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アクシデントを通してコミュニティの人格を知り、育てていくこと【連載第14回】

みなさんこんにちは。コミュニティ運営をしてきた6ヵ月間の気づきをまとめていく連載第4回です。

以前はコミュニティに所属してみての気づきで10本連載したのですが、読んで下さった方から「わかりにくいので通し番号にしたら?」とアドバイスを頂いたので、コミュニティ連載としては14回になります。このタイミングで通し番号に変えてしまおうと思います。

今日は『アクシデントへの向き合いかたを通して、組織の性質を深く知る』という話です。

僕は以前、佐渡島さんからこんな話を聞いたことがあります。『キャラクターというのは、その人にアクシデントが起こったときにどう振る舞うのかを見ることによって深く知ることができる』という話で、編集者は登場人物のキャラを際立たせるために魅力的なアクシデント、事件、時には新キャラを考えて作家に提案することもあるらしいです。

これと似たようなことは、僕らの周りではたくさん起こっています。例えば子どもの運動会で突然降り出した雨。濡れるし汚れるから中止にしようという声があるかと思えば、泥んこになっても構わないという声もある。そこでの意思決定にはコミュニティのキャラクターが強く影響しますよね。

ちなみに僕が子どもの頃に、一番印象に残っている運動会は、夕方土砂降りになり、残り数種目をずぶ濡れの中で行った中学3年生のもの。どんな種目があったのかは覚えていないけれど、最後に泥のグラウンドでみんなでダイブしたことが今でもいい思い出となっています。その善し悪しはわかりませんが、地域からは母校に対して『雨天上等な中学校』というキャラクターに見えていたのだと思います。

さて、今回は、3月に行われたコルクラボ合宿についての気づきを途中まで書いておいて寝かせていたので、再度整理しています。(ゴメンナサイ。)コルクラボの合宿については昨年もnoteで書かせてもらったのですが、まぁ気づきが多くて色々な出来事をひも解いていくだけでも財産が増えていくんです。考え出すとすごい分量になってしまいそうなので、今日は気づきを2つに絞っていきます。

※ちなみに以前書いた合宿についての記事はこちらです↓

その壱:なじめていない人が参加しやすくする仕立てについて

この春行われた合宿は、ちょうど5期のメンバーが入ってから2ヶ月というタイミングで行われました。おそらく入りたてのメンバーが合宿参加を考えると、まだ馴染めていないこともあって、「知らない人と2日間過ごすのはシンドイ」という心理的ハードルが発生します。そこで今回は2つのプログラムが用意されたのが良かったと思っています。

①ゲスト講師によるワークショップが主コンテンツ
②コミュニティ内メンバーによるワークショップが主コンテンツ

※ご飯や移動時、夜のコンテンツは全員参加!

実際は1つのプログラムで人を抱えることができなくなり、2つに分けることで参加人数を増やそうという経緯で2つのプログラムができたのですが、僕はこれは面白い判断だと思いました。

ここでコンテンツをもう少し説明すると①は自分の内面を深く知り、相互理解をすすめていくワークショップのコース。こちらは山田ズーニーさんにお願いしていたので、なじめていなくてもコンテンツ参加への動機が先行して参加行動に結びついてくれました。結果、5期生がたくさん参加してくれるようになりました。力のあるコンテンツがあると、それだけでもひとは動くのだと改めて感じることができました。それって、コンテンツありきだよね??という見方もあるけれど、僕はそれでもいいなと思っています。入口はどんな理由でもそこにひとが集まることはうれしいことで、大事なのは出口をしっかりおさえること。この出口がコミュニティのありたい姿とつながっていればいいのだと思います。

外部リソースを頼った素敵コンテンツで集客して、傍にそっと自分たちの外せないこだわりコンテンツを置いておく。これは戦略としてはありです。それに、合宿運営チームは確保した検討リソースを夜のプログラムや、お子さん同伴の参加者への配慮に集中してくれたので全体としてとても快適な合宿だったと思います。感謝。

