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波紋を起こす

先日、わたしのチアダンスクラスのインスタ

「大人になってからチアダンスをやってみたくなりました。
ダンス経験は少しありますがチアダンスは未経験です。
現在病気があるのですが、体験はできますでしょうか。」

というDMが届いた。

36歳のリサさん。プロフィールを拝見すると、「わたしが抱えている病気です」と病名が載っていた。

リサさんのインスタより

複数の病名を見て確かに大変そうだなあと思ったけれど、写真の笑顔も可愛らしく、文章からもとても明るい雰囲気を感じて、「お会いするのを楽しみにしています!」とお返事した。

体験前日の夜、リサさんから
「足の調子が良くないので、練習中にシルバーカーを使っても良いでしょうか?」と写真付きでメッセージが来た。

シルバーカー。ミニポンかわいい!

精神の病気だけじゃなく足も良くないんだと驚きつつ、「もちろん構いませんよ〜」と伝えると、

「わたしはこういうシルバーカーを使ってもチアがやってみたくて、イベントで踊ったりするのを目標にしています!
将来、車椅子とかのチアの指導者になりたいと思っています。」

とお返事が来た。
おおっ!?と心ざわめいた。
2年前に挿絵を担当した本で、車椅子チアを描いたことがあったのだ!(改めて、わたしはイラストレーター&チアの先生)

『わたしらしくCジャンプ!』赤羽じゅんこ・講談社
車椅子チアダンスがあることを、このお仕事で初めて知った。
主人公と車椅子チアチームのキャプテン
一緒に舞台を目指して練習!


明日持って行って彼女に見せよう!と本を手に取ったところで

「先生がイラストを描かれた本も拝読いたしました。」

とメッセージが来た。
「これですか?」と写真を送ると、

「そうです!この本に影響されました。
でもそういうチームや団体を見つけられなくて、途方に暮れていたんです。資格もどう取ればいいのかわからなくて…。」

その時、彼女の最新の投稿を見てみたら

リサさんの夢

このイラストに『これがわたしの夢』と書かれていた。
鳥肌が立った。なんてサイコーの夢なの!
そして、自分が挿絵を描いた本が誰かの夢の力になれたことにゾクゾクした。

「資格はなくても先生にはなれますよ!
前例がなければリサさんが始めちゃえばいいんです!
夢を持つ人は大好きです!
答えられることは多くないかもですが、明日わかる範囲でお伝えできたらと思います。」
と送った。お会いするのがさらに楽しみになった。


30歳の時、全くのダンスど素人からチアを習い始めたわたし。
スタイルも表情も良くなるし、毎日がすごく楽しくなって良いことずくめのチアにハマり、その魅力をわたしも伝えたくなり、32歳の時に「チアの先生になりたい」と思い切って先生に相談した。
先生の答えは
「チアダンスの有名校の出身だったりアメフトチア出身だったりしないと難しい。」
だった。
憧れの大好きな先生だったから、まだ始めて2年の初心者がトンデモ発言をしてしまった!とものすごく恥ずかしくなって、そりゃそうだよな、ど素人だもんなと諦めかけたその瞬間、「…果たして本当にそうだろうか?」と疑問が湧き、メラメラと血が騒いだ。
「30歳でダンスを始めた初心者だけど、絶対チアの先生になる!!!!」と決意した。
一度決めるとB型で猪突猛進のわたしは強い。
その後しばらくしてチアクラスをやめ、ジャズダンスやヒップホップやヨガを習いながら、自分でクラスを始めたり、友達のチームを教え始めたりと、独自のルートでチアの先生になった。
今思い出すと、最初にクラスを始めちゃった時のわたしのダンスなんて酷いものだったからその頃の生徒さんごめんなさいだけど、でもあの時無鉄砲でも始めていなかったら今はない。
そして、チア界にいなかったから、常識がないからこその独自のチアだけど、それを楽しんでくれる生徒さんもいるし、こんな先生も面白いよねと思いながらやっている。
生徒さんが増えてきた時に資格は一応取ったけれど、資格はなくたってチームも作れるし、始めることはできるのだ。


次の日お会いしたリサさんと、レッスン後にお茶をしながら暑苦しくそんな話をさせてもらった。


『偶然はない。全ては必然。』というように、リサさんが初めて受けたチアレッスンの先生がわたしだったというのも何かがあると思う。
「資格がないとチアの先生にはなれない」「チアの経験がこのくらいないとなれない」とか、わたしは絶対に言わないから。
そしてわたしがリサさんの夢である障害者チアの挿絵を描いているってところも鳥肌のシンクロだと思う。
シンクロは宇宙からのGoサインだとわたしは信じている。
情熱さえあれば何にでもなれる。夢は強く願えば必ず叶う。これらはわたしのモットーなのだ。


整体師の友人とよく「芭蕉の蛙だね」と話すのだけれど、
例えば誰かに手紙を出すとか、こうしてnoteを書くとか、何か小さなことでも行動を起こすと、蛙が池に飛び込んだ時のようにそこに波紋が生まれる。
そして波紋の先にはまた何かが生まれていく。

『ブラジルでの蝶の羽ばたきがテキサスでトルネードを引き起こす』=
「非常に小さな出来事が、最終的に予想もしていなかったような大きな出来事につながる」のバタフライ効果も同じで、
リサさんがチアをやりたいと思い体験に申し込むと動いたことから、わたしのインスタで本を見つけ障害者チアがあることを知ったり、わたしと「資格はなくても指導者にはなれるけど、まずは自身がチアを習って楽しんで、指導者になりたいのか舞台に立つ側でいたいのかを探って行ったらどう?」という話をしたり、一緒にお茶をした58歳の生徒さんから「36歳って若い!なんでもできる。やりたいと思うこと、才能がたくさんあるのは素敵なことだから大切にしてね。」という言葉をもらったり。
動かなければそのままだった世界に、どんどんと夢に向かっての出来事が起こっていく。


今リサさんは36歳。
この日はシルバーカー持参だったけれど、使わずに2時間レッスンを受けられたし、ダンスも上手で動きも綺麗だったし、やはりいい笑顔だったし目もキラキラしていた。
10年後、わたしの歳になった時にはもしかしたら本当に障害者チアの指導者になっているかもしれない。

リサさんにチアの魔法がどんどんかかって、夢が叶いますように。


リサさんのこともそうだし、最近来てくれるようになった方から「レッスンにいくとすごく楽になる。体が喜んでいるんです。」と言ってもらえたり、カルチャーセンターでクラスを複数持てるようになったり。資格もなくチアの先生を始めた時には思いもよらなかった感動の出来事が、13年後の今たくさん起こっている。

これからもずっと、わたしは飛び込む蛙でいたい。
そして誰かの物語の中では、その人の良い方に背中を押すという良い脇役をしていたいなと思う。

自身が舞台で輝くのも素敵だし、
指導者であることも最高に素敵なこと!!

▶︎リサさんのインスタ

▶︎『わたしらしくCジャンプ!』

▶︎わたしのチアダンスクラスGenieホームページ


こちらの記事がお役に立てたら幸いです!