blenderを活用した原画作業方法

この記事は2019年1月31日に行われたハナモク会の前半戦、ゲストスピーカの御所園氏が、blenderを活用した原画作業方法の紹介についての記事になります。
記憶を元に書き起こした記事なので、間違いや抜けなどあると思いますが、そこはご了承ください。

はじめに

去年の暮れに放送されたブラッククローバーというタイトルで、川上雄介さん(@kawakami_yu)とblenderの使った回を作ろと言ってやった回について、お話ししたいと思います。
やったことだけ話すと、5分くらいで話が終わってしまうので、質問などしていただけたら話漏れなどなくて助かりますのでよろしくお願いします。

などと発言してますが、この後約2時間、びっちり話続けています(笑)

まずは大ラフをanimate ccで描いて、blenderで再現する形で作成しました。その際、課題となった内容ですが……

- 長時間のカメラワーク用に複数のレール、カメラを使用
- 雑賀屋鳶さん(@tomB_saikaya)の作成した素体を利用
- スカイドームと3DBGによる背景動画、TP提出 (BG、BOOK素材をTPというのかはわかりませんが、、)
- 地面と森のパーティクルによる生成、雲海
- エフェクトをblenderで作成、TPの連番提出
- 爆発、レーザー

をポイントに今日は話していきたいと思います。
原画以降の工程の制作管理上、素材を作業カットとしては実際には10カットほどに分けて作業してます。
では初めに、作打ち時に持っていったビデオコンテを載せておきます。

機材についての気づき

XP-PENは2.79だと止まったりして使えなくて、グリースペンシルがめちゃくちゃ不安定。反応しなくなっちゃいます。

会場から「ペンに対しても処理がCPUの使用量が多いせいかWACOM製でも落ちる事がある」とのこと。
自分はモデリング使用でblender2.79bintuos Sで作業しますが、
ごく稀に効かなくなって再起動することもあるかも。この点は2.8の方が優秀みたい。

今回の作業では自宅にあるWindowsで作業していました。今回は会場に機材を持ってくる都合Macになってます。
「これ、戻れなくなるな」というところで別ファイルで保存しまくったせいで、今となってはファイルがよくわからなくなってます(笑)バックアップは3つ取ってますけど、とりすぎですね。(笑)
2018年の作業だったので、blenderのバージョンは2.79でblenderレンダラーを使ってます。

スカイドーム

背景で使用した空はワールドにテクスチャを貼って使用してます。
ただ、この方法だとズームインズームアウトしても絵が変わらないのが問題です。無限遠なのでカメラを移動させても月が移動しないのと一緒で空の景色が変わらないのがネックになります。

勉強会後に調べましたが、このあたりが参考になるかと。
http://oldrookie.info/2016/11/17/blender-背景画像を設定する方法/

球体のオブジェクトにテクスチャを貼ると重くなりすぎるので、一長一短で今回はこちらを使用しました。

次はプレートにパーティクルで木を生やしました。本当に重い……
(ワールドにある)ミストをONにすると何故か軽くなります。
理屈は全くわからないのですが、もしかしたら演算する部分が減るのかな、とは思ってるのですが、ミストをつけた瞬間にカメラ移動ができるようになったので、それからつけてます。

会場から「レンズのクリッピングの範囲を狭めると少しは軽くなるかも」との指摘。
カメラを選択した状態でパネルにあるビュー>クリップの範囲がスタート1kmだけども、
これを小さくすることで重たいシーンが軽くプレビューできるようになります。

木はパーティクルにしてあるので、数値で木の本数を制御できるのが便利です。
木や葉っぱも自分でモデリングしました。
スキンというのを使って、棒状の頂点を肉付けして、木の枝と幹を作りました。
葉っぱは三角形のモデルをパーティクルで生やしました。三角形にSDS(細分割曲面)をかけるといい感じのシルエットになる六角形が出来るので、それを使用して木のパターンをいくつか作成してます。
この木は、川上さんの背動で森を抜けるカットにも使用してます。線の出力はOlliの技術をblenderに移植されている方の機能を使用させてもらい、線をレンダリングした上で手書きの動画で作業してもらいました。線量がすごく多くて川上さんは「これは拾えないんじゃないか」と言っていたのですが、「大丈夫、拾えるから」と動画してもらいました。

レンダリング設定がプレビュー「1」レンダリング「2」になっていたのでさらに分割されるかという指摘に、
レンダリングはOpenGLしか使わないのでプレビューの数値で書き出しを行っています。

使用したモデル

今まで作った空間にキャラクターのモデルや、自作した剣なんかを持たせてアニメーションさせてます。
素材は雑賀屋鳶さんが作成されたものを使用させてもらいました。

https://booth.pm/ja/items/931893

このモデルは動かすのがとにかく楽で、腰を動かしたら姿勢を変えられたり、足を動かせば一緒にモモも動きます。これを下に敷いた状態でキャラクターは作画しました。

爆発

爆発もTwitterで海外の方がアップしていた爆発を参考に使わせてもらってます。
サイズを広げると爆発のサイズも広がりますし、それぞれコントローラーがついていてそれらでディティールを調整したりできます。とても便利です。

