marvel_mag_アートボード_1_のコピー_3

アイアンマン2 -リバイバル俳優二人の対決! ロバート・ダウニーJrとミッキー・ローク-

インクレディブル・ハルク -日本では本作がMCU一作目! 超人気キャラなのに色々と不遇な問題作-

↑前の記事


すみませぬ!このMCUマガジン、毎週書こうと思ってたのに、ついついお盆休みしてしまいました!

おかげさまでお盆は東京から鹿児島(実家)まで旅しながらゆっくり休めました。お盆をきっかけに途切れたりしないように、改めて気合いを入れて書き始めようと思います。

今回はMCU三作目のこちらの作品です。

順当に行けば、ほかのヒーローの一作目とかが優先して作られそうなものですが、前作「アイアンマン」が大ヒットしたことを受けて、前のめりで続編が作られました。前作からの変更点や、見所などなどそれぞれ説明していきます。

・・・

あらすじ

大まかな物語の流れとしては、もちろん映画「アイアンマン」を見てることが前提になるので、すべてをネタバレせずに語るのはもうめちゃめちゃ難しい、、、 なんとかネタバレしないで説明します。

前作でトニー・スタークは、アイアンマンのパワードスーツを開発し、スーツを動かす動力「アーク・リアクター」を胸にとりつけます。このアーク・リアークター、発電能力は毎秒3GJという、発電所レベルの代物。人生50回分は心臓を動かせるようなもので、これを発明して無敵状態かと思われたトニースタークですが、実は人知れず胸のアークリアクターの動力である「パラジウム」の毒素に蝕まれていました。(この毒素に蝕まれる描写が原作でアルコールに蝕まれる姿と重なるような表現が多々みうけられます。)さらに、前作でアイアンマンが世にお披露目しちゃったので、今回はそれを受けて、兵器が欲しいアメリカ軍がアイアンマンのパワードスーツ獲得に動きだします。

さらにさらに、それと前後して、アイアンマンの父に因縁のある、かつてアメリカに亡命していたロシア人科学者アントン・ヴァンコと、その息子が出てきて、逆恨みからアイアンマンに復讐するー というのが大まかなあらすじです。これで足りてるかなー? これ以上言うとネタバレしちゃう気がするから、あとは見てください!!

・・・

もう一人のリバイバル俳優、ミッキー・ロークとの演技対決

アイアンマン2の一番の見所も、またしても配役です。

前作でロバートダウニーJrをアイアンマンに起用して大ヒットしましたが、実は同時期にもう一本、役者の人生を投影したような素晴らしい映画が存在しました。

それがミッキー・ローク主演の映画「レスラー」です。

こちらの映画のストーリーは、かつて大スターのプロレスラーだったランディ"ザ・サム"ロビンソンが、歳をとってもレスリングを生きる場所として選び、同時に加齢に伴う現実の問題との狭間で葛藤し、スーパーのバイトをしながら生きがいと現実の生活に向き合っていく、というような話です。

すでに膝も曲がらなくなり、また老眼で文字も読みにくくなり、プロレスのダメージの影響で、耳にも普段は補聴器がつけられている状態です。しかもスーパーのバイト中に心臓発作を起こし、いよいよ今まで以上に人生と向き合うことを余儀なくされ、、、、 あぁこれもあんまり書くとネタバレしそう、、、

レスラーという映画は、このランディ"ザ・サム"ロビンソンの「スターだった頃の生きがいを忘れられない」姿勢が、ミッキー・ロークのスター人生というか、役者人生を投影しているように見える映画でした。このミッキー・ロークという役者は、甘いマスクで若い頃はとても人気のある俳優でしたがヒット作が生まれず、その期間にボクシングに転向し、競技での怪我が影響して整形手術を行い、またアルコール依存や、問題発言による批判の集中、二度の離婚、、、などなどで、ヒット作に恵まれない時期に役者人生どころか人生が明らかにうまくいかない時期があった役者さんなのです。

このレスラーという映画が熱いのは、こういう「もう一度成功するか、しないのかわからないが、生きがいを生きる人生」を描きながら、少なくともこの映画自体は大変な評判を呼び、役者としてミッキー・ロークが再起するキッカケになっているところです。作品が報われると、ここに描かれているよう物語も報われた気がして嬉しいです。詳しくは書けないですが、本編の終わり方がこれまた素晴らしいので是非ともこのレスラーの悲哀を観てみてください。

そしてこのミッキー・ロークがですね、、、、なんとアントン・ヴァンコの息子イアン・ヴァンコとして登場して、アイアンマンを逆恨みして命を狙うわけですよ!!

