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『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』第7巻原作者コメンタリー

 『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』第7巻の発売を記念した原作者コメンタリーです。
 第6巻のコメンタリーはこちら

第25話『俺たちの共鳴(後編)』
 禁止カードだらけの頂上決戦の後編です。ラッキースケベ後のはじめが熱唱しているのは米倉千尋の『嵐の中で輝いて』。
 八雲のメグリム・ジャーは、ドロー強化のため《ネクロポーテンス》を採用しています。ここは意見が分かれるところで、プレイヤーの思想によっては《ネクロポーテンス》の枠を削って《通電式キー》を入れたり、メインから《防御の光網》を入れる場合もありました。このデッキが現役だったころは『デッキの森』というホームページで無限にサンプル・レシピを拾えたのですが、現在は閲覧できないのが残念です。

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 モノローグ(ナレーションみたいな文章のことです)には、メグリム・ジャーを「《記憶の壺》が生み出した」と書いています。ですが、正確を期すならここは「《ヨーグモスの意志》、《修繕》、《記憶の壺》がスタンダードに同居していたことによって生み出された」とすべきでしょう。三枚のつよつよカードが三位一体となったつよつよデッキ。それがメグリム・ジャーなのです。はい。つよつよって言いたかっただけです。

第26話『俺たちの改革』
 進級後最初のエピソードにして、基本セット『第6版』発売前後のエピソードです。コミックスの巻頭に入っている慧美の水着グラビアはこの回で本誌に掲載されたもので、鈴木あみの写真集のパロディとなっています。
 はじめと慧美を進級時に同じクラスにすること、担任を野宮(『オナニーマスター黒沢』の野宮と同一人物です)にすることは連載前から決めていました。一応、彩夏も副担任にする前提で登場させたキャラクターではあるのですが、不人気だったらふつうにフェードアウトさせるつもりでした。やはりおっぱいは正義……。

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 『第6版』で変更されたルールには、作中で紹介しきれなかったものがたくさんあります。「速攻」というキーワード能力が生まれたのも『第6版』からですね。あとは基本地形のテキストがマナ・シンボルに置き換えられたりとか。
 この回は休載明けだったにもかかわらず、途中で方向転換したおかげでプロットの執筆がいつもより遅れていました。その上、横田卓馬先生が他誌で連載されている『ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話』とソーシャル・ディスタンスネタがかぶってしまい、なんかすみません……という感じでした。

第27話『俺たちの慕情(前編)』
 『アスカ、来日』ならぬ『ルー、来日』の前半部分にあたる回です。この前後編は第1話と2話のセルフリメイク的な内容になっています。
 コマ枠外の注釈にもあるとおり、《セカンド・チャンス》を使いまわすコンボはルール上可能になる前にエラッタによって使えなくなりました。まぼろしの無限ターンコンボですね。このへんの時系列と事実関係はあらゆる方面に確認したもののファクトチェックが不じゅうぶんで、類推の域を出ないことを補足しておきます。

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 当初、ルー=シャンタル・スカーレット・ジェラール(長い)は次の巻で登場させる予定でした。まだイメージが固まりきっていない段階で横田先生にデザインを発注したので、ラフの点数はほかのどのキャラクターよりも多いです。
 あと、いつものことですがルーが巨乳になったのは僕の指示ではありません。慧美といい彩夏といいルーといい、いったいだれの好みなんだ!? 担当さんか!? それとも横田先生か!? いい仕事をしてくれてありがとうございます!

第28話『俺たちの慕情(後編)』
 『アスカ、来日』ならぬ『ルー、来日』の後半部分にあたる回です。本誌掲載時の扉絵には、担当さんの発案により1998 FIFAワールドカップ優勝メンバーの名前がデザインされています。
 作中で流れているテレビ番組は『ラブジェネレーション』と『おかあさんといっしょ』内の『ドレミファ・どーなっつ!』、『ハッチポッチステーション』の三番組。慧美が読んでいる雑誌は『音楽誌が書かないJ-POP批評』といって、僕が中学生のころの愛読書でした。

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 この前後編でルーが使っているエターナル・ブルーは、ジャパン・ジュニア・オープンin横浜で鈴木俊太朗さんが使用されていたデッキのレシピを魔改造したものです。魔改造した理由は、作中における新弾のカードを多く入れたかったとか、演出上の味つけとか、まあいろいろです。
 お気づきのかたも多いと思いますが、久遠と対戦しているのは若き日のトモハッピーこと齋藤友晴氏です。氏が出演することになった経緯は、トモハッピーチャンネルで公開されている僕との対談動画をご覧ください。

こぼれ話
 本作の読切を企画していたころ、担当さんから「ヒロインのカタログのようなものにはしないでほしい」というオーダーがありました。僕自身もそのつもりでしたし、横田先生もそうだったのではないかと思います。
 この巻でレギュラークラスの女性キャラクターは五人になりました(慧美、八雲、いと、彩夏、ルー)。これが世間でハーレムモノと言われているマンガ作品と比べて多いのか少ないのかはわかりません。ですがそれぞれの立ち位置はかぶらないようにしているつもりです。ルーには慧美や八雲のような役まわりではなく、はじめのよき妹分として、また来島の不在を埋める存在として成長してもらいたいと願っています。
 ま、キャラクターの役割なんてそのときどきの気分で変わるんですけどね!

 以上、「このマンガ、中学生が主人公なのに学園生活の描写少ねえな」と思って学園生活の描写をマシマシにした第7巻のコメンタリーでした。
 物語上のメルクマールである1999年7の月も近づいてきまして、次巻はなにやら恋愛模様が加速しそうな予感がしますよ。
 最後は覚えたてのフランス語でお別れです。Au revoir!

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