それでは僕はというとコンテンツ②に参加しました。こちらはテーマがチームビルディングだったので、興味のある領域ということで選びました。こちらは合宿運営チームが考えてくれたオリジナルコンテンツに参加して、チームの仲を深めていこうというものです。オリジナルコンテンツと聞くと気になってしょうがなくなってしまうのがワタクシであります。

その弐:アクシデントを通してコミュニティを知る

ここからはメインですが、②コンテンツの話が中心になります。こちらは人数が20人くらいと少なめでアットホーム感が漂う中、自己紹介からスタートしました。自己紹介って大人になって改めて考えると難しい。ついつい肩書に走ってしまいますよね。アクシデントに対峙している姿をみてキャラクターを知るという話はまさにそうだなと思いました。

自己紹介が終わるといよいよチームでアクティビティを行うことになります。ところが、ここでアクシデントが発生します。内容は割愛しますが、3時間かけるはずのワークの解がわずか10分程度で出てしまったんですね(笑)本来は1時間以上格闘しながら、ヒントを徐々にもらい、クリアする流れを想定していたそうなのですが、一瞬でクリアへと向かってしまったんです。合宿運営チーム&佐渡島さんが頭を抱えます。

この後どうするんだろう…(心の声)

自分だったらきっと焦って大混乱だなぁ…。何しろ、バスに乗って山奥まで移動してきて、準備してきた渾身のワークが10分で終了。しかも、別れたワークショップ①チームは特別講師によるコンテンツが夕食ギリギリまで部屋を締め切って行われている状態です。会社だったら、参加者や上司から不満も出るかも。そんな雰囲気の中、意外にもこの空気は一瞬で好転します。

『時間あるよ!みんなでお風呂にでも入ろっか♪』

言い出しっぺが誰かわかりませんが、そんな話が出て、僕は空気が変わったのを感じました。そのうち、いいねいいねとなって、ゆっくりお風呂に入ることにしたんですね。みんなでぞろぞろと大浴場に行きました。サウナで語り、大浴場から夕方の景色を見下ろして、景色がきれいだとか、今日はどんなご飯か楽しみだとか、とりとめのない話をしたと思います。この2時間は誰もが良い時間だったねという不思議な時間でした。これができるって凄いことだと思うんですね。

大浴場で思い出す、シュプレー川のプロジェクト

ここで話は少し脱線します。僕はそのときお風呂に入りながら、ドイツのシュプレー川のプロジェクトのことを思い出していました。ちょっとだけこの話に付き合ってください(笑)

ドイツのベルリンにはシュプレー川という川が流れています。大都会の、ど真ん中を流れる川なので、汚染状況もひどい川だったそうなのですが、見事、水の浄化に成功したというプロジェクトがあるんです。

シュプレー川は1920年頃はまだ美しくて泳げていた川だったらしいんですね。それに対して『昔泳げていた川が今こんなに汚いなんて残念だ』と声をあげて浄化しようと活動を始めた人たちがいたそうです。それから10何年という時間をかけて川を浄化するためのエコ装置を作ったり、自然の力だけで水を浄化するような仕組みを研究してこられたそうなんです。やがて、たくさんの人たちがそのプロジェクトに賛同して、そして行政も国も賛同して、お金を寄付してもらえるようになったそうなんですね。『みんなの川が泳げるようになったら良いよね!』って。

行政や国がこういう案件に投資するってすごいこと。ちなみに投資金額はかなりの金額だったそうですが、使用用途はプロジェクトのためにではなく『プロジェクト内でのコミニケーションや広報に使うように』という目的で寄付されたそうです。すごいよ、ベルリン。

さて、10年の時を経て、数年前にはついに川がかなりきれいになってきた。そこでプロジェクトメンバーは投資家や支援者を集めて、川がきれいになってきたという証明のために、みんなで川を泳いでみせてその姿を見せようというイベントを立ち上げたそうなんです。それは支援者にとっては自分が寄付や投資をしているプロジェクトの進捗報告を受ける機会で、市民にとっては自分たちの街で面白い取り組みが行われているというのを知る機会でした。当日のシュプレー川には、とてもたくさんの人がプロジェクトの成果を見るために河原に集まったそうです。しかし、ここで事件が起こったそうなんですね。

当日、市民が集まったところで、雨が降ったんです。

この状況で泳ぐのは無理だということになりました。

多くの観衆、支援者の前で、プロジェクトメンバーからイベント中止の発表がありました。10年以上かけてきたプロジェクトがやっと陽の目をみるかもしれないというタイミングに、苦しい選択だったのだと思います。

みなさんは、支援者だとしたらこんな状況にどんな行動をとりますか?

