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マスカットのインターネット通販を巡る攻防戦

先日のこと。

懇意にしている芋の農家さんが、シャインマスカットというブドウの品種が豊作なので、仕入れてくれないかという話をしてきた。

規格外品でよければ、100g=90円ということだった。

ブドウ1パック500円程度の計算になる。シャインマスカットという品種だと考えると、だいぶ安い。

そこで、仕入れるべきか分析をしてみた。

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楽天の売れ筋の産地とエリアを見たところ、長野のはぶどう市場の50%を抑えていて、そのうち80%をシャインマスカットが占めていることがわかる。

※楽天売れ筋データの集計については、独自に開発したツールを使っており、情報の正確性については保証致しかねます。

今回のデータは、今年の瞬間風速の集計値でしかないため、過去のトレンドも念の為確認しておきます。

過去の売上の累計データで見ると、長野県がぶどう市場の85%という驚異的なシェアを誇っていたようです。

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ここから推測される事は、長野県は急速にシェアを落としているor旬がズレているという可能性が出てきました。長野ブランドは強いのかと思い、100g当たりの販売単価を産地毎に比較してみました。

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価格は、産地よりも品種の方に影響をされるようです。

※ピオーネは高級青果店千疋屋の商品のため高い。また、岡山のシャインマスカットも箱入り贈答の高単価商品が値段を引き上げているため異常値になっている。

ここからわかることは、長野産でも山梨産でもシャインマスカットの相場は、100g当たり300円前後ということがわかります。この300円という金額は送料込みの単価の単価のため、100g当たり送料が10~50円程度乗っているため、250円/100gで販売出来れば利益が出せる体制が必要になります。

市場の全体感がみたところで、個店毎の分析を行なうことにします。楽天の販売事業者を見ると、ぶどう市場の上位の店舗4軒(「くらし快援隊」「しずおか夢工房」「はちやフルーツ」「産直だより」)で売上の過半を抑えていると推測される。

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このぶどう市場の4皇は、面白いことに、経営学の教科書通りの戦略を採用している。これは、意外と販売高が大きい市場なのかもしれない。

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ジャイアントの「くらし快援隊」に対し、「しずおか夢工房」がフォロワー、「はちやフルーツ」「産直だより」はニッチャーというところだろうか。ニッチャー2社は高級な贈答市場で自分たちのポジションを確保しようという展開だろうか。ニッチャー2社がきっちり差別化を図っている。ニッチャー2社の高級路線もまさに教科書どおり。

この4皇に対し、価格戦略を仕掛ける事ができるか。100g単価で比較すると、「くらし快援隊」がコストリーダーシップを発揮していて、2kg3,980円ということで、100g=200円を切る値段を設定している。

お試し価格という部分でいうと小分けで100g当たりの値段を下げるという戦略を採用している店舗はなさそうだ。これは、スーパーと八百屋に競合する価格帯で展開しても売れない可能性があると推測される。また、無理にお試ししてもらっても、リピートしてもらう時間的な余裕がないことも要因に挙げられるかもしれない。

色々考えましたが、ここから得られる結論は、インターネット通販では儲からないので、リアルイベントで食べ放題をやったほうが儲かりそうという話ですかね。



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