僕が本を愛する理由

僕は本を愛しています。

僕にとって、本は人生そのものです。

大げさではありません。
僕の短い人生は、あの薄っぺらい紙の束にいつも狂わされてきました。

だから僕は、ITの分野に踏み込んでも、絶対に本に携わるサービスを開発したいと願っていました。

そして生まれたのが、『BooQs(ブックス)』でした。

BooQsは、一言でいえば、『本の学習アプリ』です。

BooQsには、僕の本に対する姿勢が端的に表れています。

僕は、『学習手段としての本』を愛しています。

僕の人生にとって、本は、娯楽ではなく『教材』でした。

学術書やビジネス書だけじゃない。
漫画家や小説家を目指していた僕にとっては、漫画も小説も、僕にとってはいつも教材でした。

だから、本を効率的に学ぶためのツールが欲しくて、僕はBooQsを開発しました。
そして僕は、このBooQsを、僕と同じような『本から学ぶことに野心を燃やす人たち』に届けたいと思っています。


ただ、こうした僕の『学習手段としての本の愛しかた』は、一般の人の目には奇異に映るらしいです。

そのためこの記事では、僕が学習手段として本を愛する理由と、愛するようになった経緯、そして僕が何を目指しているのかを述べていきます。

あわよくば、あなたが僕と同じように本を愛してくれることを願いながら。

 目次
・教育の限界
・『教育』と『学習』の決定的な違い
・本は万人に公平な学習インフラ
・学習インフラとしての本の課題
・僕が本を執筆する理由

教育の限界

最近、『生涯教育』の重要性が叫ばれることが多いです。

しかし、正直に告白すると、僕はこの『教育』という言葉が好きではありません。

教育という言葉の背景には、「誰かが『正解』を教え、導くことができる」という暗黙の前提があるからです。

逆にいえば僕は、そう簡単に『正解』が教えられるなんて、信じられません。

この世界の全ての物事は、『トレードオフ』です。
「塞翁が馬」ともいうように、あるときに正解だと思ったことが、あとあと問題に発展したり、ある環境では不正解だと思われていたものが、別の環境では福に転じたことは、あなたにも経験がないでしょうか?

しかし、教育は、こうした世界の複雑性をすっぱり切り落として、短絡的な『正解』を教えようとします。

もちろん、守破離の『守』としては、教育はとても重要だと思います。
僕がこうして文字を書き、言葉を操れているのも、画一的で同語反復的で非差別的であろうと努力している日本の義務教育のおかげです。
型としての義務教育については、僕はとても感謝しています。

しかし、義務教育を終えてなお、誰かに『正解』を請い、導いてもらうことは、果たして本当に重要でしょうか?

僕は、そうは思いません。

僕たちはそれぞれ、さまざまな環境とさまざまな目的を持っています。

その多様性と複雑性の中に生きる個々人たちを簡単に一般化し、彼らに普遍的な『正解』を与えることは、そもそも可能でしょうか?
官僚、ミュージシャン、起業家、漫画家、エンジニア。
彼らに共通の『正解』を、教育指導要綱は教えることができるでしょうか?

僕は、不可能であると思います。

だから僕は、教育というものは、そもそも実現不可能であると考えています。

僕が教育の代わりに神のごとく崇めているのが、『学習』です。

僕はこの21世紀においては、生涯教育よりも、『生涯学習』のほうが重要であると考えています。

『教育』と『学習』の決定的な違い

『教育』と『学習』という言葉は、しばしば混同されがちです。

しかし僕は、この二つは決定的に異なり、むしろ正反対であるとさえ考えています。

教育は受動的ですが、学習は『能動的』です。

教育には『正解』が用意されていますが、学習においては、学習者が自らあるかどうかもわからない『正解』を探しに行きます。

また、教育は差別的です。
教育は万人に開かれているわけではありません。
教育には教師や学校といった限りある資源が必要なので、当然教えられる生徒の数にも限りがあります。
だから教育は、試験や学費や面接などによって生徒をふるいにかけて、人を差別する必要があるのです。
教育は、受ける人を選ばなくてはならない。
そのため、教育においては学ぶ機会は均等ではありえません。

一方で、学習は、万人に開かれています。
なぜなら学習に必要なのは、教材と学習者の学ぶ意志のみだからです。

教材といっても、学習における教材は、学費のような高価なものではありません。
私たちの身の回りにあるものすべてが、学習者にとっては教材です。

巷に溢れる広告も、それがどのように私たちにものを購入させようとしているかを分析すれば、立派な教材ですし、一見なんの利益をもたらさないように思える嫌いなあの人も、どのような点が嫌いなのかを分析すれば、反面教師として立派な教師になります。

