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謎を解いていたら日本一になった話

どうもー!謎解き日本一のけーおん・無策師ペアの無策師です!
『謎解き日本一決定戦』で謎解きで日本一になって謎解き日本一になりました!
要するに、人々を謎解き日本一かそうでないかの2つに分類したときに、謎解き日本一に分類される側の人間です!
「謎解き日本一がけーおん・無策師なのは誰でも知ってますが日本で二番目に謎が解ける人は、皆さん知りませんよね?」でおなじみの謎解き日本一です。
えっ!?そもそも『謎解き日本一決定戦』を知らないですって!?
そんなあなたのためにこちらの記事を引用しておきます。

『謎解き日本一決定戦』の説明・導入が日本一うまい記事です。謎解き日本一決定戦説明日本一決定戦があったら謎解き日本一決定戦説明日本一になってるレベル。
私はここまで一度も『謎解き日本一決定戦Χ2022』と正式名称で書いていないので予選落ちです。ありがとうございました。
予選落ちなので、恥も外聞もなく謎解き日本一決定戦説明日本一の人の記事をコピペします。

突然ですが、ここで皆様に注意事項があります!
これ以降、ど〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜しても、謎の内容のネタバレに触れざるを得ません。

https://note.com/udhiii/n/n09318cb06856

だそうです。
ですので「ネタバレ無しで謎を解きたい!」「ネタバレ無しで観戦したい!」と言う人は、先ほど紹介した記事内の案内に従ってまずはお楽しみください。
あれ、そもそもけーおん・無策師ペアが日本一ってこともネタバレなのでは。あちゃー、これは予選落ちですわ。申し訳ない。てへぺろ。

さて、冗長な前置きもこの辺にして。
この記事では、けーおん・無策師ペアがいかにして謎解き日本一の座を勝ち取ったのか、その舞台裏や戦略・対策などを事細かに紹介していきます。
日本一になったわけですから、さぞ高度な戦略や入念な対策が行われていたはずです。これは楽しみですね!
まさか、いかに無策師がポンコツなまま日本一になってしまったかの紹介なわけないですよね…。

ちなみに、私はこんな感じでふざけた文章しか書かないので、ちゃんとした緻密で厳密なレポートを読みたい方はけーおんの記事をお読みください。
同じ日本一ペアの別視点というだけでも単純に面白いです。

1-3次予選編

といっても1,2次予選は特に語ることもありません。謎を解くだけ。
お札は手持ちが1000円札しかなかったので、google画像検索で表示したお札見本で確認しました。
ちゃんとRIDDLERの方々はヒラメキさえあれば一文無しでも解けるように作っていたわけですね(?)

3次予選は(良い意味で)かなり性格の悪い謎でしたね。
私は勿論すぐにフォームの違和感に気付いて罠を見抜き正しいフォームから入力しましたよ!謎解き日本一ですから!当たり前じゃないですか!
まさか、クリア後にTwitterを見たら大勢の人がツイートしていて「みんな早いなぁ」って思いながらツイートしようとしたらLINEにツイートリンクが無くて「やべぇ!みんなはクリア後にツイートリンクが出てるっぽい!ということは私はまだクリアできていないんだ!」と焦った結果罠に気付いた、なんてそんなはずないじゃないですか!
まさか、表示されたツイートボタンをただの一枚のクリア画像だと思ってスルーしていただなんてね……。

ちなみに3次予選突破順は(恐らく)11番でした。怪我の功名。いや怪我なんてしてないんですけどね!

最終予選~ペア結成過去編~

ここからペア戦となるため、事前に約束していたけーおんと合流します。
『謎解き王トーナメント2020』の打ち上げの際にけーおんから声をかけられ、「これは優勝狙えるな」と思い即断即決しました。

謎解きゲームの成功率を上げるための力は、個人的に以下の5つに分類できると思っています。それは、
・古典一枚謎力(既に解いたことのある一枚謎を早く解く力)
・新規一枚謎力(初めて見るネタの一枚謎を解く力)
・注意力(細かい違和感や探索で情報やアイテムを見つけ出す力)
・大謎打開力(発想の飛躍が必要な難しい謎を解く力)
・メタ解析力(効率よく検討をするための情報をゲーム構造から見抜く力)
の5つで、これらの力が掛け算のように影響し合い成功率をあげるという持論です。
そしてこれらのパラメータを何となくイメージするとこんな感じです。

すごい雑なのにそれっぽく見える図

ほぼ理想的な相互補完と言えるでしょう。
特にRIDDLERがTV向けに謎を作るとなると、それは恐らく「ナゾトレに代表されるような目新しい一枚謎」や「TV映えする綺麗でコンパクトな大謎」に特化しそうなため、「新規一枚謎力」と「メタ解析力」がぶっ刺さると予想できました。(本来は「大謎打開力」で正々堂々と切り伏せるべきなのですが、持っていないものは仕方ないので「メタ解析力」という邪道戦法をフルに使います。これらの力についてはこの記事の最後の方でまた触れます)

余談ですが、私はEscape Room Championshipsという脱出ゲームの世界大会にFar East Solversというチームで参加しています。
そのチームメンバーと組むという選択肢もあったわけですが、このチームは4人で最強のチームであり、ペアとして最強ではないと思い、けーおんと組みました。
チームメンバーの常春には「チーム組まなくてすまん。こうしたからには絶対優勝してくるわ」「決勝で会おう」と伝えます。
会おうとは言ったものの、強敵になりうることは知っているので、ぶっちゃけ決勝では会いたくないというのが本音です。

