見出し画像

こどもとの会話、選挙権、ペンは剣よりも強し

こどもが「空腹感って何?」って。
赤ちゃんの時はミルクを欲しがってあんなに泣いたのにどうなってるのか。
うちは昼食と夕食の間隔が7時間くらいあるから、
夕食前にはおなかはすいているはずなのに、
調理中にカウンターの向こうでこどもが走り回って踊り狂っていた。
パソコンの合間に走ってるのは一日中見られる姿。
踊ってるのはちょっと珍しい。楽しそう。
何の踊りってわからないオリジナルなくねくね踊り。おもしろい。

私「おなかすいてるはずなのに元気だね」
こども「?」
私「若いっていいね。子どもは元気だね」
こども「その代償が選挙権だ!」
私「子どもにも選挙権あげていいと思うんだよね」
こども「そう?」
私「小学生でもけっこうちゃんと考えてる子いるもん」
こども「考えてないやつもいるぞ」
私「そんなの大人にもいるから一緒だよ。年齢じゃ分けれない」
そう言った後で何か違うな、と考える。

投票するならよく考えて選んだ方がいいけれども、
よく考える人じゃなきゃ投票する権利がないというのはおかしい。
子どもとの比較に出すのは適切ではないかもしれないけど、
たとえば知的障害や認知症の人も選挙権はある。
政治に無関心な大人にも選挙権はある。
成人に選挙権があるのって、
成人すれば責任ある選択ができる、そういう人が投票してもいい人、
っていう二重に“そうじゃないかもしれないのに”を孕んでいる気がしてきた。
いま選挙権がある人もない人も、みんなの思いをくむ方法はないだろうか。

私「選挙、じゃないのかもしれないね」
こども「じゃあどうするの?」
私「ネットで簡単にアンケートが取れるんだから、もっと違う方法で」
こども「インターネット投票?」
私「ああ、今の選挙よりはいいよね。投票所に行くのが大変だもん」
こども「そうだね。なりすまし問題とかあるけどな」
私「うーん、なんかもっと全然ちがうやり方で、政治家選ぶんじゃなくて」
こども「もうAIに国政任せる?」
私「ええ?そこまでは思わないけど、その方がましかな??」
こども「AIのほうが?」
私「だって人間て権力握ると腐敗しがちだもん」

それから話は、政治の仕組みや理想的な国家とは、みたいな方向へ。
こども「ペンは剣よりも強し、っていうからね」
私「ちょっと待って。それどういう意味で使ってるの?」
説明を聞くと私が思ってたのと違う。
こども「権力者は署名一つで一兵士を倒せるって意味だよ」
私「え?初めて聞いた。文学や言論は武力より強いって意味じゃないの?」
こども「もともとは違うんだよ。Wikipediaにも書いてあるのに知らないの?」
私「知らなかった」

後でWikipediaでひいたら、たしかにそのような話が書いてあったけど、
ペンは剣よりも強し、の項だけ読んでもよく分からず、
あちこち関連語句を見てやっとこどもの言ってたことが理解できた。
イギリスのエドワード・ブルワー=リットンという作家が
歴史劇の中で宰相リシュリューのセリフとしてこの言葉を書いたときは、
こどもが言ってたような意味で使われていて、
でも、私が思ってたような意味の言い回しは古今東西に他にもたくさんある。
「最初から学校行かずにWikipedia読んでたら今頃もっと賢くなってたのになあ」
とこどもが言っていた。