インターネット通販の現状とこれから

2019年8月。

メルカリが、動画を配信しながら、視聴者に商品を買ってもらう「メルカリチャンネル」を停止した。

このサービス停止は、中小の小売事業者に大きな激震が走った。

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元々は、中小の小売事業者は、楽天をベースに展開してきた。しかし、2013年10月に、Yahooが楽天の牙城に切り込むべく、ヤフーショッピング無料という指針を打ち出し、加盟店舗の募集という部分で大きな成果を出した。

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その結果、2013年9月時点で2万店舗くらいだった出店数が、2014年12月には20万店舗と10倍に増加。2016年3月時点では37万店舗と、この3年足らずの間で20倍近くの伸びを見せました。

そして、少し時間はかかったが売上貢献という部分でも大きな効果を出した。

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ヤフーショッピングの取扱高は4,000億円程度だった事を考えると、取り組みの結果、売上は倍増した形になる。

一方で、楽天はヤフーに奪われた中小の小売事業者の切り捨てにかかる。それまでは、加盟店舗に対して広告料を課金してきたが、ナショナルメーカーに対して広告料を請求するモデルに切り替え始めた。これにより広告料は高騰し、中小の小売業者では展開が難しくなってきた。

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今年に入り、その傾向はさらに強まってきた。

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その結果、楽天市場の売れ筋ランキングでは、楽天の直営店舗など巨大企業しか上位に入らない傾向が強まってきた。

それでは、中小の小売事業者はどこに行ってしまったのか。ここが重要なところで、ヤフーショッピングでは楽天の10倍近い加盟店舗数になったが、売上は楽天の半分程度と推測される。ここから推測されることは、1店舗当たりの売上は、楽天の1/20程度ということになる。

その結果、ヤフーショッピングでは加盟しても売れないという状況ではないだろうか。その中小の小売事業者を取り込むべく展開したのが、メルカリだったのではないかと推測されるが、中国でメインストリームであるライブコマースと呼ばれるテレビショッピング型の通販サイトは期待するほど伸びなかったという状況ではないかと推測される。

その間隙で急成長し、伸びてきたのがBaseではないかと推測される。

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ただ、中小の小売事業者が持つ数千億円規模の売上を吸収したというには、Baseの取扱高は200億円程度なので規模があまりにも小さい。ただ、上場で得た資金でテレビCMを行っている関係で、店舗数に対し購入者が激増し、店舗関係者はバブル感が出ている。私も店舗を展開しているが、開始1ヶ月で、レディースアパレルのカテゴリーで日販2万円程度が売れている。

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レディースアパレルに狙いを付けたのは、簡単なロジックで、テレビCMで小嶋陽菜を起用しているため、利用者は30代前後の女性が多いと推測されたためだ。また、メンズのアパレルと異なり原価が安く、ブランドスイッチが起こりやすいため、短期で売上を作りやすいというのが背景にある。考えてみると、プラットフォームとしては、レディースアパレルは粗利率は高く取り組みやすいカテゴリーだというのがわかる。

ただ、一番ポテンシャルが高いと考えられる農産品などの一次産品をどこが吸収する場が見つかっていない。上場を準備中と言われる佐野プレミアムイタリアンは、プラットフォームをFacebookにし、フラッシュセールを強みとしている。

佐野プレミアムイタリアン

これからECをはじめる会社にとっては、プラットフォームが絞り込まれてきた一方で、プラットフォームの選択というのが、かなり難しくなっている。


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