出来高加重指数MFI

・最新の出来高トレンド

方向感の欠如と狭い取引範囲が特徴的な現状、
この「退屈」な市場でも強弱を感じ取るヒントはなんでしょうか。そのカギとなる「出来高」に注目してみましょう。

今回の分析では年初から現在までのデータを基にしています。ここでは、出来高の動向を把握するために、3本の指数移動平均(EMA)ライン(長期、中期、短期)を重ねて表示します。

90日EMAは今のところ右肩下がりで、市場が閑散としていることを示しています。しかし、30日EMA(赤線)を見ると、8月以降にわずかながらも下降傾向が緩む兆しを見せています。

今回はこの点に注目して深掘りするべく、簡単な数式を用いた指標を紹介します。ある日のビットコイン取引を具体的に分析していきましょう。

この日のビットコインの取引では、以下のようなデータがありました

- 始値: 25,500ドル
- 高値: 26,000ドル
- 安値: 25,000ドル
- 終値: 25,500ドル

その日の取引幅の終値がどこに位置しているかを確認することで、その日の市場が強気か弱気かを仮説します。

・高値安値の範囲の上半分で終値を迎えれば、取引の主導権はバイヤーがもち、その日の取引は強気であったといえます。

・終値が高値安値の下半分となり、安値に近ければ、それはセラーが優勢であったことを示し、市場は弱気だったと言えます。

この結果を数値化するために、終値が高値に近ければ「1」、安値に近ければ「-1」に近づくよう計算式を作成します。

この指数を「マネーフローインデックス(MFI)」と呼びましょう
以下のような計算をしてみましょう

MFIの計算

実際の値を代入すると以下のようになります

・MFIの考え方


MFIは実際には-1から1の範囲の値を取ります。

上記の例では、終値が高値安値の範囲の真ん中で終わり、「0」を示すことで需給の均衡を示します。しかし、この値は単独で使用されるものではありません。今回注目すべき出来高を乗算して加重することで、市場の強弱をより正確に捉えることができます。


MFIは日々更新され、前日のMFIと今日のMFIを合計して計算されます。この動向から市場の変化を観察するには価格と指数のダイバージェンスに注目してください

・ダイバージェンスの識別


- 強気のダイバージェンス-
価格が下降しているにも関わらずMFIが上昇する場合、これは買い圧力が高まっている兆しと解釈できます。

- 弱気のダイバージェンス-
逆に価格が上昇しているのにMFIが下降している場合、これは売り圧力が増しており、価格の下落が近いと警告しているのかもしれません。

青い線はビットコインの価格を表しており(左軸を参照)、緑の線はMFIを表します。30日EMAが示す出来高の減少が緩やかになってきている現象を反映してか、ビットコインの価格動向との間には強気のダイバージェンスが見られるようになっています。これは、市場でビットコインがこっそりと買い占められている兆候かもしれません。


指標の限界

他の指標と同様に、MFIを利用する際には、その限界と弱点を完全に理解することが重要です。MFIの一定の弱点は、価格レンジの変動を十分に考慮しないという点にあります。これにより、価格にギャップが生じた場合でも、それがMFIによって捉えられない可能性があります。結果として、MFIラインと価格との間で同期が失われることがあります。市場の分析にMFIを導入する際には、この制限を十分に理解し、他の指標と組み合わせて利用することが勧められます。

おわりに

このチャートの作成の仕方は次回の記事にでも書きたいと思います。スプレッドシートを使うと簡単に作成できるので興味ある方は是非試してみてください。

本記事は情報共有を目的としています、投資に関する最終的な決定は投資家自身の判断としてください


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