最終予選~当日編~

そんなこんなで、特に対策などはすることもなく(!?)、自然体で当日を迎えます。
最終予選の直前の時間に『ときどき熊が襲いかかってくる無人島からの脱出』の予定を入れてしまったので、無人島近くのレンタル会議室を押さえておき脱出後即直行というスタイルでの参戦となりました。
対策というよりはハンデ感。

最終予選はZoomを使って挑戦者全員の顔が見える状態で行われていました。
謎解きが得意で有名な、見知った強者たちも大勢いることがここで初めてわかります。
私はここで(最終予選が始まるまでの間)「Zoomの顔認識機能はどんなものに反応するのか検証会」で遊び始めます。緊張をほぐし、大勢に見られている状況に慣れ、ペースを握るための高度な戦略です。手書きのアンパンマンが顔認証された瞬間は涙無くして語れません。

そんなおふざけをしながらも、一応直前に数十秒だけ作戦会議をし、「(普通に戦ったら勝てない猛者だらけなので)多少攻め気味で行こう」「ここまで来れただけでも偉いので、お互いミスっても責めない」と方針を立てます。要するに「失敗を気にせず博打に出よう」ということです。そうでもしないと勝てない、ハイレベルなバトルになると感じていたのです。

1ST STAGE

3問の謎が出題され、5分以内に一度だけ提出可能、高ポイント・同点の場合は提出時間の順に50組が2nd stageに進出できるというものでした。
「メタ解析力」により「3ポイントではなく高ポイントという回りくどい表現をした以上、4ポイント以上取れる可能性大」と見抜き、早速複数解を疑いながら解き始めます。

ここで無策師目線で謎を見てみましょう。

スマホのLINEに表示される謎を必死に眺める無策師の視界

無策師「うーん、?の間って言われても、?が一個しかないんだよなぁ」
「複数解どころか1つも解けない」「やべぇ、まさかこんな難問が出るとは」「パニック!」

まさか、親指の下に?が隠されているなんて!
RIDDLERは面白い謎を作りますね!(白目)
セルフインク謎。

このポンコツのせいで時間を大幅にロスし、5ポイントで提出するという屈辱を味わいます。運が悪ければ落ちてた。
ボーダーラインは4ポイント。九死に一生を得ます。
無策師は同じミスを犯さないように、ここで親指を切断しました。

2ND STAGE

じわじわ全体が見えるようになる動画謎で、25組が勝ち抜けることになります。
説明時点では見抜くことができなかったのですが、3回まで再送信できるという仕様から「確定してなくても当たりそうだったら飛び込め!」という出題者の意図を感じ取り覚悟を決めます。
そして、1問目を秒速でけーおんが「とっとり」と入力し、このステージが「動的にインクの量が変化するインク謎」であることを理解しました。
こうなったらもうけーおんの独擅場です。残りの二問も無双し、ほぼ理想のタイムをたたき出し、2位の好成績を出します。天才。

LAST STAGE

謎を解き現れるヒントを元に8つある3桁の数字を答える謎で、ついに決勝大会へと駒を進める8組が決まります。

「ヒントは1パターンしか出ないのに、答えの数字は8パターンある……?妙だな……。」とふざけながら、「ヒントから確定しない揺らぎが2パターンでそれが3桁分、つまり2x2x2=8パターン」というのが濃厚と考え、(放送ではカットされたヒントの例が11文字だったように見えたので)11文字のパターンを列挙します。
◎「_ひゃく」→「にひゃく・ごひゃく」
◎「_っぴゃく」→「ろっぴゃく・はっぴゃく」
◎「_じゅう」→「にじゅう・ごじゅう」
◎「_んじゅう」→「さんじゅう・よんじゅう」
○「_ちじゅう」→「しちじゅう・はちじゅう」(ななじゅうと読むことを考慮すると一段劣る)
◎「_ん」→「さん・よん」
△「_ち」→「いち・はち」(シチを別解として言われると否定しづらい)
△「_」→「に・ご」(シ・クを別解として言われると否定しづらい)
これらを組み合わせて最も確率が高い11文字のパターン、それは…
「_ひゃく_んじゅう_ん」(233,234,243,244,533,534,543,544)!!!
解けてしまった…!

ここで最大の難問が立ちはだかります。
はたして1問も解かずにこの数字で特攻すべきなのか。
たった8組しか進出できないこの状況で、既にこのパターンに気付いた人はどれだけいるのか。8組がダイブしたら、その時点で敗北決定です。
「多少攻め気味で行こう」
この方針が脳裏をよぎります。行くべきなのか?どうなんだ?
ここで少し悪寒がします。そもそも例題と文字数が違う可能性もあるぞ?本当に全部のパターンをあの一瞬で網羅できたのか?なんか見落としている気がするぞ…?
無策師「一問は解いて、想定外の事態が起きていないかの確認をしよう。」

これは結果として英断でした。
一問解いて出てきたヒントを見てひっくり返ります。
「じ……じゅうもじだ……!?」
一文字足りない…。まさしく想定外の事態です。
パニック!パニック!パニック!みんなが慌ててる!!
ここで無策師は凄くもなく天才的でもないので、目の前に現れた2問目も条件反射で解き始めます。
そして3問目を解いている最中にクリア者が出始め、ここでようやく我に返ります。何をやっているんだ!
既にパターンは列挙済みなので、10文字と現状のヒントを照らし合わせて、けーおんがシュババっとクリアしてくれました。ひゅーっ!

