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「科学を教育と子育てに活かす」子どもの発達科学研究所


研修報告書
高木信明

1、期日 平成31年1月12日(土)
2、場所 フォーラムミカサエコ
3、研修内容の概略

公益社団法人子どもの発達科学研究所の開催している「こころの発達アテンダント ベーシックコース」に参加しました。 

葛飾教育の日に地元小学校の授業参観に行った際、気になる行動をとる子どもがいて、それが発達障害を抱える子どもでした。私の教員時代とは発達障害の捉え方やエビデンスも変化していることがわかったため、この研修への参加を思い立ちました。

子どもの教育に関わる研修につきものなのが、経験やカンで語る熱血な精神論が多いので、今回の主催団体の趣旨が「科学を教育と子育てに活かす」という点であることと、子供の育ちを科学的に支えることだとネットで調べていたので、安心して参加できました。講座は3段階の内容でした。

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1.脳と発達の科学
・人間は、それぞれに感覚や認知、スキルに違いを持っている。

五感により、周囲の様子をとらえ、経験に基づいて認知し、スキルに応じて行動する。しかし、我々には相手の行動しか見ることができず、本人の内面の都合や事情をすべて理解することは難しい。だから、子どもの行動を見て支援者(大人)が気づいて合わせていく必要がある。できて当たり前という感覚を持ってはならない。

・ ヒトの脳は①脳幹、②大脳辺縁系、③大脳皮質の順に発達する。記憶や感情を司るのは②大脳辺縁系なので、理性が③によって発達する前に虐待などを受けると情動面、性格に悪影響が出てしまう恐れがある。

・ 2013年に診断基準が変わったことによって、ADHDが「注意欠陥障害」から「注意欠如多動症」と言われるなど、和名も変化している。

・ その他、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、学習障害(LD)について、詳しい特徴を学んだ。

2.子どもの発達心理学

・問題が起こる前に早めに対応してあげる。そしてリスクを減らすために予防的に関わる。(介入できることはやる)

・ 子どもは前言語的コミュニケーション、言語的コミュニケーション、ジョイントアテンション、と脳の発達に合わせて意思の疎通を図っている。つまり、言語はお母さん(養育者)がいるから、相互作用で育ったもの。日常的に相互交流的な関わりが重要である。

・ 睡眠は前頭前野の活動に関わる。赤ちゃんの時に寝てなかった子の6歳での多動率が高い。(寝かさなかったから多動なのか、多動だから寝ないのか?はわからない)だから、良い睡眠を取らせる。

・ 乳幼児期に愛着を築く行動を積むことで、安定した対人関係の基礎を手に入れる。→生まれてきてよかった、と思えるようになる。

・ 愛着が不十分だった子について、親を攻撃して終わるのでなく、これからどうするかに生かしていく。

・ 思春期は①大脳辺縁系と②前頭前野のバランスが崩れている。アクセル①が効きやすくブレーキ②が効きにくい。だからこの時期の子どもは興奮するのが心地よい。その結果、自己肯定感が下がりやすい。

・ どんなにうまくいかなくても「あなたは大切なあなた」と支えてあげる。

・ 意図的に「アクセル→ブレーキ→アクセル→ブレーキ→アクセル…」をたくさん経験させて神経回路を強化し、パワーコントロールを身に着けさせたい。

3.子どもの行動支援学

・ 「性格が悪い」「根性が曲がっている」という大人がいるが、本当は心の中は見えないので行動を見て判断していること。

・ 子どもの行動を変えるアプローチを学ぶべし。

・ 正しいことを与える「生の強化」(ご褒美、褒める、注目する)
 嫌なことを与える「生の弱化」(叱る、罰を与える)
 悪いことを取り去る「負の強化」(宿題を出せば叱られない)
 良いことを取り去る「負の弱化」(騒いでも先生が取り合わなくてつまらない)

・ 行動を分析的に捉えると、行動はA原因→B行動→C結果で構成されているが、行動しか見ていないことが多い。

・ 大人は叱られた子がシュンとするのを望んで叱っても、子どもは注目されたと喜びを感じると、喜びで強化されて、結果繰り返し同じことをする。

・ 叱って駄目なら違う方法を探すべし。

・ 体罰教師本人には、まずいことが分かりにくい。
 →うまく言っているように見えるので周囲も認知しがち。
 →この教員のことしか聞かなくなる。
 →このときの活動が嫌いになる。 つまり、悪い効果しかない!

・ 行動を変えるには原因を変える。
 「わからない」を「わかる」にする。
 「難しすぎる」を「丁度よいくらい」にする。
 「遊んでほしい」なら「先に一緒に遊ぶ」こと。

・ 困っているのに「ヘルプ」依頼スキルが使えない子がいる。

・ 依頼されて「自分でやりなさい」と対応すると弱化されてしまう。

→依頼されたらスキルが不十分でも(頼み方が下手など)助けてやる。
 依頼スキルを育てるのが大事。

・ 逸脱行為は叱ると「注目」として喜びになってしまうので、目を見ないなど淡々と対応する。そして適切行動は注目して褒め、強化していく。

・ できてることを褒めるより「ちょっと手伝えば後少しでできること」を意図的に作ってやらせ、できたら褒める。(効果抜群である。)

・ TVなどでスポーツ選手が「厳しくされたから成功しました」というのは生存者バイアスなので危険である。これを聞いた人が「やっぱり厳しいのが良いのね」と思ってしまう。(体罰と成功には本当は因果関係はない)

・ 複雑なことを教えるときは、課題分析をして、やることを小さな行動に分ける。これにより、どこでつまずいているかわかりやすい。また、褒めるポイントも増える。

・ 学校は経験と感性の場なので、教員によって教え方が違うことが多いが、発達障害の子にはそのせいで成功を妨げている。統一、共有してみんなが同じやり方を伝えるとよい。(歯磨き、手洗い、お風呂の入り方など)

・ 大きな失敗で嫌にならないように、支援する。

→自転車の練習など、体の痛みを与えないように支援するのに、なぜ個々とは支援しないのか?

・ 終わりから順番に支援しながら教えることで、子どもが自信を持ってやり遂げられるようになる「行動連鎖」という方法もある。

・ 「あとちょっとの頑張り」に仕向けていくと良い。

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発達障害を抱えた子の親が、それを認めないとか、学校のせいにしたりするなど、問題が根深くなっている現状を打破したいという思いからの研修参加でしたので、今回の研修で、脳科学や応用行動分析、学習理論など、科学的根拠に基づいた支援や助言ができることの重要性を学びました。幸い、同研究所のスタッフと親しく交流できそうなので、これからも最先端の研究成果を教育現場に活かせるように、子供達の笑顔のために研修を続けたいと思います。

余談ですが、イベントのご案内を。

1月25日(金)19:00〜20:30
座談会「葛飾区をより良く!」を開催します。
テーマは「子育てと教育」、参加費無料です。

また、高木信明の区政報告会も致します。ゲストは現職の国会議員、都議会議員、葛飾区長です。

親睦バス旅行や座談会「葛飾区をより良く!」などではお伝えしきれなかった、この一年を振り返っての活動報告をさせていただきます。
会費は前回と同じく3000円です。食事付き、着席制です。
すでにお問い合わせをいただき恐縮しております。

直接ご連絡いただいても大丈夫ですので、皆様お誘い合わせの上、どうぞご参加くださいませ!
メールでの連絡先:takageta62@gmail.com

また、ご連絡いただいた方には、会費の振込先をお伝えします。当日は受付の混雑が予想されますので、事前の入金にご協力お願い致します。
※下記のwebからお申し込みができるように致しました。



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