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ラリー・パリッシュ/大乱闘と大脱走/破顔う久米宏

プロ野球で最もヤバい乱闘はなんだろうか?

カール・ボレス?
バナザード???
デービス????
口だけの落合??

どれもある意味でヤバいが、それだけでは本質を見失う。
プロ野球史上で絶対に外してはならない乱闘がここにある。

1989年5月31日 神宮球場
阪神   120 011 121   9
ヤクルト 207 101 20x  13
勝 宮本1勝
S   内藤
負 野田
本塁打 和田1号、渡真利1号、フィルダー11号
中野3号、田尾4号、八木2号、真弓4号、
広沢9号


試合をひっくるめて至上のエンターテイメントがここにはあった。
その中でパリッシュの乱闘劇が重要なファクターとなっているのだ。

そして何よりもニュースステーションで久米宏が阪神の戦いぶりを嘲笑して〆る。
これは当時の風物詩となっていたが、この試合においてはそれがあまりに「効いて」いるのだ。

「両チームをあわせるとっっ得点が入らなかったイニングがなかったっこの試合っ」
「7本のホームランを打った阪神がっ負けてっいますっっっ」

キャスターもヘラヘラすんなっっ。

4番田尾の時代

当時、阪神はあまりに弱く4番打者がいなくなっていた。
まあエースもいなかったし3番打者から5番打者がすべからくいなかったのだが、そりゃあ酷いものだった。
だがこの年限定で、
後にメジャーで三冠に二度輝いてその後ヤラカシテしまう「フィルダー」がなにを血迷ったか阪神にやって来てくれた。
だから、

1番 中野
2番 和田豊
3番 真弓明信
4番 フィルダー
5番 岡田彰布
6番 田尾安志

7番 八木
8番 山田
9番 野田

という「あの夢をもう一度」の猛虎打線が構築されていた。
とはいえ、この打線には斎藤雅を始め108人の天敵がおり、
「右ピッチャーが打てない」という構造的欠陥を抱えていた。
そこで相手が右ピッチャーの時には、

3番 中野
4番 田尾
5番 金森


巧打の左打者を3枚並べるというアバンギャルドな采配が村山実監督によってパフォームされたのだった。
それにしても、
田尾さんバットを最短で斬る綺麗なバッティングしとるなあ。



ヤバい円高とワニ男パリッシュ


ヤクルトだって負けてはいない。
1980年代後半は関根潤三監督の時代であり、
野村克也前でチームが総合的にヘロヘロになっていたのだ。

「名前がカッコよかったから」
というバブリーな理由で「ホアン・アイケルバーガー」というヤバすぎるクローザーを億単位でとってきたのも関根潤三監督だった。。

だがプラザ合意@1985以降の全世界為替介入ジャパンフルボッコ政策によって、トンデモナイ円高になりドル建ての助っ人選手がお買い得になった。
ヤクルトは88年にボブ・ホーナーという赤鬼助っ人で美味しい思いをしたので、柳の下のドジョウ狙いで「パリッシュ」というメジャーの大物をジャパンマネーにものを言わせて89年に獲得したのだった。
シーズン前にはワニを喰うことだけで注目されたパリッシュだったが、シーズンに入ると流石はメジャーとうなる打棒をみせつけた。

3番 池山
4番 パリッシュ
5番 デシンセイ
6番 広沢
7番 秦
(古田前です)

なかなかどうしてヤクルトの打線だって捨てたもんじゃない。
これでなぜ勝てなかったのか?
そりゃあアレよ。ピッチャーが阪神並みにアレやったんよ。

さて、
4月、5月とパリッシュはホームランを量産。
勢い対戦相手からの内角責めが厳しくなっていく。
そうした文脈の中でこの1989年05月31日の大勝負が幕が開いたのだ。



和田の飛び蹴り

ルーズベルトゲームの虚妄

なんだかこの試合の動画を見ていたら、パリッシュの乱闘なんてどうでも良くなってきた。
それくらい試合自体が熱い、熱すぎるのだ。
昭和の掉尾を飾るに相応しい熱い試合だった。
これはプロ野球史上に残すべき隠れたベストバウトではないか。


ホームランを7本打ったチームと1本打ったチームがありました。
さてどっちが勝ったでしょうか???