なお、このnoteを読んでいる優秀な皆様ならお気づきだと思いますが、11文字のパターンはもう一つ「_っぴゃく_じゅう_ん」がありました。
全然確定してねぇ。
何ならこっちの方が全部の桁の数字が違うので綺麗。
あぶねぇ…伝説の大爆死になるところだった…。
(もっと言えば、本当に例題が11文字だったかどうかも怪しい)

あっ!常春のチームも決勝進出してる!会いたくなかったのに!

感想戦

終わった後に、LAST STAGEまで残ってた別の零狐春メンバーと感想戦をしました。
総じて、先読みの能力を問うめちゃくちゃ面白い謎だったねと大盛り上がり。
最後に「決勝頑張って!」と応援を受け解散となりました。
もう一つ「頼むから謎解き好きの品位を落とすようなみっともないことはしないでくれよ」と言われます。
一体なんのことだろう…。

品位を落とすような行為……?

そんな注意されるようなこと、したっけなぁ……?

してたわ。

決勝編

いきなり時系列は飛んで、決勝収録日に移ります。
なぜかって?
その間、何もしてないからだよ!(髪は切った)

みなさんは花見に行く前に花を見る練習をしますか?
旅行に行く前に、練習として別の街に旅行に行きますか?
私は『謎解き日本一決定戦』に謎を解きに来ています。
謎を解くのに、練習なんて要らないんですよ。
練習せずとも、もう十分に謎が解けるのだから。

とカッコつけながらも、当日朝に不安になって、本屋で『東大ナゾトレ』の一番新しいそうなものを買いました。
買ってから、それが最新刊ではなかったことに気付きました。
そういえばあの本屋は品揃えが悪いんだった…。
とことん恰好が付かないですね。

12時にスタジオに集合後、「箸のないロケ弁」「灰色と水色の区別がつかず混乱する衣装配布」「初めての簡易メイク」などの超面白イベントをこなし、ようやく収録すなわち1ST STAGEが始まります。
なお、この時点でまだ決勝の全体像やシステムなどは何も知らされていません。
唯一知らされたのは「結果次第で、アイマスクをすることになりますので注意事項をお伝えします」という情報です。
ファイナリストたちが一斉にざわざわします。
アイマスクをして連れていかれる謎解きは絶対に面白い。
みんなの目標に「アイマスクをするまで勝ち上がる」が加わりました。
その後、何となく8→4→2→1の3試合くらいなのかなぁ、アイマスクは最終戦かなぁと思いながら控室を後にします。

ちなみにけーおんは「優勝したいですね!」と闘志むき出しでした。正しい。


1st ステージ

スタジオに入ると、めちゃくちゃ豪華なクイズ番組のようなセットが待ち構えていました。しゅごい……
案内された席に座ると、目の前には司会席やモニター、テレビでさんざん見てきた手書き入力できるパネル!
走り回るADさん、華やかに見えるけど裏側は木材剥き出しのボード、何台ものテレビカメラ。
もうそこは完全にテレビの中の世界でした。

そして、モニターに映る情報で全てを察します。
「Aブロック…前列に4チーム…タイマー表記…。これは4チームによる早押し謎解きだ!」
そして急いで前列に座った残り3組を確認します。
・解神である高井茅乃さんと謎検一級の小林さんペア
・五神筆頭である宇陀さんのいるペア
・修羅対策会で異次元の強さを見せつけたと噂のEMさんのいるペア
「やべぇ…、早解きが鬼強そうな人しかいねぇ…」
いきなり修羅場となりそうです。
これはもう、"早解きの貴公子"けーおんに頑張ってもらうしかありません。

1問目。
けーおんがシュババっと解きます。
どちゃくそ早い。

2問目。
けーおんがシュババっと解きます。
どちゃくそ早い。

3問目。
ここに来てけーおんが一瞬フリーズしたので私がぬるっと解きます。
けーおんが取りこぼした球をちゃんと拾えるのがこのチームの強みでしょう(?)

4問目。
私が「マルノヒダリ…ガコタエ」と呑気に読んでる間にけーおんがシュババババっと解きます。
なんか罠っぽいのも看過してるっぽいし、ということで再検討もせずにすぐにボタンを押します。
せっかくのリードを全く活かさないプレイング。
正解だったから良かったものの、もし間違えていたら一生後悔していたことでしょう。

そんなこんなで、Aブロックを1位で通過することが出来ました。ラッキー!

あっ!常春のチームが2位で進出してる!勘弁してくれ!
高井茅乃さん・EMさんという強敵を、運よくここで倒せたのはかなり大きいです。

松丸「ここで、敗者復活戦を行います」

せっかく倒したのに!!!!!!
勘弁してくれ~~~~~~~~~!!!!!!!!!

