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『裏世界ピクニック8 共犯者の終わり』/本・ホラー?

裏世界を通じて出逢った紙越空魚と仁科鳥子のふたり。因縁の冴月の危機が去ったいま、空魚は向き合わなければいけない感情がある。

 ホラー……かな?
 なんか、タイトルのジャンルのところにあまり強い言葉を使いたくなかったから書かなかったけど、今作はまあ……強い百合だね!

 えーと、結構間が空いてしまったので、7巻から読み返した。
 前作を読んだ時に「これでエンディングかな……?」と思ったけど、本作も「これでエンディングかな……?」と思っちゃった。まだ片付いていないことは……あるか、あるな、まだ。
 続きを期待して待つ!

 Kindleで読んだのでページ数が出せない(あのページ数って絶対数的なものなのかな? フォントサイズとかで変わる相対的なもの?)けど、以下、とにかくいつものちょっとした引用と感想です。


 鳥子も、紅森さんも、夏妃も茜理も、「恋愛」に関わっていると、みんな様子がおかしくなっていくように思えてしまう。
 私もそうなるのだろうか。それとも、もう既に、おかしくなっているのだろうか?

 読者からすると、ずっと前から空魚は鳥子の虜になってるので(これはナイスダジャレです)、おやおや空魚さん、ようやく気づいたのかな? って感じで後方で腕組みしてしまった。

「今のは冗談だからな。ピクニック気分で行くなよ、あんなとこ」
「いきなりキレないでくださいよ」
「おまえらに対しては、あたしは常にキレてるんだよ」

 ちょっと笑ってしまった。たしかにずっとキレてるな! 新キャラにもいつもぷりぷり怒ってるって言われてたしな!

「ベンチャー企業の社長とか、コンサルとか、政治家とか、都会でイキってる奴をサバンナに連れてって、同じことを言えるのか見守るコーナーで。当時メチャクチャ笑ったんだけど、やっぱり言葉が薄っぺらい奴だいたい喰われて死んでたもんな」
 私もさすがに気がついた。そんな番組、あるはずがない。
「あれ元々南アフリカの番組で、企画そのままパクってるんだよな。でもハゲワシに囲まれて内臓ついばまれながらイキり続けてるのとか最近でもオモコロでネタにされてたし、インパクトあったよなあ」

 本作でいちばん怖かったところはここかな。それらしい言葉でわけわからなくなるのが不穏でいいよね……。

「空魚ちゃんが、裏世界に対するのと同じような興味を鳥子に持ってたらよかったのにな」
「え……」
「相手への関心と、恐れず踏み込んでいく覚悟と、関係を継続する体力。人に対しても同じだろ」
 ぽかんと見返す私に向かって小桜は言った。
「空魚ちゃん、ちゃんと鳥子とファーストコンタクトしてるか?」

 本作のテーマでいちばんクリティカルな感じのところ。本作のこの関係に対する、めちゃくちゃ上手い言い方でグッときたよ!

 マヨイガの前の暗い坂道とか、赤い人とか、霞とか、裏世界の意志的なものはこれからかな。
 今回は2人の関係にフォーカスしてて、まあそれはそれでぜんぜん触れてないジャンルで面白かったけど(ラストの行為の描写とか、すごかったね! ついでにその前に失敗したところも笑ったね!)、不穏な要素も求めてるので、次作以降も楽しみですよ!

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