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渋谷ヒカリエに出店して分かった事。その3

◇小さなお店の作り方
渋谷ヒカリエに出店して分かった事。その3
 
妻に「私は全然楽しくない」と言われ、このままではカタカナが空中分解してしまうと言う危機感が生まれて、最初に何を決断したかと言うと、外部催事に出る事をいったん凍結しました。
とにかく自由が丘店と渋谷ヒカリエ店に集中する事にしたのです。
外部催事を断り続けると、今後声がかからなくなるリスクがありますが、そんな事を言っている場合ではありません。
 
そしてヒカリエですが、ある日、営業の方から話があるので時間をつくって欲しいと連絡がありました。

話を伺うと同じフロア内での移転の話。最初に出店させて頂いた3坪から比べると約3倍の10坪強で自由が丘店と同じような大きさになります。
ただ、営業統括の方は、僕たちの事を本気で心配してくれて「カタカナさんにその区画をやって欲しいけど、正直今の客数の三分の一になるかも知れない」そう言ってくれました。

そんな話を聞きながら僕はワクワクしっぱなし。だって、自由が丘店の様なスペースを確保出来れば、ゆったりとした接客も出来るし、カタカナの世界観をもっと表現出来る。入店客数が減っても、買上げ率と客単価を上げる事が出来るはずなので売上は上がると考えました。そして何よりお店のスタッフがイキイキ働いている様子を想像したのです。

真夏の暑い夜にカタカナ渋谷店の徹夜の引越しが完了。それからもいろいろな事はありましたが、店舗の場所を移転して本当に良かったと思っています。フロア奥の少し分かりづらい場所になりましたが、うれしい事にお店のファンの方が増えました。作家さんの企画展も世界観を作る事が出来て大盛況。

スタッフも育って来て、お店をある程度任せることも出来始めましたが、安定しなかったのが雇用でした。

原因は僕たちにあります。

渋谷店は定期借家契約と言って期間を決めてデベロッパーと契約を結ぶ方法です。カタカナは最初の頃は半年の催事契約でしたが、移転したタイミングで1年の定期借家契約になりました。この事は1年間は営業出来ますが、その後の契約を継続するかしないかはすべてデベロッパーである東急百貨店さんの判断次第です。
なので、1年後に渋谷店は無くなっても困らない雇用の仕方をしなくてはなりません。

雇う側の会社が、働いてくれる人に対して腰が引けてる状態では、従業員さん達が自分の能力を100%発揮する事に躊躇しますね。
その様な環境の中でも、渋谷店のスタッフは本当に頑張ってくれたと思います。感謝しかありません。

結局、カタカナをこれからどの様に成長させたいのか色々な事を考えて、6年目は契約の更新をせずに退店させて頂く事を決めました。

渋谷にテナントとして出店した事で、僕たちは色々な経験をさせて頂きました。
・通行量の多い立地での営業の仕方
・客層に対する品揃えの対応
・世界観を作る事の大切さ
・時流の流れ、時代のムード
・多店舗展開のメリットとデメリット
これらの事だけでも濃いnoteが書けそうです。
それはいつかまた!

〈次回の予告〉
◇スタイルと変化

僕は毎年スケジュール帳を新調するときに一番初めにする事があります。
表紙をめくった最初の真っ白い中表紙に、ある文字を書き入れます。
「スタイルと変化」
これは僕のお師匠から聞いた言葉で座右の銘にしています。

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