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43.『日本のグラフィック100年』

今日は、山形 季央さんの『日本のグラフィック100年』です。

4.6 5つ星のうち4.6 19個の評価

この本で分かること

日本のグラフィックデザインの歴史

本を読む人なら是非Kindle Unlimitedを試してほしいです。

月額980円で対象の電子書籍が読み放題になります。
こういった読み放題のサービスは読みたい本が対象でないことも多いですが、
Kindle Unlimitedは人気の本も数多く対象となっています。

何より980円なので、月に1冊読めば元が取れますし、電子書籍は電車の中や待ち時間、お風呂に入りながらでも読むことが可能なの、読書量も自然と増えます。

私は携帯のKindleアプリとKindle Paperwhiteの併用で3年以上継続しています。

読みたい本が読み放題の対象であることも結構あるので、
私は月3000円分くらい得をしていると思います。
携帯で読めるので、移動時間だけで週1冊は読んでいます。

初月無料で無料期間中に解約可能なので、試す価値は十分だと思っています。

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まだまだ私にとって難解な表現も多かったですが、この本が理解できるようになれば力がついたと言えるのだろうなと思える一冊でした。

杉浦康平

杉浦康平にとっての文化人類学性を研究したい。

なぜ写植文字を切り詰めるようになったのか、そのきっかけは何だったのか、なぜ書籍や雑誌のデザインにこだわったのか、知覚の科学や各国の民族音楽からどんなヒントを得ていたのか、こういうことがもっとあきらかになるべきです。杉浦さんは情報を知的にデザインするとはどういうことかを本気で考えていました。たとえば文化人類学の本の装丁を手掛けていると、文字の大きさがごく僅かに変わっただけで「この大きさだと”文化人類学性”がなくなってしまうんだ」というようなことを、よく口にしていた。では杉浦さんのデザインの文化人類学性とは何なのか。こういうことをもっと研究した方がいい。

杉浦康平についてはこちらについても調べました。
作品集や考え方についても掲載されているみたいなので、いつかゆっくりと読みたいと思います。


伊右衛門

しかし広い視点で見てみれば、そういうことに関する勘だけはまだ残っているはずです。だからサントリー「伊右衛門」のようなパッケージが生まれるわけですが、このとき「かつての銘茶を入れるための茶壷が作られたが、その革新性は『伊右衛門』に通じるものがある」ということも行ってほしい。

ラーメン屋の湯切りと歌舞伎の見得を繋げて考えることや椎名林檎の歌詞に万葉古今の和歌を見出すようなことに気が付くことが大事みたいです。

関西出身者デザイナーの果たした役割

日本のデザインの特徴の一つに東西の融合というものがあるらしい。

また、現在の東京一極集中の日本とは違い、日本のデザインにおける関西出身者の果たした役割は、豊かな肉付けをおこなうものだった。早川良雄、山城隆一、永井一正、田中一光、横尾忠則を見ても、理解できる。東西融合も日本の特徴となった。こうして、デザインの骨組みと肉付けが整い、基準が定まり、日本のグラフィックは次の段階を迎えた。

横尾忠則については別冊太陽で特集が組まれています。
生い立ちからどのように歩んできたのかを知ることが出来ます。

言葉の力とグラフィック

広告で一番強いのは、言葉。しかし、デザインは広告の顔だ。
秋山 晶

キューピーマヨネーズ

秋山さんはキューピーマヨネーズのグラフィックを手掛けており、それについても本書では言及されています。

テーマとなるのは、たとえばスピード、レトルトよりも早いという点を訴えたり、太陽光の野菜の色素の抗酸化作用について掘り下げてみたり、と仕事にひとつの主題にしぼって、とにかく繰り返す。それ自体、疲れるけど、耐えて続けているうちにスタイルが磨かれ、背級したい者が見えてくる。やがて、マヨネーズについての説明は後ろに下がっていき、今ではほとんど触れていないままであった。

大正製薬の「カロリーメイト」や「ポカリスエット」の発売当初の広告キャンペーンやキャノンのベストセラーカメラAE-1の広告キャンペーンの担当もされています。

石岡瑛子

挑戦されているように感じる。石岡瑛子のアートディレクションは、真剣な問いかけ。普通の広告は本音をいわないし、真に価値観を問うことは少ない。その中で挑戦を続けて、男勝りと言われた。化粧品会社や商業店舗の広告で、若者に問いかけた。覆う等を迫られているように感じるのは、「過程にいかなる紆余曲折があろうと、仕上がりにじは数秒で答えを出したような切れ味が必要」と語る厳しい制作態度のせいだ。