賑やかしの爆発で使うのですか? という質問にも「ボクは賑やかしじゃない爆発にも使います」との返答。
アニメーションはセンスですね。

爆発の素材は、アンチエイリアスを切ってTPデータとして納品しています。

カメラ

レールの上にカメラを走らせることができるのですが、22カットをワンカットにしたので、カメラの管理はとても大変でした。
ちょっと距離を伸ばしただけで、この時間のこのコマでこの絵にしてたのに、伸ばしたことでカメラの位置がズレてしまったりするんです。
なので、レールを一本にせずチェックポイントに設定してレールをバトンタッチ(受け渡し)することで対応しました。カメラがジェットコースターみたいになってます(笑)
実際はいくつかのカットに分割してL/O作業を行うわけですが、1カット処理でムービーを作成後に全セルや誤魔化せそうな箇所を選んでカットをわけるということをしています。

会場からも「カット割れよ!」とヤジが飛びましたが、「いやー面白くなるかなと思ったんですよ」と
作品への思い入れを語ってくれました。

先ほどスカイドームのところで話した通り、カメラをいくら動かしても動かないので、例えばカメラを縦移動するときは望遠に変化させることで、カメラが奥に動いてるという感じを出しています。

カメラのバトンタッチについて

会場から「2.8からはマルチオブジェクトエディットがつくけども、カメラのバトンタッチは
手作業なのですか?」と質問について

手作業なんです。面倒なんですけど、今回はそうしました。
例えば、フックって機能を使うと、頂点にコントローラーをつけることができて、編集モードで頂点を選択し、Ctrl+Hでつけることができます。こうするとオブジェクトモードでも頂点を移動することができるようになります。
カメラとレールを選択してCtrl+Tで「トラック(コンストレイント)」すると、カメラがレールの上を走るようになるのですが、レールの角度に準じてしまって、回転してしまい意図した画面じゃなくなってしまうんです。

「カメラの向きを目標物にコンストレイントすれば良いのでは?」という質問には
「やれるカットもあると思うんですけど、撮影方法を初めからそれが前提でカット組みをしなくちゃいけなくなって、
今回みたいな長回しではカット設計がやりづらくなるので使用しませんでした。

今回の作業は作画作業というより調べものの方が多くて、感覚的には7:3(調べもの:作画)くらい調べものでした。
空や森を3Dにしてしまったので、これらは連番のBookという形で納品しています。

会場から「背景動画のBook素材の色味などはどうしているのか」という質問には
「3Dのモデル自体を監督に見てもらってOKをもらって作業している」とのこと。
事実上美術ボード作業までこなしていることになる。

レーザー

最近はレーザーを使える仕事が多くてよく使ってます。
これはカメラの時と一緒でレール(ベジェかパス)を作って、それがレーザーの軌道ですね。それにベベルオブジェクトというのがあるので、カーブで作った円を指定することで筒を作ります。
円の大きさを変えることで太さを変えることができます。ベベル係数を調整することでレーザーを作ってます。
これは昨日川上さんと話していて見つけた方法なんですが、レーザーにディティールが欲しいときは、テーパーオブジェクトにパスを指定して、それをコントローラとして使用することで太さの強弱を出すことができて、ビームの送りみたいなことも出来るかなって思ってます。
レーザーだけつけPANにするのが、カメラと同じblenderファイルだと難しかったので、別ファイルで別素材として作成しました。

グリースペンシルでのエフェクト

レーザーを切って、裂けた跡みたいなエフェクトをグリースペンシルで作画しました。
ポイントはフィル(塗り)を使って書き出すことです。2.79bだとグリースペンシルのラインを使うとアンチエイリアスが切れなかったり、画角で太さが変わってしまいますので。

2.8ではラインのアンチエイリアスも切れますし、太さも変わらずに書き出すことが出来るようになります。

これらの素材はアンチエイリアスを切った状態で、TP素材として爆発と同様TP素材として納品してます。

おわりに

話せることはだいたい以上です。
どうしたらblenderの良さを同業者(アニメーター)に伝わるか、ということも考えてみた結果、今回、コンテ上の22カットのシーンを疑似1カット処理として約70秒のカットとして作成しました。
それなら面白いカットにもなるし、blenderを使えば実現できるできるな、ということを元にやってみましたが、いかがでしたでしょうか。

会場から拍手

以上で発表を終わります。ご静聴ありがとうございました。

実例としてblenderをテレビアニメの現場で使った事例を聞ける貴重な会となりました。
ありがとうございました。

最後に

御所園氏が企画運営しているアニメ業界人サークル「TAP」にて、様々な情報を掲載しています。

今回使用した雑賀屋鳶氏によるblenderの人体素体はboothよりお求めいただけるようです。

同じ作品にてblenderを使用した川上雄介氏によるblenderおよびFlash(Animate)の記事のあるFANBOXも合わせてご紹介します。

月極花小金井会 一同(文責:川越)

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