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マンガ版電子書籍化記念『オナニーマスター黒沢』原作者コメンタリー(3/4)

 マンガ版『オナニーマスター黒沢』の電子書籍化を記念したコメンタリーの第三弾です。
 本稿では同第三巻の内容をあつかっています。なお、本編のネタバレをふくみますので未読のかたはご注意ください。

第十七発『スキャンダラスモーニング』(原作:第十七発)
 寝取られ回です。このあたりから原作の一話あたりのボリュームが爆増し、それにともないマンガ版もページ数が変則的になったり、前後編に分割されたりしています。
 原作を連載していた当時はストーリー展開がダイナミックな作品が好きで、僕自身もどうにか読者の裏をかこうと必死でした。そういう意味で重要な位置づけのエピソードです。

第十八発『Bizarre Love Triangle(前)』(原作:第十八発)
 ピザ太が眼鏡をキャストオフします。
 オーディオドラマ版のキャラクター紹介では、山田光義の項でピザ太との意外な交友関係に言及しています。また、ピザ太がマジック:ザ・ギャザリングをしているという設定はマンガ版の第四発が初出で、こちらはYOKO先生の発案です。
 サブタイトルはNew Orderの同名曲から。

第十九発『Bizarre Love Triangle(後)』(原作:第十八発)
 黒沢の前髪が伸びすぎて目がほぼ隠れてしまっている回です。
 文庫版ではわかる人にだけわかればよいというつもりで、The Smithsの楽曲にちなんだ小ネタをこの回に忍ばせました。が、いまのところ気づいたという報告は寄せられていません。

第二十発『瞼の裏の世界で(前)』(原作:第十九発)
 小林がブリーフ以外すべてキャストオフします。
 この描写は僕が通っていた高校の上級生から着想を得ました。記憶が正しければ、その上級生はブリーフだけでなくアフロのカツラも着用して体育祭のリレーに出場していたはずです。なぜそんな格好をする必要があったのか、陽キャの考えることはよくわかりません。

第二十一発『瞼の裏の世界で(後)』(原作:第十九発)
 マンガ版連載当時、YOKO先生が「絶対にヌかせないつもりで描いた」と豪語していた回です。ただ僕はぜんぜんヌけると思います。
 第二十発のラスト数ページからこの回の冒頭にかけての一連の場面は、原作執筆中もっとも筆が乗っていた箇所です。ゾーン入ってました。そのような体験はあとにも先にもこの一度きりですね。

第二十二発『少女が見た夢(前)』(原作:第二十発)
 荒井と榛名が初登場する回です。
 文庫版では黒沢が精液の海で荒井を犯す描写を加筆しています。黒沢と北原の取引でおかずにされた女子生徒のうち、荒井と屋代だけサービスシーンがなかったので、かわいそうだと思って加筆しました。

第二十三発『少女が見た夢(後)』(原作:第二十発)
 黒沢が謝罪会見を開く回です。
 この回では黒沢のクラスメイト三十三名が見開きのコマで描かれています。フルネームが設定されている生徒以外はすべてYOKO先生のオリジナルキャラクターで、マンガ版連載当時に公開されていたおまけのカットで名字を確認することができます。うち何名かは横田卓馬先生の『こがねいろ』『背すじをピンと!〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜』に登場しているとかいないとか。

第二十四発『転落劇』(原作:第二十一発)
 黒沢が山田光義率いる不良たちにボコられます。
 マンガ版で黒沢の机に書かれた落書きはいずれもYOKO先生のご友人による筆です。「オナニーマスター黒沢」という落書きは僕が担当しました。原作者が一番悪筆ってどうなんですかね。
 また、文庫化にあたっては世相を鑑みて野宮先生が職員室で喫煙する描写がカットされています。この是非に関しては担当さんと小一時間モメました。

こぼれ話
 実は『オナニーマスター黒沢』には小説版、YOKO先生によるマンガ版、オーディオドラマ版以外にもいくつかのバージョンが存在します。
 ひとつめはYOKO先生によるコミカライズが決まる前に企画されていたコミカライズです。こちらは遅々として制作が進まず、結局公開を待たずにお蔵入りとなりました。
 もうひとつはノベルゲーム版です。こちらは2ちゃんねるニュース速報VIP板の有志によって制作されていたもので、体験版が公開されていました。サービスショットを黒沢の脳内お気に入りフォルダに保存できるシステムが面白かったのですが、いつの間にか進捗状況の報告がなくなりました。
 原作連載中と文庫化の際に実写映画化のオファーもいただきました。こちらは進捗状況の報告以前に、オファー以降まったく連絡がありません。
 関係各位からのご連絡をお待ちしておりますw

次回につづきます。

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