なんだか、

「インディアンが左手に軽いヤリを持っていました。
 じゃあ、
インディアンは右手に何を持っていたでしょうか?」

という「ドラマ・とんぼ」で長渕剛が中学生に喧嘩を売るさいに用いたレトリックのような匂いがすると思ったら、この「とんぼ」も1989年のドラマだった。
とっくの昔に電波に乗せては放送できんくなったけどな。
とにかく、
昭和の最後の1年には色々なことがあったわけだ。




ホームランを7本打ったチームと1本打ったチームがありました。
さてどっちが勝ったでしょうか???

1989年5月31日 神宮球場
阪神   120 011 121   9
ヤクルト 207 101 20x  13
勝 宮本1勝
S   内藤
負 野田
本塁打 和田1号、渡真利1号、フィルダー11号
中野3号、田尾4号、八木2号、真弓4号、
広沢9号


効果的にホームランを1本放ったヤクルトの快勝譜だ。
9−13でヤクルトが勝利し全盛期の久米宏もご満悦。
ウヒャヒャとはしゃいでやがるぜ。

アメリカ大統領・ルーズベルトが7ー8の試合が最も面白いとか寝言を抜かしたが、
この阪神−ヤクルト戦はそれが虚妄であることを身を挺して教えてくれた。
試合の面白さはスコアではなく熱さだ。

内角球に激昂する。
デットボールを食らったらピッチャーをセンターまで追い回す。
あの和田豊が飛び蹴りで仲間たちを援護する。
パリッシュもビビった岡田彰布の剣幕。
どんでん喧嘩むっちゃ強いねんぞ。
ヤクルトのピッチングコーチが阪神先発・渡辺をセンター前で説教。

この阪神の渡辺ってのもいいピッチャーだったねえ。
球速こそ140キロそこそこだが、テンポがよく体全体を使って投げるから兎に角ボールがキレる。
少し小柄な藤川球児のようなピッチャーだった。




「久米宏」と「みのもんた」の時代

5月31日、この試合の乱闘の模様は同年6月に放送された「珍プレー」ですぐさま採用された。
疾風迅雷なメディア展開である。
それにつけても、
珍プレーといえば「みのもんた」だ。

この回は特に白眉である。
珍プレーの乱闘集はくまなく3万回ぐらいは軽く見てきたが、
リベラ、ポンセ、パリッシュ、フィルダーと役者が揃いすぎて百花繚乱状態だ。

みのもんたの軽妙洒脱な語り口もいつになく熱気を帯びていて面白すぎる。

この時代は、
まず阪神のエブリディ泥試合を堪能する。
そしてニュースステーションで久米宏に鼻で笑われるのに憤る。
ひいては珍プレーで「みのもんた」がプロ野球の「その他」を快刀乱麻に切って捨てるのを楽しみに待つ。

「その他」にこそプロ野球の醍醐味があり真骨頂を観る。
試合なんて二の次三の次よ。
「その他」の花形が「乱闘」よ。


コンプライアンス??
そんなん、知るかっ。RESISTANCE

コンプライアンスなんてなっ。
アメリカが提示してくる年次改革要望書に従って日本政府がいい諾々と弁護士増やして、「アメリカ社会みたいな社会にして米資本が進出しやすくする構造改革」の一端なんじゃ。
そんでもってアメリカは訴訟社会だから、日本も訴訟社会にしてまえって要望があってその通りにやってたらコンプライアスどうのこうのになってもうたんやっ。
年次改革要望書が民主党政権時代に撤廃された思うたら、アメリカからの「御指示回覧板」が違うかたちでやって来た。
最近じゃあアーミテージレポートっつうのに従って消費税率引き上げたり、中国資本締め出してタブレット分野でアップル一人勝ちさせたりでおおもうアレよ。

3000文字超えたから、続きは次回以降の講釈にて。

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