断章~敗者復活戦~

控室にてスタッフの方から案内があります。
「それでは敗者復活戦に参加する4組の方は……アイマスクを付けていただきます!」
そっちだったか~!
私は勝者の余裕から「羨ましい~」と呑気に声をかけていましたが、敗者の4組は楽しむ余裕なんてなかったはずです。

その後再びスタジオに行き、牢屋に閉じ込められる敗者たちを上から見下ろすという謎の時間が発生しました。
デスゲーム主催者気分。

にしてもEM・あせろらペアは早かったですねぇ。
とんでもない強敵が上がってきてしまった、と震えるばかりです。

ただ、何もせずに震えていても仕方ありません。
次のブロックはどんなブロックかなーと雑談します。
早押しではない謎解きがいいなー、ロックボタンはもう二度と見たくないな~と。

2nd ステージ

ロックボタン「また会ったね」
お笑いステージでも、メインシステムはロックボタンでした。
敗者復活戦を見下ろしているときに、まだロックボタンが置かれてて嫌な予感はしたのよ…。

1問目は、ミルクボーイ漫才謎解き。
目の前でミルクボーイの漫才を観れるというサプライズには興奮しました。

「その競技にはリングがあってね」
無策師(とりあえずボウリングって書いておくか)
「還暦を過ぎたおかんが今からでも始められるって言うねんな」
無策師(ほなボウリングと違うか。消去っと)
「目の前のヤツを力強く倒すのがカッコいいって言うねんな」
無策師(ほなボウリングやないかい!!!!!!!急げ~~~~~~!!!!!)
というポンコツプレイを裏ではしていました。
そうか…ボウリングはおかんでも始められるか…。

2問目は、笑いのニューウェーブ謎解き。
このステージで何故か司会席が別室となった違和感がずっと気になっていて、「陣内さんが同じスペースにいると破綻する何か」がギミックとして存在するのではないかと疑っていました。
そんなことはなかった。
映画『マダムマーマレードの異常な謎』のようなギミックにも気を付けつつ、発言の頭文字や末尾を拾えるように必死にメモをしていきます。
しかし、途中であっさりと外枠のギミックに気付き、しりとり・文字数に事前に気付けました。
そして示されたジャンル。「都道府県は?」
最終予選 2ND STAGEで「とっとり」を秒殺したけーおんが思い出されます。
これは勝ったな。
あとは、都道府県出力ロボと化したけーおんが「ミから始まる4文字の都道府県」を出すのを待つだけです。
けーおん「ミエ……ミヤギ……ピー、ガガガ……」
まずい!けーおんロボが壊れた!
パニクりながら私も参戦します。
なんで一度安心してけーおんに任せて思考を止めたんだって話ではあります。
「ミヤザキ…キョウト……TOKYO!」

脳内ではオリンピックが開催決定しました

「ちゃんとウで終わった!これだ~~~!!!!!」
なんとか、3位で突破することが出来ました。
もしあの時けーおんに任せきって勝利を確信して背伸びしたりあくびしてたりしたら負けていたでしょう。
ここで一度気を引き締めなおします。

ここで脱落したのは宇陀・常春ペア。
散々勘弁してくれと言ってきた常春ですが、いざ落ちるとなると寂しくなるのも事実。お前とは決勝の決勝で戦いたかった…。

断章~控室~

2nd ステージ内の説明で、次が「準々決勝」であることがわかり、残り3試合とわかりました。
つまり、(8→5→)4→3→2→1と減っていくのでしょう。
この辺で、引きこもり貧弱アラサーは腰が痛くなり始めます。
まだ半分も終わってないのか…と体力的な絶望が訪れます。

残った4組の内、我々零狐春ペア以外の3組はAnotherVisionペア。
若さを武器にされると辛いものがあります。
「おやおや、あのアラサーチームを倒せばAnotherVisionの優勝は確実というわけですね」と聞こえてきそうな状況です。
「我々AnoterVisionは、勇者としてあの魔王を倒そう」
あれ、今のは空耳じゃなくてマジで言われてない?
「魔王無策師を倒すぞ!」
なぜか魔王に就任していました。
メラゾーマに見えるメラとか、撃った覚えはないんだけどなぁ。
そもそもシックサムの時代すら知らない若人たちなのに、なんで…。
「piaさんからよく無策師さんのスタンプが送られてくるので…」
あっそういうこと…。

心に小さな傷を負って、準々決勝に進みます。

準々決勝

ロックボタン「きちゃった…///」
無策師「ぎょえ~~~~~」
椅子「じゃあの」
無策師の腰「ぎょえ~~~~~」

準々決勝はドラマ謎解き。
ロックボタンのシステムは変わらず、解答方式が変わっただけ。
解答方式の変化に伴ってか、椅子はなく立ったまま解くことになりました。

「解答形式が変わったということはここに絶対何かがある。縦に差し込むとか重ねるとか…」と相変わらず先読みは忘れません。
足の速さで勝てないならフライングするしかないのです。謎解きは、フライングが許される数少ない遊びです。

1問目。
プロローグ映像の時点で「しろくま」「24日」のピンポイント情報を拾え、かなり余裕でクリア。
しかも、ここでプレートが透明なことが判明し、3問目で重ねるギミックを使うのが濃厚と判断できました。

2問目。
おかしい。ありとあらゆる状況が「プレートを重ねて東田と解答する」ことになっている。このギミックはラストに使うんじゃないのか?
しっかりと「東田」を作り提出しながらも、頭はずっとラストのギミックでいっぱいです。