この配役の意図は、完全にアイアンマンで再起したロバートダウニーJrと、レスラーで復帰したミッキーロークの演技対決をご賞味あれ でしょ!

それでしかない!

アドリブでセリフを入れまくることによって、リアリティを出してくるロッバートダウニーJrと違い、このミッキーロークの演じるイアンは、ほとんど喋りません。その静かな演技が対比になっていてとてもいい。ただの悪そうなロシア人ではなく、得体の知れない不気味な男 として素晴らしい存在感を放っています。

この作品あたりから、MCU作品の特徴的な素晴らしさの一つでもある、豪華俳優の共演による演技の化学反応が顕著になってきます。

・・・

現代的なビジネスマンのスーパーヒーロー

今作「アイアンマン2」では、実写版トニー・スタークのモデルの一人でもある、イーロン・マスクがチラッとカメオ出演しています。

ちなみに、スタン・リーはアイアンマンの原作を描いた時はハワード・ヒューズをモデルにしたと語っています。このイメージに、イーロン・マスクなどなどの現代的なビジネスマンの要素を取り入れて作り上げられたのが実写版のトニー・スターク、という感じです。

大富豪で、経営者で、天才で、強くて、女たらし、、、、これって、良くも悪くもすごくわかりやすい「男らしさ」のよせあつめみたいですよね。ロボット的なパワードスーツの見た目も「男の子が好きな」ルックスだし、筋肉モリモリで肉体が強いわけでもなく、天才的なエンジニアがメカを使って戦うってあたりがまた、男らしさを現代的にアップデートした感じがあります。逆に男性優位社会を糾弾するこのご時世に、ここまでわかりやすく男らしさを描いたヒーローで、それなりに爽やかさを持ちながら憎めないキャラクターとして描かれているのがすごい笑

もちろんこういう男らしさは、良い部分も悪い部分もありますが、悪い部分は成長物語に使うことでギリのバランスを取っているように思います。

アイアンマンは、ちょうど起業家や経営者がスターのように目立ちやすい現代だからこそ、いい部分も嫌な部分も含めて、ものすごく現代にアップデートしやすかったヒーローなのだと思います。

人間的な設定のリアリティもさることながら、力を得るまでの設定も、他のヒーローより憧れやすいタイプのヒーローなのではないかと思います。今時の子供達は「筋肉さえあれば」「自分が宇宙人だったら」なんて妄想しにくいと思うんですが、自分で自分の力をDIYするビジネスマンの天才ヒーローっていうのは、未だに妄想として成立しやすいのかもしれないなー などと何度もアイアンマンをみていて思うようになりました。


・・・

変わったローディ(ウォーマシン)の俳優、、、そして前作より顔を出すようになった監督

最後にちょっと細かい変更点などなどを補足します。

今回ヘッダー画像に描いたのは、アイアンマンの色違い、、、もといサイドキック(相棒)のウォーマシンです。

ウォーマシンはアメリカ軍のローディ大佐がスーツを着て変身するヒーローなので、前作ではテレンスハワードが演じていました。

テレンスハワードのローディは、真面目に仕事をしながらも、実は俗っぽいところも前作の中で見えていて、そういうところが良い愛嬌になっていたのですが、今回から俳優が「ホテル・ルワンダ」や「クラッシュ」で有名なドン・チードルに変更されています。

この後ドン・チードルのウォーマシンも何度もみているので、流石に今や見慣れてきましたが、テレンスハワードのハマりっぷりもすごく良かったので、初めてアイアンマン2をみた時はこの俳優チェンジは結構残念な出来事でした。

同じように残念に思った人は、今後何作もみていくうちにドンチードルのローディもだんだんと見慣れてくると思うので、根気強く応援してください。


また、アイアンマン1とアンアンマン2の監督を務めるジョン・ファブローも、今作では俳優としての出番が増えています

実は1でもエキストラ的に出演はしていたのですが、いよいよハッピー・ホーガンとしてもはやメインキャラクターのように登場するようになってきました。俳優としてもかなり愛嬌がある人物なので、是非追いかけてみてください。

最近ではライオンキングの「超実写版」の監督も勤めていますし、大活躍しています。


最後に、、、これが一番ネタバレ配慮が怖いところなんですが、いよいよアベンジャーズへの布石が増えていきます。そろそろ続けて見る楽しさが出てくる頃なので、是非ともここまでみたら一気にアベンジャーズ1くらいまでみて欲しい!!!


つづく