投資家だったら怒り出すかもしれないし、がっかりして不満の声をあげる人もいると思います。せっかくの休日の時間・お金を返してくれという声もあるかもしれません。そんな不安があると思います。

雨の降るシュプレー川では、しばらく静かな時間が流れたようですが、その沈黙を破るように、歌声が聞こえてきたそうです。そして、それは次々と居合わせた人に連鎖して、大合唱になっていきました。

みんなで川を前にして肩を組んで歌を歌ったそうなんですね。そして、次のチャンスでの再会を約束して、楽しそうに解散したそうです。ステキすぎる。

ベルリンには社会的に意味のある取り組みに対して人々が興味と敬意を持つという気風があると聞きますが、僕はこれこそがコミュニティの人格と力なんだろうなと思いました。このプロジェクトはその後無事に成功してシュプレー川では水泳大会も行われたそうです。

かなり、脱線が長くなってしまいましたが、合宿に話を戻すと、ワークショップはうまくいかなかったけどみんなで仲良くなれたし、ゆっくりお風呂にでも入ろうかと言えることってとても豊かだと思いました。お風呂に入った仲間たちとはとてもステキな時間を過ごしました。そして夜は全員で食事をとり、メンバーからの余興もみんなで楽しんで、とても盛り上がりました。

夜はキャンプファイヤーをすることになっていました。僕は合宿リーダーのサプライズにのっかって、歌の仕込みを。当日は朝に雨が降っていたので不安もありました。雨が降ったらキャンプファイヤーはもちろん中止ですよね(笑)でも、お風呂に入った後は、雨が降ったら降ったでどこかで歌うんだろうなという気持ちになっていました。シュプレー川の観衆のように、仲間たちはきっと雨も楽しんでくれるよね。

空は晴れて、キャンプファイヤーは無事に行われることになりました。歌が終わるとなんとなくまったりしたムードが流れましたが、すぐに気のきくメンバーがフォークダンスの音楽を流し、踊りを知っているメンバーが踊りだします。あっという間に、1つの輪ができて僕はぐるぐる回りながら小学生の頃のフォークダンスを思い出していました。火を囲みながら、それぞれがじぶんの心に素直に行動する不思議な夜でした。

火が消えると、暗い道を懐中電灯片手に歩きます。まだ少し冷えた春の夜でした。なんとなく無口になりながら帰り道来た道を戻ります。星の綺麗な夜でした。

僕は合宿でのアクシデントをきっかけにコミュニティのキャラクターを認識することになりました。コルクラボってどんなコミュニティ?って訊かれたら、「イベントでアクシデントが起こっても歌って乗り越えちゃう」と答えられたらいいのかもしれないなぁ。全体として大きく動くときにはアクシデントはつきものかもしれませんが、そんなときにみんなでどんな行動を決めるのか。これって組織の色が出るなぁと改めて感じたのでした。

次は夏合宿です。キャンプの予定ということで、どんなドラマと学びがあるのか楽しみです。

最後に…合宿についての仲間達のnoteがたくさんあるのでぺたぺた共有しておきます。同じ時間を過ごしていても、学びがそれぞれだなぁって思います。みんなの学びも消化して、さらに魅力的な居場所づくりをしていきたいなと思っています。

(みんなたくさん写真とってくれてありがとう)

今回はここまでになります。ありがとうございました(続く…)

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いつもnoteを読んで下さりありがとうございます。

また続きを見ていただけたら嬉しいです。

なお、僕のツイッターは @kawahao です。

日々のコミュニティプロデュースの学びを発信しています^^

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