・知識を得る姿勢として、受動的か能動的か。
・正解を与えられるか、正解を探しにいくか。
・知識を得る機会が閉じているか、開かれているか。

この三つの観点から、『教育』と『学習』は正対し、決定的に異なります。

そして僕が愛するのは、教育ではなく、『学習』です。
能動的に知識を求め、正解探索的で、万人に開かれている、『学習』です。

そして、僕が本を愛する理由は、僕が学習を愛する理由に通じています。

僕が本を愛している理由、それは、『本が万人に公平な学習インフラ』であるからです。

本は万人に公平な学習インフラ

教育は差別的であると言いました。
教師という限りある人材や、学校という限りある設備を利用する以上、教育は試験や学費や面接といった形式で、生徒をふるいにかけて人数を制限する必要があります。

教育を受ける機会は、『知識』『お金』『経歴』を持たない人間には開かれていません。
教育を受ける機会は、『持たざる者』には開かれていないのです。

教育は、教育を受ける人を選びます。

一方で、本は、本を読む人を選びません。
本を読む機会は、持たざる者にも開かれています。

天才であれバカであれ、大富豪であれホームレスであれ、誇れる経歴を持つ人も持たない人も、まったく同じ本の、まったく同じ内容を読むことができます。

その理由の1つは、本は教師や学校と異なり供給が十分だからです。
そのため本は、試験などによって読むべき人をふるいにかける必要がない。

2つ目には、本は学費に比べてはるかに安く、かつ値上げができない仕組みになっているからです。
そのため本は、お金持ちも貧乏人も、まったく同じ手頃な価格で読むことができます。
さらにいえば、古本市場や図書館環境が力強い日本でいえば、本を読むためのコストはどこまでも下げることができます。
図書館を利用すれば、無料(タダ)で本を読むことさえできるのです。

本は、本当に、万人に開かれた『公平な学習インフラ』なのです。

僕が愛しているのは、この持たざる者にも開かれた公平な学習インフラとしての『本』です。

僕は、今までこの本という公平な学習インフラに救われてきました。
いや、今なお救われています。

現在の僕は、noteやTwitterで心理学を紹介しており、その縁からこのたび「学習の心理学」について本を出版できることになりました。
けれども、僕の心理学の知識はすべて、本から独学した知識です。

本に出会うまで、僕は教育に見放された『持たざる者』でした。

しかし、上京して四年間、杉並区の図書館に引きこもり不断に本を読み漁り、学び続けた結果が、今の僕の財産になっているのです。

教育は、「あなたが現時点で何をもっているか」で、知識を与えるか否か、差別します。
しかし本は、学ぶ意志さえあるならば、僕のような『持たざる者』にもきちんと知識を与えてくれ、成長の機会を与えてくれます。

『持たざる者』が這い上がるための『蜘蛛の糸』。
僕はそれこそ『本』であり、『学習』であると考えています。

そして僕が『BooQs』を開発した理由は、僕を救ってくれた『公平な学習インフラとしての本』をアップデートするためです。

学習インフラとしての本の課題

本を学習手段として捉えると、現状には一つ大きな問題がありました。

その問題とは、『本の学習』というものが、いまだに個々人の工夫にのみ委ねられているという点です。

たとえば、『本を学習するためのアプリ』というものは存在しませんでした。

いわゆる『読書管理アプリ』なら山ほど存在します。
しかし、それらは文字通り『読んだ本を記録すること』を目的とするアプリであって、副次的な学習効果を宣伝することはあっても、学習効果を第一に宣伝したものはありません。
読書管理アプリは、学習にフォーカスしているわけではないからです。
運営側も、ユーザーの投稿に対して学習効果よりも、本のレビューとしての役割を求めています。

『本を学習するためのアプリ』というものは、存在しなかったのです。

だから僕は、学習効果にフォーカスした『本の学習アプリ』として『BooQs(ブックス)』を開発しました。

僕と同じような『持たざる者』たちでも、本から自力で効率的に学習し、知識でもって這い上がれる環境をつくるためです。

最近では『生涯教育』の重要性が取り上げられますが、僕はそんなものよりも『生涯学習』のほうがよっぽど重要であると考えています。

人が集中的に教育を受けられるのはせいぜい20数年程度ですが、残りの人生は、その3倍の長さがあります。

その間、教育に依存し、自ら学ぶことができないのであれば、それこそその人の人生にとって、ひいては一国にとっての損失であるはずです。

大人たちは『正解を教え導くことができる』と驕り、教育環境の重要性を唱えますが、僕の考えは違います。
僕は、まずはその驕りを捨て、私たちが『正解がわからない』ことを素直に認め、複雑で不確実な未来のために、各々が正解を探し出せるような『学習環境』を整えるほうが、重要であると考えます。

僕はその学習環境の構築を目指して、『BooQs』を開発しました。

学習と記憶についての心理学を学び、信頼できる心理学的知見を機能に落とし込み、科学的に効果が証明されている『本の学習アプリ』を開発しました。

僕が愛する『万人に公平な学習インフラとしての本』をアップデートし、『最高の本の学習環境』の実現を目指して。

僕が本を執筆する理由

先日投稿した下の記事で、僕のあるツイートがバズったおかげで、『学習の心理学』について本の出版の企画をいただけたというお話をしました。

この企画、みなさんの応援によって、晴れて正式に本になることが決定しました!!
応援していただいた方々、本当にありがとうございます!!

