盾がいなくなればアウト。

今の時代に置き換えても、こうなったら、新しい権力者に精一杯おべっかを使うか、気持ちを切り替えて冷や飯に甘んじるか、スピンアウトして自分がトップになるかですなあ。

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