余談ですが、「東田」を作るための「中田」は上下対称の文字なのですが、対称軸が中心に無いせいで「上下さかさまにして入れると東田が作れない」というトラップがありました。
微妙に軸がズレて「束田」みたいなよく読めない状態になります。
映像を見返すと、我々が焦って作り直している様子が見えます。
この修正に数秒時間を奪われたのですが、実はこれは直さなくても正解判定となる裁定が行われたため、「もし最後に我々が数秒差で負けたらゴネるぞ!」と鼻息を荒くしていました。
こんなことやってるから魔王って呼ばれるのよ…

3問目。
突然の爆弾。
でもやることは紙の謎解き。
答えは切るべきコードの色。
でも解答方法はプレート。
ここで無策師の脳が完全にパンクします。

開始して最初に私が解き始めたのはこの謎でした。

ひええ。全然解けないよぉ……。
それはそう。これは3つの謎を解いた後最後に見るべき指示なのです。
でもパンクしている無策師は「4問の謎を解く」と勘違いしてドハマりしています。

そうこうしている内にけーおんはシュバババっと謎を解き終え、水色の変換にも気付き「きいろ」が答えだと言ってくれます。
まだ時間に余裕があるので解法を聞きますが、初手で「4問の謎を解く」と意味の分からない勘違いをしている私には何が何だかわかりません。
けーおん「ホムラがムラになって、ケサキがサキになって、メイロがイロになって、ムラサキイロがキイロになるんだよ!」
パンク男「なんかよくわからんけど文字を半分にする法則があるんだな(ホムラがムラになるのも半分になった結果だと更に勘違いが深まる)。なんで半分にしたの?」
けーおん「水色の矢印がそういう法則なの!」
IQ3男「えっ、この私が解けてない謎の答えは?」
けーおん「だからキイロだって!」
世紀のアホ「ああ、それぞれの答えを半分にして、ムラとサキとイロと(キイロがイロになって)イロで…。えっイロが多くない?というかムラサキイロじゃない?」
けーおん「だ~か~ら~!水色の矢印がそういう法則なんだって!」
服を着た無能「それはわかってる(わかってない)。それでホムラがムラになる…ってコト?」
けーおん「ん~~~~~~~~~~~~~~」

何度も何度も何度も何度も説明をしてくれるけーおんと一向に理解できない無策師

そうこうしている内に、時間以上に心の余裕がなくなり、ロックボタンを押します。
そして、結果は……!

なんとも不甲斐ない結果となってしまいました。
撮影の緊張感、長時間収録の疲労感、時間への焦り、これらが全員の判断を狂わせました。
ロックボタンがすべて悪い。

断章~控室~

スタッフ「次は、アイマスクとイヤモニを装着してもらいます」
謎解き狂人たち「わーい、アイマスクだいしゅき~」
無策師「これで、アイマスク外してロックボタン置いてあったら笑い死ぬ」

というわけで、アイマスクとイヤモニを用意して収録スタジオの前まで連れてこられます。
我々は先ほどの準々決勝で3位となったため、ペナルティとしてイヤモニから爆音のノイズが流され続けていました。
(勿論これは冗談で、1位から順に並んだ結果、3位である我々が最後尾となり、スタジオから遠いので電波が届かずノイズが流れてしまった)

無策師「けーおんの外しているイヤホンから出ているノイズがここまで聞こえる」
けーおん「無策師のもここまで聞こえる」
無策師「なんかナチスの拷問にこういうのあった気がする」
すれ違って階段を上がっていく誰か「みなさん、頑張ってください」
無策師「だれ?」
けーおん「松丸だよ!」
アイマスク付けるために眼鏡を外していた無策師「なんも見えねぇ」

ちなみに出演の際に書いたアンケートの「好きな芸能人は?」に「松丸亮吾さん」と書いたので、これを参考にオファーしてくれたんだと思います。
憧れの松丸さんに間近で会えて嬉しかったです。
「好きな芸人は?」には「怪奇!YesどんぐりRPG」と書いたのですが、こちらは残念ながらお会いできませんでした。
冷静に考えると収録日翌日がR-1でした。そりゃ無理だ。

準決勝

アイマスク状態で、スタッフに手を取られてスタジオに入ります。
休憩時間に準々決勝のパンク状態を脱した私は、再び脳をフル回転させます。
・ここまで歩いてきたルート的に、恐らく敗者復活戦と同じく床がLEDのエリア。
・空気の微妙な淀み方から、恐らく四方は壁に囲まれている。
・部屋から脱出するゲームが濃厚。だとすると、どのような形式か。
・部屋の隅から六角レンチを見つけるようなものはテレビ映えしないしRIDDLERらしくないので、探索にかけるコストは安めに。
・間が持たないから恐らく765秒よりも短い、長くても5分のシンプルなルーム型と思われる。
・敗者復活戦の時に床LEDを天井から見下ろすカメラを使っていたので、その見下ろしカメラで気付きやすいギミックは映える。これは濃厚。
みたいなことを考え、呪文のように呟いていました。

イヤモニからゲームのルール説明の音声が届き、いよいよスタート。
壁から3文字の動物の名前を見つけるというクセの強い謎を前に、一旦大謎のようなギミックは頭から捨て、最速で100ptを目指します。
もし詰まったり、どうしても100ptに届かない場合はそれが大謎なので考えようと。
結果、多少悩みながらもすんなり100ptに到達します。
「となると、もう一部屋あるのか!」
そう思い、100pt取ったことでロック解除された扉から勢いよく飛び出そうとします。

