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ダイアログプロセスを設計して組織に『なじむ』を促進させる試み【連載第12回】

※2019/7/7追記。コミュニティ連載としては第12回なので回数カウントを修正しました。

みなさんこんにちは。コミュニティ運営をしてきた6ヵ月間の気づきをまとめていく連載第2回です。(コミュニティ連載としては12回になります)前回のnoteは沢山の方に読んで頂き、温かいコメントもたくさん頂きました。ありがとうございます!

風土をどうつくるかという話題からスタートした連載ですが、今回は人が動きやすい場をどのようにコーディネートすればいいのかという話題について整理したいと思います。

みなさんは、セミナーや異業種交流会で「お近くの人と交流をしながらネットワークを広げてくださいね♪」というコンテンツになるとどうしたらいいかわからないという経験をしたことはありませんか?僕は以前は知らない人がたくさんいる懇親会が苦手だったので、会場の端のほうでデザートを食べまくりさみしい思いをしたという経験があります(笑)

でも、参加者のほとんどの人は『可能なら新しい出会いが欲しいし、仕事や趣味の話をじっくりしながら有意義に過ごしたい』と考えているのではと思うんです。『なじむ』と一言で言ってしまうと乱暴かもしれませんが、場をつくる側としてはここのギャップを解決したいですよね。

そこで、今回のテーマには『なじむ仕立て』『行動の必然性』が大事になってくると思います。

■ディスカッションとダイアログ

人がなじむためにはコミュニケーションが必要ですが、コミュニティではどんなコミュニケーションが増えると良いのでしょうか。僕らはここから考えていきました。

例えば、企業の現場で行われる話し合いでは物事の正否を決めたり、意思決定をして1つの答えを出しに行く『ディスカッション』が多くなる傾向があります。そこでは、知識やスキルが重視されて判断や評価といったワードが飛び交っていますよね。でもこれは『なじむ』のイメージとは少し違う。

対して、コミュニティでは物事の正否を決める会話の機会はほとんどありません。プライベートな場でそれをやっていると息が詰まっちゃいますよね。僕らがサードプレイスとしてのコミュニティに求めているものは「仲間を尊重すること」「仲間と相互理解を深めること」「答えの出にくいテーマについて思考を深めていけること」にあると思います。

そこで、立場や見解に関係なく、そのときのテーマをみんなで深めていけるというコミュニケーションには『ダイアログ』に関するフレームがはまるのではということであり方を決めていきました。また、仮説検証を行うにあたり、不確定要素が多いとPDCAの精度が落ちるので、共通のフレームをもっています。それが、『なじむ仕立て』のベースでもある『アダムカヘイン氏のダイアログプロセス』というものです。

(図はヒューマンバリューさまから)

ひとは新しい環境で知らないひとに囲まれると緊張状態になりますが、①まずは時間の短い自己紹介やあたりさわりのない儀礼的会話からスタートします。そして、②ディスカッションや相互理解につながるワークショップをしていきます。ディスカッションはダイアログプロセスの一部に位置付けているんですね。ここでは互いを否定するのではなく、互いを受け入れることにより気づきを得て③内省へつながる材料を各自が持ち帰れるようにします。その後④これまでにはなかったクリエイティブなフェーズへ促していきます。これと合わせて各フェーズを促進させるための方法と実施人数を設定していきます。このあたりの話はちょうど運営メンバーがまとめてくれたので紹介します。

■班活動はコミュニケーションの必然性を生み出してくれる

ダイアログプロセスを組織の中でまわそうという場合、人数が多くなると人の数だけゆらぎが起こりやすいのでコントロールが難しくなります。それを解決させるには5~8人程度の班を設定して小さな枠の中でじっくり話をして仲良くなってもらうのがいいです。やっぱり人数が少ないほうが仲良くなりやすいですよね。

コルクラボでは、毎月1つテーマを設定して、班で会話する機会を持ち、報告をするという班活動の形式をとっています。まずは1人目の理解者を見つけやすくすることや、濃い仲間を早くつくれるように仕立てていきました。

また、テーマ設定はわざと誰も正解を知らないもの、難しいものにします。班の中で誰かが正解を知っていると、その人に引っ張られて論争フェーズが盛り上がらないからです。ちなみに新規メンバーが入ってくると与えられる初めの班活動テーマがこちらです↓

アリストテレスを読んでいるひとはそんなに多くないし、この本は100ページくらいなのに濃厚なので消化するのに時間がかかります。ほとんどのメンバーは頭を抱えながら(笑)、仲間と支えあいながら一冊の本を何回も読んで課題を進めます。時には弱音を吐きながら課題に向き合うことになるので、班メンバーの仲が一気に深まります。参考までにメンバーのツイートを紹介します↓

『同じ班だから』『課題をやらなきゃいけないから』そんな言い訳がコミュニケーションのはじめの必然性となり、自然にメンバーは行動していきます。結果、短い期間でメンバーの多くは班の中に最初の居場所をみつけてくれました。僕が懇親会で「君たち知らないうちにめっちゃ仲良くなってるよね!もしかして…」と声をかけるとたいていは同じ班の仲間同士だったりします。知らないところで色んなことがあったんだろうな…。

そう考えると、コミュニティって全員が同じように仲良くなる必要はないのかもしれませんね。その場に仲の良いひとが少しいたら、それで場に対する満足度は担保されるのかもしれません。

■ひとの入れ替わりでダイアログプロセスを動かしていく

コルクラボでは新規メンバー募集の時期を決めていて、半年に1回くらいのペースで採用を行っています。組織の風土をつくり、メンバーがなじむ、そしてダイアログが進むためには一定期間新しい人を入れないという選択がいいのではとの判断です。

しかし、成熟しきると暗黙知や内輪感が強くなってしまうので、組織は適度にフレッシュに保ちたい。そのバランスを考えながら採用人数を設計しています。新しい人が入るとまた心理的緊張状態に戻りますよね。コミュニティ内はまた儀礼的会話に戻ったりもします。僕たちはメンバー間のダイアログプロセスが進んだり戻ったりするようにして風土はありながらも適度にフレッシュ感のあるコミュニティつくりを心がけています。

現在は主語を新しいメンバーにして、入ってきたときにどんな流れ(行動の必然性)をつくってあげると早くなじめるのかを研究しながら、なじむ型を磨き上げています。それはまたの機会に紹介しますね。

ということで今回はここまでにします。今週はスタートのタイミングなので多めに記事をあげてみますが、今後は毎週更新くらいでやっていこうかなと思います。

それでは今回もありがとうございました(続く…)

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いつもnoteを読んで下さりありがとうございます。

今回の記事は約10回の連載になる予定です。

毎週更新していきますので

また続きを見ていただけたら嬉しいです。

なお、僕のツイッターは @kawahao です。

日々のコミュニティプロデュースの学びを発信しています^^

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