夢は手に入ると思っていた頃、の話

祖父とふたり、旅に出たことがある。

行き先は、祖父の息子ーー叔父の単身赴任先である東京だった。今にして思えば、小学校一年生の孫を連れての上京。普段は信号もない田舎暮らし、なかなかの冒険である。

叔父と、この為に上京していた義叔母と、私たちは夢を売るネズミの王国へ向かった。記憶にないが、おそらく幼い私のわがままだったのだろう。それが私のディズニー初体験であり、祖父にとっては最初で最後のディズニーであった。まだシーは開業していない。西の雄、ユニバーサルスタジオも誕生していない。私たちは、ピーターパン空の旅なるアトラクションに乗った。目眩く世界に、詳細は忘れても衝撃は覚えている。祖父はどうだったのだろう。戦時下に青春を迎えた人に、空飛ぶゴンドラと大人にならない少年たちの世界は。

当時の祖父の年齢に近づいた両親と、ディズニーへ行きたいと思う。ガソリンスタンドの洗車機をアミューズメントと呼ぶ、彼らと。

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