危うく、扉の先にある壁に突っ込んで、ぶち破って脱出してしまうところでした。
「出口は330で作れる!」
「えっ5匹でも結構しんどかったのに、まだ10匹以上いるの!?」
「一応、ドアを開けた先も壁。ここにも動物がいるのかも」
「うーん、いないっぽい」
「念のため、同じ動物の複数入力が可能か試すね。……ダメだったわ」
とやりとりしている内に、けーおんが「マイナス330、試してみる?」と問いかけます。
実はプレイヤーには壁にいる動物が7匹とは伝えられていないのです。
もし壁に17匹以上いて正攻法で見つけるのが正解だとしたら、ここでの誤答は大きなマイナスです。
一瞬悩みますが、ここで我々の基本方針に立ち返り、特攻することを選びます。ここで突っ込めなきゃ負けだし、それで負けても悔いはなしと。
未入力状態で決定を押すと誤答になる挙動を確認し、ゆっくりと連打をします。

90、80、70、60、50。
40
30
20
10

0

そして……!

ー10

来た!マイナス表記!
マイナス表記が用意されているということは、十中八九あってる!
あとはー330をオーバーしないように連打をして…!
ドアの先に!…あれ?開かない?
ちゃんと「出口」は作れてるよな…あっ矢印だ!

つっこめぇー!!!!!
あの壁が!!!!!!
出口だぁあああああああ!!!!!!!

最高の準決勝でした。
謎解きゲームに行くのは、ドアを開けた先に壁があってのけぞったり、本当は出口になっている壁に向かって飛び込んだりする、そういう体験をするためなのです。
決してロックボタンを押すためではないのです。
うひょ~楽しかった~!

断章~漆黒の時間~

スタッフ「皆さんにはアイマスクをしていただきます」
謎解き狂人たち「わーい、アイマスクだいしゅき~」
スタッフ「そしてロケバスに乗って別会場に向かいます」
正気に戻った人たち「それは話が違う」

会場を非公開にしたい、そんな謎解きが決勝に待っていると。
控室の2組はざわつきます。
急いで近場の会場になりそうな場所をGoogleマップで調べます。
みずなし「いや、ここはフェアにお互い調べずに挑みましょう。紳士協定を結びましょう」
無策師「うわ~!お前ら既に会場を導き出したからそんなこと言い出したな!その手には乗らんぞ!」
大人げない魔王です。

その後、ロケバスに乗ります。
ガタン……ガタン……。
「この振動、高速道路だよな…」
「着いた先はどこか山奥ってこともありうる?」
「実はこれ水曜日のダウンタウンで『謎解き好きの素人、謎って言えばアイマスク姿で一日放置されても待つ説』だったりしない?」
みたいな雑談をしながら、アイマスク4人組は運ばれていきます。
ロケバスを降りたあと、スタッフさんに連れられ、恐る恐る歩いていきます。
あっエレベーターだ…。結構長いぞ…。
目隠し状態で階段も行くのか。しかも結構ある…。
あっソファだ。ここで待つんですね。
スタッフ「お水、置いておきますね」
無策師「いや、どこやねーん!」
スタッフ「弁当、届いたんですけど…」
無策師「見れんし、緊張と疲労で全然食える気がしない」

20分後。
スタッフ「もうしばらくお待ちください」
ここでトイレが解禁されます。
トイレ内でのみアイマスクを取ることが許されました。
トイレに連れてこられて、アイマスクを取ると……
「ん゛っ……まぶしいっ!……目がつぶれるっ……!何も…見えないっ…!」
久々の光に目がしばらく慣れません。恐ろしい…!

20分後。
スタッフ「準備が整いました!お待たせしました!」
いよいよ、始まる…!

エレベーターの時間が結構長かったのでかなりの高層であることが想定される。でも高速道路の時間的にスカイツリーほど遠くまではいけない。
森ビルか?池袋サンシャインか?
サンシャイン水族館だと水槽とかの驚きのギミックは作れそう。
でも魚臭さというか水族館独特の匂いがしないし違いそう。
一体、ここはどこなんだ!?!?!?

決勝

アイマスクを外すとそこは…!?
(しばらくまぶしさで何も見えない)

SHIBUYA SKY だ…
えっ、普通にロゴで場所速攻バレたけど…

そして、目の前には姿を変えたロックボタン、もとい早押しボタンが置かれていました。
宣言通り無策師はここで笑い死にます。完。

そんなこんなで決勝が始まります。

松丸「アルファベットを」
無策師(H,I,N,Tの4文字とは明言しなかったな…)
松丸「押すと箱が開きます」
無策師(押すと開く…?妙だな…?)
無策師(何かH,I,N,Tの4文字以外のアルファベットを押すことで重要なヒントか…トロフィーそのものが手に入る可能性あるな)
無策師(トロフィーは屋上にあるから、そのものを手に入れるとしたらエレベーターか…)

無策師(ん…あれは…X?)
無策師(番組のタイトルにも使われている文字の!Xを!押すと!エレベーターという箱が開いて!トロフィーが手に入る!勝ち!)

隣のチームに勘付かれないように、最低限のやりとりをけーおんとします。
つまり、最悪最初の一問目で勝負が決する…ってコト?

