ゴッホの愛したもの

上野森美術館で『ゴッホ展』が開かれています。
そして、それに合わせているのでしょうか、テレビ放映でもファン・ゴッホ関連がいくつか放映されました。
最近もBS日テレで『日本に恋したゴッホ』を放映しました。
美人女優の北川景子さんと作家の原田マハさんが案内役としてファン・ゴッホゆかりの場所を歩きました。
この放映で、ゴッホが日本を愛し日本の浮世絵を愛していたと紹介し、日本人もなぜこんなにゴッホが好きなのだろうと問題定義をしていました。
ファン・ゴッホが浮世絵を愛していたと聞くと多くの日本人は驚きますが、ファンゴッホを少しでも勉強している者には、常識ではあります。
ファンゴッホのアルルの絵はそれまでの絵に比べ、色彩豊かになり、それは浮世絵の影響だとアルルの絵を見せて説明もしていました。
ところがこれは間違いなのです。
ファン・ゴッホが浮世絵を愛していたのは間違いないのですが、それよりも愛していたのがクレポンと呼ばれる縮緬浮世絵なのです。
縮緬浮世絵は浮世絵をしわしわにし、布のような浮世絵にしたものです。
浮世絵を加工したのですから現存数はとても少ないです。
ゴッホの手紙にはこのクレポンのことがたくさん出てくるのですが、créponをみすず書房の『ファン・ゴッホの書簡全集』では浮世絵、もしくは日本の版画と訳したためにクレポンの存在を、日本人ファン・ゴッホ研究者も知らないと言う人が多く出ているのです。
クレポンの現存数も少ないために、ファン・ゴッホ研究者はクレポンの実物を見たことがないので、ますますクレポンは誰も知らない存在になっています。
クレポンは浮世絵を縮めますので、色彩が濃くなり立体的な絵になります。
ファン・ゴッホはそこにほれ込み、このクレポンのような絵をアルルで、油彩画で描こうとしてそれは成功しました。
ファン・ゴッホの色彩が他の印象派の色彩より色鮮やかなのはクレポンを模範としたからなのです。

おまけの画像☟

書簡
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