ranko's diary 0005
隣のクラスの子が死んだ。
自ら自らの命を絶つことを自殺という。
受験ノイローゼは哀しい。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」
水川は、一日中不機嫌だった。
よくわかる。
水川も私も、死ぬほど悩んだことがない。
それは、少しだけ後ろめたい。
死んだ子に後ろ指を指されているような気がする。
「死んだらなんにもならない」
毎日磨き上げているらしい能面を付けた先生が言った。
すかさず、千代子が毒づいた。
「じゃあ、生きててなんになるのよ」
インテリは、時としてニヒリズムに陥ってしまう。
その一端を、垣間見たような気がした。ラッキー。
「人はね、誰でも幸福になりたいと思ってるよ。でも安らぐことが幸福の人に は、
死は限りなく幸福に近いよね。なにしろ、この煩雑な世界と縁が切れるわけだから」
兄貴の言葉を思い出す。
兄貴の子供が欲しい。
突然、そう思った。
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