新元号発表待ち

こんなに「元号」が自分の仕事に関わることになるとは|社長の弘道館留学

3/31年度末最終日。どうしても今日までに書かなければいけないこと。なぜなら「明日からは、全く時代のムードが変わる」からです。

え?そんな大層なこと?ってお思いのあなた、下の文章、飽きるところまでで結構ですので、読んで頂ければと思います。

明日、4/1 お昼頃、とうとう新元号が発表されます。こんなに今日までに書かないといけないことはないです。

明日からは、全く新しい空気、全く新しい景色が広がることになります。もちろん5/1に変わるタイミングからそれが本格化します。しかしそれが1ヶ月前に予告されるなんてこともこれまでに(おそらく歴史上)なかったのではないでしょうか。そんな日本史上、前代未聞の1ヶ月を明日から送ることになるのです。

いま、私が関わっているプロジェクトのいくつかは、この元号が発表されたのちに最終検討をしてから発表することになっているものがあります。

時代のムードがどう変わるかによって、それだけ、企画内容や名称が影響されるものがあるから、ということなのです。

元号ごときでそんなに変わるか? 西暦でいいじゃない? そんな声がたくさん聞こえてきました。逆に新元号予想のニュースや関連記事もたくさんありました。元号の歴史、日本の歴史を振り返るにも、とても良い機会を今上天皇と皇太子様はくださったと思います。そういう意味でも、今上天皇は最後の最後まで、この時代に大きな影響を与えられたと言えます。

実は、私も小学生から大学1年くらいまでは西暦統一を支持していました。元号はめんどくさすぎると。歴史でもなぜ両方覚える必要があるのかと。

しかしいま、過去の歴史を勉強すればするほど、元号の重要性、いや「元号が醸し出すムードの重要性」を強く感じています。もう様々なところで目にされていると思いますが、一世一元の制になったのは明治以降であり、それ以前には、なにか大きなことがあると(よいことでも、わるいことでも)改元されていました。

これは、日本において、時代のムードを変える一番の方策だったのではと思います。だから、明日4/1と5/1はとても重要な日なのです。

そして、弘道館での世間話で「ある人」が言いました。「これだけ象徴として何も権限がない状態にされているのだから、元号くらい天皇が自分で決められたらいいのに。なぜなら、それが自分の名前なのに。と」

「今上天皇(きんじょうてんのう)」という言葉。大学のころ初めて知りました。それだけ高校までの教育を受けていた時代は、公立高校がまだ左傾だったからかもしれません。いまの小学生〜高校生は学校でこのことを習うのでしょうか?「今上天皇=現在の天皇」という意味です。

天皇の名前は、退位後はじめて「元号+天皇」の名前で呼ばれることになるのです。昭和天皇が昭和天皇と呼ばれるようになったのは、昭和天皇の崩御後、平成が始まって初めて呼ばれたのです。5/1より今上・天皇陛下は「平成天皇」と初めて呼ばれることになるのです。まぁこれも明治以降の話ではあるのですが。

今回、今上天皇の英断で、明治以降、はじめての生前退位が認められました。これも明治以降の明治政府から現行政府までの流れの150年の中で、何かが変わる初めてのことでしょう。

私としては、次の段階でなるべく早く、江戸時代以前と同じ「元号を自由に変えられる」状態になるべきだと思っています。しかし、それが直接的に政治的な影響を持つことは、象徴天皇制においては許されないことでしょう。

象徴天皇制といいつつ、役所の書類は元号をかたくなに扱っていることは、実は「大化」以来、1374年間続く日本の伝統を、右翼も左翼も関係なく守ろうとした人がいてくれたおかげなのかもしれません。それだけ日本にとって天皇という存在はいろんな波はありつつも、大権力であったことも、民の心の支柱であったことも、有り続けたということでしょう。

ということは、逆説的に、公的な書類を「西暦」もしくは、元号の変化に囚われない別の歴に変更することによって、政治的影響が減り、皇室が比較的自由に元号を変える時代に戻せるかもしれません。

しかし、そうなることで、過去の歴史に興味を持たない層にとって、元号を意識することがなくなり、希薄化し、やがて失われてしまう可能性も否定できません。(事実上そうならないようにしているのが、霞ヶ関官僚の偉いところ、なのだなと思います)

日本を日本たらしめている大きな要素のひとつが「元号」であること。(いかなるかたちであろうと)天皇制であることは、とても重要なこととして考えておく必要があると思います。もちろん、それも政治や官僚、皇室など、現在の日本を動かしている人にとっては、公知の事実ではあると思うし、今回の改元も意識してやっているはずです。

その証拠に、わたしのようなレベルの人間が関われる仕事にまで「元号の発表を待ってから、最終決定しよう」というものがあるくらいなのですから。

4/1 明日からの時代のムードの変化が、本当に楽しみです。

そして、なんとかそのムードが変わる前日で、超速でこの原稿を書き上げることができました。

さぁ、今年度残り時間も僅か。まだ残っている仕事の仕上げにかかります。

<参考講座>
有斐斎弘道館 信仰からみる京都2019 信仰をひもとけば、京都がわかる。


有斐斎弘道館 信仰から見る京都2019 信仰をひもとけば、京都がわかる。
太田 達(京都精華大学・立命館大学非常勤講師)
2019年 1月12日(土) 後奈良天皇 2月9日(土) 正親町天皇 3月9日(土) 後陽成天皇 4月13日(土) 後水尾天皇 5月11日(土) 明正天皇 6月8日(土) 後西天皇 7月13日(土) 霊元天皇 8月3日(土) 東山天皇  9月14日(土) 後桜町天皇 10月12日(土) 光格天皇 11月9日(土) 孝明 • 明治天皇  12月7日(土) 大正 • 昭和天皇 

元記事
http://kawaharatsukasa.com/2019/03/31/gengo/

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