「それでは一問目です」
一問目「ぬるっ」
Xのことで夢中だったけーおん・無策師ペア「うわっもう始まってる」
potter・みずなしペア「ピンポーン!本気!」

一問目を先に取られただけとは思えない、この世の終わりのような敗北感に襲われている無策師

負けっ…!
敗北っ……!
ぐにゃぁ……!

松丸「それではアルファベットを指定してください」
みずなし「じゃあ…… エ
無策師(!!!!!!!)
みずなし「エヌで」
無策師(!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
無策師(まだ気付いていない!生き永らえた!!!)
無策師(まずい!安堵の顔を見せるな!察せさせるな!)

慌てて顔を背ける無策師

無策師(ヒントをカメラで写したときの様子を見るに、そんなに細かい文字ではなさそう。となると1文字ずつか。「おくない」とかで少し考えて解かせる形か、「えっくす」でダイレクトに示す形か。後者だとすぐにバレるぞ…)

そうこうしている内に、2問目が出ます。
「うーん、なんかイラストがごちゃごちゃしてるなぁ」とか思ってる内に押されてしまいます。うーん、早い!

そして3問目に行く前に、2問先取されたことについてコメントを求められます。

ここで少しボロを出します。
これは要するに「1問さえ押せば勝てる」という宣言を遠回しにしているのですが、この発言でバレる可能性も全然ありました。

そして、3問目が始まります。
「うーん、だいだい?いや、これは…!?」
気付いたときにはけーおんが押してくれていました!
流石だぜ!天才!!ひゅーっ!!!

3問目に正解し、ついにアルファベット指定の時が来ます。
ここで一旦冷静になって考えます。
・もし今考えているエックス説が大外れだった場合、どうなる?
・「アルファベットの誤指定」についてはルールが定められていない
(もしルールを作ろうとすると、H,I,N,Tの4文字以外について言及することになるので、作れないであろうことも予想は付くが)
・大外れなら誤指定として再指定をさせてもらえそう。であれば単純にお得。
・もしHINTボックスの中のヒントが、トロフィーケースの鍵番号のような必須情報だとすると、単純に敵に情報を伝えることになる
・必須情報だとしたらこんな形式にはしないはず。その線は薄い。
・そもそも、potterみずなしペアがエレベーターをチラチラ見始めている。もうエックスに気付くのも秒読み段階な気がする。
・HINTボックスの中の情報は1つだけは見ておきたい
・でも、この後に早押しで勝てる保証もないし、圧倒的に不利。
・基本方針に戻ろう!リスクの少ない比較的安全な博打だ!

「せーのっ エックス!」

こうして、我々は日本一になりました。

あとがき

他のファイナリストのnoteやツイート、同時視聴動画などを見ると、「運であったりほんの僅かな差で負けたけど、ここさえうまくいけば優勝できた」といったようなものがたくさん見受けられます。
一方で私のnoteでは「いかにポンコツでミスを多発したけど運よく優勝できた」という真逆のような話になっています。
これは別に意図したものではなく、他のファイナリストも私も本心をそのままさらけ出した結果こうなっているのだと思います。
要するに、『謎解き日本一決定戦』は「どのファイナリスト、もっと言えば予選に参加した人も含め、誰が優勝してもおかしくなかった接戦だった」と言えるのでしょう。
そして、それが謎解きの本質なのかもしれません。
綺麗事のようですが、謎解きとは「知識も経験もいらず、誰もが解けるチャンスのあるもの」とされていて、その日本一を決める大会なのですからそれは接戦になるでしょう。
端的に行ってしまえば、私は「日本一運が良かったペア」なだけかもしれません。

……。
はたして、本当にそうなのでしょうか?

先ほどの綺麗事を信じる人も多くいるとは思いますが、経験を積むにつれて脱出ゲームの成功率が上がるのも事実ではないでしょうか?
ここで私の提唱する5つの力をもう一度紹介させていただきます。

・古典一枚謎力(既に解いたことのある一枚謎を早く解く力)
・新規一枚謎力(初めて見るネタの一枚謎を解く力)
・注意力(細かい違和感や探索で情報やアイテムを見つけ出す力)
・大謎打開力(発想の飛躍が必要な難しい謎を解く力)
・メタ解析力(効率よく検討をするための情報をゲーム構造から見抜く力)

本来、謎解きは「新規一枚謎力」「注意力」「大謎打開力」だけでクリアを目指す遊びだったはずで、綺麗事が通じるのもそういった遊びに対してです。
しかし、謎解きイベントが増えるにつれ、新規の謎が次々と世に出され、いつしか見たことのある謎が氾濫するようになりました。
こうなってくると話は変わります。
「古典一枚謎力」という今までになかった能力により、一気に時間短縮が出来るようになったのです。
また、「注意力」の発揮の仕方にもパターンが出来てしまい、「どういうところに注意すべきか」といったテクニックが生まれ始めます。
更に、謎解きゲームがテンプレ化するにつれ、「メタ解析力」を使い、「このゲームでは他のゲームにないこういったルールがある以上、ここには何かがある可能性が高い」というような分析を行い、試行錯誤の時間を効率的に優先順位を付けられるようになります。
こうして、制作者が最初に意図した物とは異なり、「知識・経験で差が出るゲーム」に謎解きはなったと考えています。
まとめると、「新規一枚謎力」「大謎打開力」は自頭力だとしても、「注意力」は技術で伸ばせる力、「古典一枚謎力」「メタ解析力」は経験で伸びる力となり、「経験不要の遊び」だったはずなのに「経験で差が付く遊び」になってしまったのです。