ただ、起業家の僕がなぜ今本を執筆するのか?
プロダクトオーナーなら、自分のプロダクト「BooQs」にだけ集中し、プログラムだけ組んでいればいいのではないか?
そういう疑問を持たれるのは、正当だと思います。

僕が本を執筆する理由。
それは、『BooQsの価値を知ってもらうため』です。

BooQsは、信頼できる心理学に基づいた『本の効果的な学習アプリ』です。

しかし、僕がこのBooQsをリリースしてからわかった問題が一つあります。

それは、BooQsが取り入れている『効果的な学習法』が、ほとんどの人に知られていないことです。

たとえばBooQsでは、『本のテストを投稿すること』ができます。
これは認知心理学で『テスト効果(Testing effect)』と呼ばれる学習効果を期待した機能です。

テスト効果とは、受動的な反復学習よりも、頻繁にテストを受けるほうが、記憶が強化されることです。
たとえば、同じ文章をなんども読み返すよりも、その文章の内容についての問題をなんども解いたほうが、1.5倍は記憶に定着します。

一般的に、テストは学力を測る『試験』だというイメージが強いです。
しかし心理学の実証研究によって、テストを解くこと自体が、私たちの学力を大きく向上させることがわかったのです。

しかし、このテスト効果は、いまだ現代人のほとんどに知られていません。
アメリカの心理学者が行った調査では、大学生のおよそ9割がテスト効果について知りませんでした。

この状況は日本も同じで、BooQsをユーザーに使ってもらうためには、まずこのテスト効果について説明をしなければなりませんでした。
テスト効果の説明コストが、BooQsの成長におけるボトルネックとなっていたのです。

僕は、書籍はこのBooQsの問題を解決してくれると期待しています。

もしいただいた本の企画が「交渉の心理学」や「ストレスマネジメント」などであったら、僕はその企画をお断りしていたと思います。

しかし、今回出版できる本は『学習の心理学』について語るものです。

その本の中では当然、『テスト効果』について詳しく説明することができるし、テスト効果に興味を持っていただいたユーザーをBooQsに誘導することもできます。

また、書籍という現実の流通経路は、それ自体がBooQsにとって魅力です。
noteやTwitterではリーチできない層にまでユーザーを広げるチャンスでもありますし、出版社の権威が加わることで、BooQsに信用が生まれます。
僕の本を出版する晶文社は、ヤングアダルトに強く、「学習参考書」のコーナーにも本を置いていただけるということで、学習ツールとしてBooQsに加わる信用は大きいものと思います。

製品のヒットのためには、製品の質だけでなく、『製品の流通経路(メディア)』が重要であるということは、下の記事でご説明しました。

書籍というメディア(流通経路)は、BooQsの価値を多くの人々に知ってもらうのに最適なメディアなのです。

・9割の人々に知られていない『テスト効果』を啓蒙し、BooQsの価値を多くの人々に知ってもらうため。
・Webからはたどり着けない層の顧客にも、BooQsを知ってもらうため。
・書籍という流通経路によって、BooQsに信用を与えるため。

この三つの理由から、僕は、本気で、本を執筆します。

僕が本の執筆から求めているのは、印税収入ではありません。『BooQs』の普及です。

そしてBooQsの普及によって僕が何を求めているかと言えば、ここまでなんども繰り返し述べてきたような...

僕が愛する『万人に公平な学習インフラとしての本』をアップデートし、『最高の本の学習環境』を実現することです。


僕が本を愛しているのは、本が『万人に公平な学習インフラ』であるからです。

だから僕は、僕が愛し、僕を救ってくれた『公平な学習インフラとしての本』を、もっともっと質の良いものにしていきたい。

『BooQs』を開発するのも、『学習の心理学についての本』を執筆するのも、すべて同じ目的を目指しています。

それだけは、何があってもブレません。

みなさまにいつも助けられてばかりの僕ですが、なにとぞ、今後ともご応援をよろしくお願いいたします🙇‍♂️🙇‍♂️🙇‍♂️

最後に、少しだけお願いです。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

これはお願いになってしまうのですが、
もしこの記事に共感いただけたなら、下のBooQsにご登録いただけないでしょうか。

さらにBooQsをご利用いただけたなら、僕は心の底から、本当に嬉しいです。

なにとぞ、よろしくお願いいたします。


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あなたの貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!

泣きます!!
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BooQsのnote

BooQのビジョンや戦略、開発する中で学んだことなどをまとめたものです。未来の仲間たちに向けて発信しています。
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