パルコとのポスターはどれも見入ってしまいます。

https://nostos.jp/archives/113644

言葉の歴史

広告は言葉である。論理が必要だ。日本の広告は日本語のコピーが入る。情緒性が豊かな日本語では論理が伝わりづらい。かといって説明では人の心に入らない。秋山晶は、ドライで情緒的な言葉を使い、この問題を解決した。すると、霧が晴れて、本質が見えてきた。こうして日本の広告は言葉を持った。

気になった作品

カルピス|1923|Dオットー・デュンケルスピューラー

『風さささ 浪どどど 山風の懐にも 汐風の袂にも 
 忘れてならぬ 森永ミルクキャラメル』(片岡敏郎)

東京都|「遠まわりでもクズカゴに」|1974|AD.C.P青葉益輝

TOTOウォシュレット|1982|AD.D葛西 薫|C仲畑貴志|若山和央

日本宣伝美術会とアートディレクターズクラブ(ADC)

日本のグラフィックの特徴の一つ。

1970年の日本宣伝美術会が解散し、グラフィックデザイナーの多くが、広告代理店の製作者が主導していたアートディレクターズクラブ(ADC)に合流。以後はこの混合状態が、日本の象徴となった。日本の経済成長を支えた広告業界と、日本の伝統をはぐくんだグラフィックデザインが、同じ場で語られるようになった、、この胎児でも合流でもない関係が日本らしいのかも知れない。

手を動かす

手を動かすということはポールランドも言っています。

今の若い人は、手で描け、っていっても描かないのかもしれませんね。でも、デザインのデザインの大切なことは、手を動かし、自分で見つけないと、四苦八苦してのたうちまわりながらも自分で見つけないと、仕方ないんじゃないかと思いますよ。
仲條正義

過去を知る

一歩で、「記憶」という、どうしても変えられない大切なものがあることも忘れちゃならない。人間は欲望の生き物で、常に変化を求めるけれど、ただ新しいだけでは、ぱっと人の心をつかめない。しっかりと踏み固められたものがあって、そのうえで新しさというものは成り立っているのだと、ぼくは思うんです。
仲條正義

そのためにも過去をもっと勉強するといいんでしょうね。亀倉さんも田中さんも、そういやって、過去を超えるものをつくってきました。

経験を言語化して、それを土台にして初めて新しいアイディアを生むことができるということについては、「正しい判断は、最初の3秒で決まる 投資プロフェッショナルが実践する直感力を磨く習慣 」でも言及されています。

何度でも読み返した一冊です。

いかに知らないことに気付かせるか

「知ってる」というには対象に触れただけであったり、生半可の知識を持っている場合が多い。こうした「知ってる、知ってる」からどうやって逃れるのかがブランディングには重要で、むしろ「いかに知らないか」ということに静かに気づいてもらえることの方が大事ではないかと。

AIの影響

20世紀半ばぐらいまではみながぜいたくを慎みながら生きてきて、人間の欲望は社会からほどほどに抑制されてきました。そのあと、消費社会で過剰になった欲望が交通渋滞に陥って、にっちもさっちもいかない状態になったのだけれど、人口知能の登場によって欲望の渋滞が消えていく可能性が出てきた。

人間の欲望を解消していく可能性がAIにあることは、初めて聞いた。

デザイナーの役割

今言われた通り、デザイナーにはある方向を指し示す役割があると思っています。こちらだよ、というサインをつくることが求められていることも僕自身の実感としてあります。

グラフィックの役割

コミュニケーションにおけるグラフィックの役割は、注目を集めることです。情報を視覚化し、「見える記憶」にします。記憶が豊かになれば、人は幸せな感じます。デザインの主語はデザインではなく、人です。デザインは動詞であり、作品ではなく行為であると考えるべきでしょう。

世の中を豊かなにしていく為に、豊かな記憶を増やしたい。そのために建築を使う。

まとめ

かなりざっくりではあるが、デザインの歴史の大枠を知れたことが良かった。

これを土台にして次のステップへ進む。

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