『謎解き日本一決定戦』は、これらの5つの力を問うレンジが少し狭く、どのペアも既にカンスト状態のような戦いになっていたと感じました。
それによって、ほぼ差は付かず、一ミスした人から脱落していくようなシビアな戦いになっていたのではないでしょうか。
そういった意味で「誰が優勝してもおかしくなかった接戦だった」と思います。
ただ、これが悪いことだとは言いません。
一ミスをせずに勝ち続ける、あえて悪い言い方をするならサイコロで6を出し続ける、そんな戦いもありでしょう。

ここで、似て非なるジャンルとされる「クイズ業界」の変遷を門外漢ながら考えます。
もともと気軽に知識を問い合う遊びだったクイズが、ペーパークイズのように時間をかけて幅広い知識に答える遊びになり、早押しクイズのように知識を引き出す速さも含めた遊びへと変遷を遂げたのだと思います。
そしてテレビ映えもする早押しクイズは度々番組として使われるようになります。
人口が増え、技術研究も進み、「読ませ押し」のような本来のクイズからはかけ離れた能力も必要になっていきます。
知の甲子園時代の高校生クイズでは、これが年々加速していく様子を感じていました。
視聴者も年々この技術進化を見届けていれば、そのハイレベルな戦いを理解できます。
しかし、その流れを知らずに気軽に問題を答えるものだと思っていた人たちが、読ませ押しをして確定ポイントで先読みし答える様子を見たら、思ってたクイズではないと驚いてしまうことでしょう。

競技謎解きはそういう意味でかなり危うい立ち位置にあります。
謎解きゲームがそもそもクリア率が低いシビアなゲーム性だったこともあり、競技としてでなく既に技術が煮詰まっていたのです。
決勝での「ノーヒントエックス」はまさにその時代が既に来ていたことを告げるような解答でしょう。
更に、近年は競技謎解きとしてのテクニック・技術も増え始めており、「都道府県は暗記しろ」発言がまさにその一つと言えるでしょう。
『謎解き日本一決定戦』は、初回でありながら既に視聴者との乖離が始まっている、危うい状態だったと思います。
もし『謎解き日本一決定戦』が同じような形式で回を重ねたなら、間違いなく全組がこれに特化した対策を練ってきて、より一層異次元の戦いとなるでしょう。
こうなったときに、差が付くようにより高難易度化に進むのか、むしろ差が付かないように抑えるのか、難しい判断になるでしょう。

私個人の望みとしては、謎解きを純粋に楽しみたいです。
ドアを開けた先に壁があってのけぞったり、本当は出口になっている壁に向かって飛び込んだりする、そういう体験をしたいのです。
「メタ解析力」が謎解きを純粋に楽しんでいるのかと言われると、人によって意見が分かれる場所だとは思いますが、私はここまで含めて謎解きだと思っています。
逆に、クイズで言うところの「読ませ押し」、謎解きで言うところの「都道府県の特徴的な暗記法」のような、本質から遠いテクニックで差が付くような謎解きはしたくないです。
そうはいっても、テレビや大会があり、それを真剣に目指す人がいれば、技術の価値が上がっていくのは避けれないものでしょう。
今回は運よく私は日本一になれましたが、技術を磨くつもりのない私は次回以降決して日本一にはなれないでしょう。
ただ、たとえ日本一になれなかったとしても、楽しい謎解きが出題されることを願います。

おまけ

私が「メタ解析力」をゴリゴリに使って解く様子を見て、「こうすれば謎解きが上手くなるんだ!」と勘違いしてしまう人が出てしまったら申し訳ないです。
私は、(現状では)あくまで上述した5つの力の掛け算で謎解き力が決まると思っています。
「メタ解析力」だけ鍛えても効果は薄いです。

また、「メタ解析力」は諸刃の剣である点も理解が必要です。
本来の導線とは別軸での思考をねじ込んでいるので、あくまで邪道であり、危険な思考法です。
もし「メタ解析力」を使った結果トンチンカンな方向へ突っ走ったとしても、出題者からしてみれば「いや、そんなこと言ってないし、勝手に勘違いしただけでは」と一蹴するだけの話です。

それでも「メタ解析力」を活かしたいのであれば、あくまでこの力で出せるのは注力すべき一本の道ではなく確率の分布だと肝に銘じると良いです。
例えば決勝戦では、「アルファベットの指定がなかったことが怪しい」と解析したときに、それが答えに繋がる確率は80%だと考えていました。
(これはとても高い数字です。RIDDLER特に松丸さんが出す難問ではこういった言葉の綾のような仕掛けを繰り出す確率が高い、など様々な要因が重なってこの数字になっています)
80%のこのルートでいろいろと考えるのが効率的である反面、残り20%のことも常に忘れないことが大事です。
これを誤って100%に設定しドツボにハマると失敗します。
常に想定外を疑いましょう。それこそが謎解きの面白いところなのです。

これが日本一になった私が言える、唯一の謎解きのテクニックかもしれません。
ちなみに私はこのテクニックのおかげで、今年月一ペースで脱出失敗しています。

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